タイの正月①伝統的なソンクランと現在の水かけ祭り(戦争)。

 

まえにタイ旅行で、日本語ガイドがこんなことを言っていた。

「私の家では、新年が年に3回あります」

新年が年3回ある?
どういうことだ?
知り合いのアラフォー女性が、「私の誕生日は4年に1回ある」と言っていた。
それは理解できるのだけど、「正月が年に3回」というのはよく分からない。

話を聞いたら、「カレンダー(暦)が3つあるから、新年も3つある」ということだった。
西暦と中国の暦とタイの暦があって、それぞれに新年がある。

西暦の新年は、日本と同じ1月1日。
このガイドは、父親が中国人で母親がタイ人という人だった。
だから、それぞれの伝統を引き継いでいる。
西暦に加えて、タイと中国の新年がくるから「正月が年に3回あります」ということになる。

こういうところは多民族国家のタイらしい。

 

中国系タイ人の家には、こんな八卦がある。
これは魔除けで、悪霊が家に入って来ないようにしている。

 

2018年、タイでは1月1日の他に次の正月があった。
2月16日が中国正月で、がタイの正月(旧正月)。

タイでは4月の正月を「ソンクラン」と呼んでいる。
タイ政府観光庁のホームページにはこんな説明がある。

仏像や仏塔、さらに年長者などの手に水を掛けてお清めをするという伝統的な風習が受け継がれて来たソンクラーン。一年で最も気温の上がる季節の、暑さしのぎとしても親しまれてきました。

水掛け祭りとしても知られるタイ旧正月のお祭り「ソンクラーン」

 

これが伝統的なソンクラン。
仏像やお年寄りなどに敬意を表し、水をかけてキレイにするというのが本来のソンクランだった。

でも今は違う。
現在のソンクランは「水かけ祭り」という全国的なイベントになっている。

タイ人が1年で1番”クレイジー”になるとき。
それがソンクラン。

 

ソンクラン(水戦争)

 

タイ語のソンクランは、英語にすると「ウォーター・フェスティバル」になる。
日本語だと「水まつり・水かけまつり」だ。

2018年のソンクランは4月13日から15日で、この3日間はタイの祝日。
4月と5月はタイが1年でもっとも暑くなる時期。
だからこのときに、タイ人はいろいろな人に水を”かけてあげて”、涼しさをプレゼントする。
ようするに、互いに水をかけ合う。

でも、恋人たちが海でするような水かけではない。
「それっ!」「やったな!こいつ~」と無邪気に水をかけ合うレベルではない。

ソンクランでは、バケツで氷水をかけたりデカい水鉄砲でねらい撃ったりする。
このとき、街中みんながゴルゴ13になる。
当たるとかなり痛い高圧の水鉄砲を使う人もいるらしい。

 

だからタイ人の友人は「ソンクランは水祭りじゃありません。あれは水戦争です」と言っていた。

正月になると、タイ人はお祭り騒ぎでおかしくなってしまう。

近年、ソンクラーン期間中には、飲酒運転による交通事故や、車やバイクへの水かけによる事故の他、性に関する犯罪も増加するため、当局では毎年対策に苦慮している。昨年は、車を使った水かけを規制する動きもあったが、各方面からの強い反対で取り下げられた経緯がある。

ソンクラーン

 

「仏像や仏塔、さらに年長者などの手に水を掛けてお清めをするという伝統的な」ソンクランは、今では、飲酒運転・交通事故・性犯罪が増加するブラックな祭りになってしまった。

 

ソンクランで必要な言葉
「撃って!、撃て!」「撃たれた」はまさに戦争。

 

数年前に聞いた話では、タイの第2の都市チェンマイでおこなわれるソンクランが、とても盛大で激しいらしい。

ソンクランのときは、外にいる人なら、だれにでも水をかけていいことになっている。
それでバイクに乗って走っている人にいきなり水鉄砲で攻撃して、バイクを転倒させてしまうことがあった。
その後、ドライバーは亡くなってしまう。

これはチェンマイで泊まった宿のスタッフから聞いた話。
こんなことはこの時期、タイでは全国的にあったらしい。

次回は、ソンクラン期間中のタイ人や外国人の過ごし方について。

 

TJ Channel Thailand水かけ祭 Songkran 2018 Khao San Road

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。