ベトナム人が日本旅行で感じたこと②日本人の印象、礼儀・秩序

 

はじめの一言

「まるで自身が花であるように、自然の中で生きる、こんなに簡素なこれらの日本人が、われわれに教えてくれるものこそ、まずは真の宗教ではないだろうか
(ゴッホ 明治時代)」

「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

 

今回の内容

・日本人の印象
・混雑していても秩序がある
・その他いろいろ

 

・日本人の印象

ベトナム人の友人が日本に旅行で来た!
ということで、前回に続いてその子から聞いた「ベトナム人が見た日本」を書いていきます。

このベトナム人の女の子に日本人の印象を聞いてみた。

「日本人はとってもポライト(礼儀正しい)で、マナーが良いですね」

「日本人ってどんな感じ?」と外国人に聞いたときの鉄板の答えがこれ。
どんな外国人にきいても、同じことを言う。

 

では、どんなときに日本人が礼儀正しいと感じたのか?
彼女は大学で日本語を学んでいたから、簡単な日本語ならわかる。
そんな彼女が東京で電車に乗っていたとき、こんな光景を見たという。

電車のなかで座っていた人が、駅で降りるために立ち上がる。
一人分の席があくと、その前に立っていた人が「どうぞ」と隣の人にすすめる。
すると、隣の人も「いえいえ、どうぞ、どうぞ」といってゆずっている。

お互いにゆずり合っているのを見て本当に驚いたという。

「席をゆずり合ってなかなか座らないことなんて、ベトナム人ではありえませんね。ベトナム人ならすぐ座りますよ。ベトナム人はバイクで街中を走っているとき、ちょっとでもすき間があったらすぐにわり込んでしまいます。だからクラクションを鳴らしてばかりですよ」

たしかにベトナムではクラクションをよく聞いた。
彼女と同じようなことをイギリス人も言っている。

電車の中でふたり連れが立っている。座席がひとつ空く。おたがい譲り合った後に、ようやくひとりが席につくと、必ずその人は立っている人の荷物を持ってやろうと手を差し出す。
こんな心温まる小さな親切は、ぼくは日本以外で見たことがない。ああ、これこそ日本。

(『ニッポン社会』入門 コリン・ジョイス)

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・混雑していても秩序がある

「東京駅や新宿駅では、人の多さに本当に驚きました。めまいがするぐらいです。でもみんながルールを守っているから、秩序があって混乱がありませんでしたね。列車に乗るときは、降りる人を優先して真ん中をあけて両側に並んで立っています。そして最後の人が降りてから、乗り込んでいました。これはどこでもそう。人の移動の流れが本当にスムーズです」

「日本人の行動には秩序がある」
これも外国人がよく言う。

彼女はその理由を「日本人はペイシェントがあるから」と言っていた。
「ペイシェント」は、「忍耐強い・がまんする」ということ。
「患者」という意味もある。

列車に乗るとき、乗客がすべて降りるまで待っているのも「ペイシェント」があるからだという。
ベトナム人はそんなに待てないという。

 

日本では混雑していても、秩序があるからあまり混乱はない。

初めてベトナムに行ったとき、「ホンダ(バイク)」が群れをなして走っているのを見てびっくりした。
その様子はまるでバイクの洪水。

たしかにあれには秩序なんてなかった。
外国人に分からないけど、ベトナム人にはそれなりの秩序があるのかもしれないけど。
ベトナムで会ったイギリス人もこんなことを言っていた。

「ベトナムはカオスだよ。道をわたるのもコワい」

日本人が秩序を守る例として、ベトナム人の子はエスカレーターでは必ず片側をあけていることにもふれていた。

でもこれをすると重心がかたよってしまうから、エスカレーターにとってはあんまり良いことではないらしい。

 

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ベトナムの首都ハノイの日常
車、自転車、バイク、歩行者が好き勝手に動いている(ように見える)

 

・その他いろいろ

「東京の人はみんな忙しそうで歩くのが速いですね。それに疲れているようにも見えます。私が駅で迷ったとき、なかなか人に声をかけられなかったんですよ。でも、道を聞くと丁寧に教えてくれました」

これは静岡から来たボクも感じた。
東京の人は歩くのが速い。

 

「それと、浴衣を着ている人を多く見ました。若い人が自分の国の文化を大事にしていることはすごくいいことですよ」

そりゃどうも。
でも、ベトナムにもアオザイという素晴らしい伝統衣装がある。
ベトナム人は今ではアオザイを着ないのだろうか?

「私の場合、会社に外国人のお客さんが来るときや国際会議があるときには、アオザイを着ますよ。『今度、会社に外国人が来るからアオザイを着て来てくるように』と会社から言われますから。プライベートでアオザイを着ることはないですね。結婚式のときぐらいかな?」

彼女がアオザイを着るのは、「業務命令」だかららしい。
こういうことは日本の会社ではやらないだろう。
「外国のお客さんが来るから、その日は着物を着てくれ」なんて女性社員に言ったら、たぶん問題になる。

 

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アオザイとバイクとマスク
たぶん出勤中。

 

彼女は、日本に住んで10年になるベトナム人からこんな話を聞いた。

「日本人とのつき合いで困るのは、日本人は考えていることと言っていることが違うことだそうです。日本人が心のなかでどう思っているのかを考えるのは、疲れるみたいですね」

これは日本に住む外国人がよく言う「日本人あるある」だ。
そのベトナム人は、知り合いの日本人にこんなアドバイスを受けたという。

「日本人は、思っていることをハッキリと言葉にしない人たちだと考えたほうがいい。言葉ではなくて、言い方や雰囲気で自分の気持ちや考えを伝えているから、空気をよく読むことが大事だ」

「空気をよむ」
ベトナム人には本当にこれがむずかしいらしい。
というか、他の外国人もなかなかできない。

日本人が外国人と接するときは、相手に空気を読ませる必要がないようにハッキリと伝えることが大事だと思う。

 

 

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2 件のコメント

  • 空気をよむ
    いつからこんな変な日本語出来ちゃったんですかね
    20数年前くらいにKYが使われ始めた気がするけど…
    想像以上にいるんじゃないかな日本人でも"よめない"ひと、
    僕も含めてw
    日本語含めた多言語話者のひとは
    日本語とその他で性格が変わったかの様な印象受けますね

  • 太平洋戦争のとき、無謀だと分かっていても空気で戦艦大和を出撃させて沈没させたといいますから、日本の空気は昔からある伝統ですね。
    最近は外国人が増えて日本的な空気が通じない空気ができつつありますが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。