世界の11月11日③欧米では、第一次世界大戦の終戦記念日。

 

11月11日といえば、日本ではポッキーの日で中国では独身の日。
でも世界にとって大事なのは、この日が「第一次世界大戦の終戦記念日」であること。

1914年に、オーストリアの皇太子が暗殺された事件(サライェボ事件)がきっかけとなって始まった、史上初の世界戦争。

第一次世界大戦はそれまでの戦争とぜんっぜん違う。
航空機、毒ガス、戦車、機関銃といった新兵器が使われたことで犠牲者が激増する。
さらに前線の兵士だけではなくて、市民も武器の製造などで戦争に参加していた。
それでこの戦争を「総力戦」と言う。

第一次世界大戦を英語で「the great war」と表現することがある。
本当にすさまじい戦争だったのだ。

 

その悪夢から解放された日が1918年11月11日。
それでこの日が第一次世界大戦の終戦記念日となった。
アメリカでは「ベテランズ・デー(退役軍人の日)」ということもある。

 

地下にいた兵士は岩壁に「地獄」と書いた。
画像は「NHK映像の世紀 1集」のキャプチャー。

 

アメリカ、フランス、イギリスなどでは終戦記念日の11月11日を祝日にしていて、犠牲者を追悼する行事をおこなっている。

2018年は特別だ。
第1次世界大戦終結から100周年となる記念の年だから。

ということで、パリで行われた式典に参加したメンバーは世界最強だった。
アメリカのトランプ米大統領、ロシアのプーチン大統領、カナダのトルドー首相、イスラエルのネタニヤフ首相、トルコのエルドアン大統領など世界各国の首脳約70人が出席している。

江崎グリコはここでポッキーの無料配布はできなかったのか?
たたき出されるか。

AFPの記事(2018/11/12 )に式典の様子がある。

第1次大戦の休戦協定の調印からちょうど1世紀後となった同日午前11時(日本時間午後7時)に、フランス各地で教会の鐘が鳴り響いた。凱旋門での式典では、チェロの演奏や、第1次大戦中に兵士らが書いた手紙の朗読も行われた。

仏大統領、国家主義に警鐘 第1次大戦終結100年記念式典

 

マクロン仏大統領は演説で「ナショナリズムは愛国主義の裏切りだ」と協調した。
世界の常識として愛国主義はいい。
でも、ナショナリズムはダメなのだ。

 

この日、イギリスのロンドンでも戦没者の追悼式が開かれていた。
イギリスのメイ首相は当たり前として、この日の式典には、ドイツのフランクワルター首相も出席した。
ドイツの指導者がイギリスの追悼式に参加したのはこれが初めて。
かつての敵は友になった。

 

 

このビッグイベントは日本のマスコミも注目した。
これは毎日新聞の社説。

第一次大戦終結100年式典 米欧の亀裂を印象づけた

この式には国際協調を世界に訴える目的があったのだけど、結果的に、アメリカとヨーロッパの対立を印象づけてしまった。
マクロン仏大統領が米軍に依存しない「真の欧州軍」の設立を話したところ、トランプ大統領は「カチンときたけん」、じゃなくて「非常に侮辱的だ」と不快な反応を示すなど「むしろ米欧の不和があらわになった」という。

 

産経新聞の社説は、「平和」「協調」と言うだけのいわゆる「念仏平和主義」を批判する。

国際協調を唱えていれば平和は訪れるのか。当時世界で何が起きたのかを振り返り、現代に生かす機会としたい。

第一次大戦100年 協調だけで平和は保てぬ

 

たしかにそのとおり。
「the great war(第一次世界大戦)」のあと、不戦の誓いを立てて平和を確認したのだけど、第二次世界大戦は始まってしまった。
平和は守るのではなくてつくるもの。
11月11日は「三度目」を起こさないためには、どうしたらいいかを考える日だ。
ポッキーを食べながら。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。