日本史の特徴「君側の奸を討つ」の例①西南戦争・二二六事件

 

始めの一言

「衣冠束帯に威儀を正した百官卿相の出入りする諸室も、簡素のきわみである。これほど質素な大臣たちの食堂(殿上間)が、世界のどこに見出されるであろうか(ブルーノ・タウト)」「日本賛辞の至言33撰 ごま書房」

 

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今回の内容

・日本の歴史のとくちょう
・二・二六事件
・西南戦争

 

・日本の歴史のとくちょう

前回、日本の歴史のとくちょうについてチョイと書きました。

ヨーロッパや中国の歴史では、世の中を変えるために王や皇帝を倒すという革命(易姓革命)が何度も起きている。

中国ではそれで自殺に追い込まれる皇帝が何人もいた。
フランス革命では、国王ルイ16世の首をギロチンで切断しているし、イギリスの清教徒革命では、イギリス国王の首を斧(おの)で切り落としている。

 

日本の歴史は、こんな革命が一度も起きたことがない。

明治維新は徳川幕府を倒して新しい時代をつくったから、「革命」ということができるかな。
けど、天皇を倒すという革命は一度もなかった。
その代わりに「君側(くんそく)の奸(かん)を討つ」という出来事が何度か起きている。
「天皇のまわりにいる悪いヤツラを倒す」というもの。

今回と次回で、日本史にとくちょうてきなこの「君側の奸を討つ」の具体例を3つ書いてきます。

 

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京都御所、紫宸殿(ししんでん)の門

 

・西南戦争

覚えてる?
明治時代におきた西南戦争。
こんなヤツね。

1877年2~9月、最大の士族反乱。
鹿児島の私学校生を中心とした士族が、西郷隆盛を擁して挙兵。
(中略)政府軍に鎮圧された。
徴兵軍の実力が認められ、武力反抗に終止符が打たれた。
(日本史用語集 山川出版)

 

西郷隆盛が、明治政府に対しておこした反乱だったね。
でも、西郷隆盛が敵としたのはあくまで明治政府であって、決して明治天皇ではなかった。
この場合、明治政府が「君側の奸」になる。

 

一方西郷にしても、天皇に不満を抱いていたわけでは決してない。最後の内乱である西南の役をおこした西郷や鹿児島の士族にとって、その目的は天皇が周囲から悪い影響を受けることなく国を統治できるようにすることでした。
(明治天皇を語る ドナルド・キーン)

 

これによれば、西郷隆盛は明治天皇に悪い影響をあたえている人間(君側の奸)を倒すために乱をおこしている。

これが、「君側の奸を討つ」の最初の例ね。

 

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明治天皇(「明治天皇を語る ドナルド・キーン」から)

 

・二・二六事件

2つ目は、「二・二六事件」。
これも中学校に習ったはず。
こんなヤツ。

1936年2月26日、陸軍皇道派青年将校を中心とするクーデタ。首相官邸・警視庁・朝日新聞などを襲撃。
(日本史用語集 山川出版)

 

このクーデタによって、高橋是清大臣らが殺害されている。
そういや、最近トルコでも似たようなクーデタがおきてたなあ。

青年将校たちがこのクーデタをおこしたのも、「君側の奸を討つ」ためだった。
すっごく難しいけど、下の文をみてみて。

 

革命的な国家社会主義者北一輝が記した『日本改造法案大綱』の中で述べた「君側の奸」の思想の下、天皇を手中に収め、邪魔者を殺し皇道派が主権を握ることを目的とした「昭和維新」「尊皇討奸」の影響を受けた安藤輝三、野中四郎、香田清貞、栗原安秀、中橋基明、丹生誠忠、磯部浅一、村中孝次らを中心とする尉官クラスの青年将校は、政治家と財閥系大企業との癒着が代表する政治腐敗や、大恐慌から続く深刻な不況等の現状を打破する必要性を声高に叫んでいた。
(ウィキペディア)

 

ここには、直接「君側の奸」という言葉がでている。
青年将校たちは「君側の奸」を討てば、「政治腐敗や、大恐慌から続く深刻な不況等の現状を打破」できると考えていた。

 

また、二・二六事件をおこした青年将校の上層部の人間は、その下にいた人間にこんなことを話していたらしい。

乱入というんですかね。襲撃に入ったわけです。天皇陛下のまわりにいるやつは悪くて、お前たちの本当の状態が天皇陛下の耳へ真っ直ぐ入っていかないんだと。それで、お前たちの田舎の娘さんとか、妹さんが身売りしたりして、お女郎になっている。
(天皇 テレビ朝日)

 

二・二六事件をおこした青年将校たちは、これは「天皇のためにおこなった」と本気で考えていたけれど、実際には昭和天皇を激怒させている。

天皇はこの無法な行動に対して火のような怒りを示しました。「朕が最も信頼する老臣たちをことごとく倒すは、真綿にて朕が首を締めるに等しい行為なり」(同書)

「君側の奸を討つのは天皇のため」と青年将校たちは本気で考えていたけど、実際には単に思い込んでいただけ。
ある意味、昭和天皇を完全に無視している。

 

身近にこんな人がいるかもね。
「おまえはきっとこう思っているだろうから、オレがこうしてやった」と他人の気持ちを勝手に考えて行動する人間。
で、本人がそれを望んでいないと言うと「オレは、おまえのためにしてやったのに!」と怒り出す。
こういう人がボクのまわりにいて困ったことがあるよ・・・。

 

ということで、この二・二六事件が「君側の奸を討つ」の2つ目の例ね。
あともう1つの例が、1221年の承久の乱。
次回、そのことについて書きますよ。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア、中東、西アフリカなど27の国・地域に旅をしてきました。以前、中学生に歴史を教えていた経験もあります。 また、日本にいる外国人の友人も多いので、彼らの目から見た日本も知っています。 そうした経験をいかして、日本や世界の歴史・文化・宗教などをテーマに、「読んでタメになる」ブログを目指しています。