宗教と「女性差別」①神道の女人禁制:相撲の土俵と沖ノ島

 

はじめの一言

「われわれの子供はその立振舞に落着きがなく優雅を重んじない。日本の子供はその点で非常に完全で全く賞讃に値する(ルイス・フロイス 戦国時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

 

今回の内容

・女性は土俵には上がることができない
・沖ノ島の世界遺産登録

 

・女性は土俵には上がることができない

前に、イスラーム教と女性差別についてちょいと書いた。

でも、「宗教と女性差別」ということであれば、これはイスラーム教だけの問題ではない。
日本でもときどき、神道が問題視されることがある。
欧米でもキリスト教のあり方が問われることがある。
今回は、そのことを書いてみたい。
まずは、神道と女性差別について。

「イスラーム教は、女性蔑視のひどい宗教だ」なんて印象を持たれたら困るしね。

 

あるとき、アメリカ人の女の子と相撲のことを話していた。
そのときに、相撲というのはただの格闘技ではなくて、神道と結びいた「神事」であることを彼女に伝えた。

相撲は日本固有の宗教である神道に基づいた神事であり、日本国内各地で「祭り」として「奉納相撲」が地域住民により、現在も行われている。

(ウィキペディア)

「相撲と神道」というテーマは、外国人が興味をもつ話題と思う。
外国人と話す機会があったら、話してみて。

 

相撲は神事だから、土俵は一種の「聖地」でもある。
それをあらわすのが、「四房(しぶさ)」というもの。

しぶさ【四房】

大相撲の吊り屋根の四隅に垂れ下がっている房。青,赤,白,黒の四色で,四季と四神を表す。

(大辞林 第三版の解説)

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土俵(ウィキペディア)

 

四色の四房(青,赤,白,黒)が見えますか?
四神とは、東の青龍・南の朱雀・西の白虎・北の玄武の4つ。

土俵とは、四神に守られた聖域でもある。
「~ら」というのは、遠州弁。ついでに覚えといて。

 

ここまでの話は彼女も興味深そうに聞いていて、良かった。
この後、ボクがいらない一言をいって彼女の機嫌を悪くさせてしまう。

土俵が聖域であることをしめす例として、「大阪の女性知事が土俵に上がろうとしたけど、土俵は女人禁制だから入ることができなかった」ということを話してしまった。

大相撲の春場所で優勝力士に贈る大阪府知事賞の贈呈を巡り、女人禁制の土俵に知事自らが上がりたいという意向を示したが、日本相撲協会に拒まれた(なお、これについては全ての女性の賛同を得られていたわけではなく、好角家でもある内館牧子は太田の意向に反対していた)。

(ウィキペディア)

この言葉に、そのアメリカ人が怒りをみせる。

「なんで相撲の土俵に女性が入ってはいけないの?それは神道の考え?じゃ、なんで神道にはそんな女性蔑視の考え方があるの?」

 

そうきかれて困った。
さらに、彼女は日本に3年近くいて神道についての知識もある。

「神道の最高神は、天照大御神(あまてらすおおみかみ)でしょ?女性の神様じゃない。それでなんで女性が土俵に入ることができないのよ?神道の自然を崇拝する考え方が好きだったのに」

これにはまいった。
余計なことを言ったなあ、と思ったけど後のカーニバル。

 

 

 

最近でも、「沖ノ島」が世界遺産に登録されるときに、神道の「女人禁制」が問題になった。

女人禁制について

葦津敬之宮司は「世界遺産になっても沖ノ島は開示するものではない」と明言しており、一般開放はもとより、女人禁制の伝統的禁忌も継承される。このことについて女性権利団体などから抗議の声が上がり、観光業界でも懸念が広がった。

(ウィキペディア)

これが問題視されたときには、沖ノ島が世界遺産に認められるのだろうか疑問だった。
でも、世界遺産に認められなくてもいいかなあ、とも思ったけどね。
伊勢神宮がそうだけど、世界遺産の登録基準でははかることができない価値をもつものもある。

 

そんなボクの懸念をよそに、これは世界遺産登録に認められた。
世界遺産登録の面でも国内法の面でも、女人禁制は問題ではなかったようだ。

これに対しユネスコ指針「ジェンダーと世界遺産」では、「個々の宗教観や文化性は尊重する」「因習を話し合う場があるべき」とし、女人禁制が世界遺産登録審査の障害にはならないことを示唆している。

国内法的には、宗像大社の私有地内でのことであり、立ち入りを拒否する権利があり、女性差別などの違憲(日本国憲法第14条への抵触)には当たらないとの見解もある。

(ウィキペディア)

それでも、納得しない人は納得しないだろうけどね。

 

神道の「女人禁制」のため、女性は土俵に上がれなかったり島に入られなかったりする。
じゃ、なんで神道では、女人禁制という考えがあるのか?

先ほどのアメリカ人にボクが話したのは、「神道では女性を蔑視しているというより、死や血を穢(けが)れとしている」ということ。

そのことを次回書きます。

 

おまけ

土俵の四房のところで書いた「四神」について。
2016年8月25日の読売新聞にこんな記事があった。

キトラ古墳の壁画修復、画像公開…「朱雀」など

文化庁は24日、奈良県明日香村のキトラ古墳(7世紀末~8世紀初め)の保存修理を終えた「天文図」と、東西南北の壁に描かれた四神しじんのうち、「朱雀すざく」(南壁)、「白虎びゃっこ」(西壁)の最新画像を報道陣に公開した。

四神の歴史はとんでもなく古いね。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。