「イラン人女性の大勝利」。スタジアムでサッカー観戦がOK。

 

中東にあるイランとイラク。
国名は似ているし隣同士だし、両方ともイスラーム教の国だから違いが分かりにくい。
日本人にとっては、おすぎとピーコ並みに区別がつかない。

それで、「イラクと一緒にされたくない!だから、イランではなくてペルシャと呼んでほしい」と言うイラン人もいる。
そのことはこの記事をどうぞ。

支那・蒙古・イランと呼ばないで。「ペルシャ」でオネシャス。

今回はそんなイランの話ですよ。

 

 

イランの面積は日本の約4.5倍で、人口は日本のおよそ3分の1(8,000万人:2016年)。
イランというとイスラーム教(主にシーア派)のイメージが強いけど、他にもキリスト教、ユダヤ教、ゾロアスター教などもある。

イランは一般的に、女性に厳しいことで有名だ。
くわしいことはここを開いて見てほしい。

1906年のイラン立憲革命以降近代化進んだが、1979年のイラン革命以降の『イラン・イスラーム共和国』のイスラム原理主義下でそれらが破棄され一般に劣悪であるとされる。だが後述するように改善が見られる部分も存在している。

イランにおける女性の人権

 

とくに死ぬまで石を投げ続ける「石打ち刑」は、国際社会からひどく非難されている。
このことは別の記事で書こうと思う。

 

 

イランで人気のあるスポーツはサッカーだ。
韓国にとってイラン代表は宿年のライバルでもある。

当然、サッカー好きのイラン人女性もたくさんいる。
でも残念ながら、スタジアムでの観戦は認められていない。
それで過去には、付けひげで男装してスタジアムに潜りこんだ猛者もいた。

女人禁制の理由にはイスラーム教の影響もあるだろうけど、イラン当局は「男女が一緒に集まると腐敗をもたらす」と言う。

 

そんなイランで“事件”が起きたのは今月10日。
首都テヘランで行われたアジアチャンピオンズリーグの決勝で、イラン政府が女性のスタジアム入場&観戦を認めたのだ。

読売新聞の記事(2018年11月13日)にそのことが書いてある。

1979年のイスラム革命以来、イランでは女性の競技場でのサッカー観戦が原則禁止されてきた。国際サッカー連盟(FIFA)によると、国際的な公式試合で認められたのは約40年ぶりという。

<イラン女性>40年ぶりの「サッカー観戦」解禁

 

ちなみにこのときの相手は鹿島アントラーズで、イラン代表のペルセポリスは0対0で引き分けた。
でも地元紙は「イラン人女性の大勝利」と報じたという。
女性の人権に関心のある人には、こっちのほうがビッグニュースだ。

 

「イラン人女性の大勝利」に日本のネットの反応は?

・サッカー場へいざ参らん
・サッカーの本場欧州でも男性中心でしょ
日本で女性観戦者が多くてビックリするらしいし
・一方トルコでは女性も男性とまったく同じように歌い、叫び、ブーイングし、指笛を鳴らしていた
・イスラムでも意外に緩いところはあるんだよな
シリアの映像で普通にビーチにビキニ姿の女がたくさんいてびっくりした
・革命前の1970年代のイランの海岸の映像見たことあるか
まるでカリフォルニアのビーチかと思うほど、ビキニのきれいなお姉さんたちであふれ帰っていたぞ

 

でも、イランで女性のサッカー観戦が解禁されたわけではないようだ。
この試合はAFC(アジアサッカー連盟)が、女性にもスタジアム観戦を認めるようイラン側に働きかけたことで、約40年に実現したらしい。
だから、これからも女性がスタジアムに入場できるということではないらしい。
大勝利は一夜の夢だった。

 

 

先ほどの読売新聞の記事には、女性のサッカー観戦が原則的に禁止されたのは「1979年のイスラム革命以来」と書いてあった。

そう。
イランはイスラム革命(イラン革命)の前後で、大きく変わったのだ。

その前までのイランはアメリカと仲が良くて、最新鋭の戦闘機や旅客機がイランに入ってきていた。
女性はサッカースタジアムでの観戦を認められていたし、服装もいまよりは自由だった。

でも、1979年の革命でガラリと変わる。
これは高校世界史でならうことだから確認しておこう。

イラン革命

近代化による社会不安と経済格差に対する不満から、1978年末より反王政の運動が高まり、79年に入り、国王パフレヴィ―2世が亡命しホメイニが臨時革命政府の樹立を宣言した。

「世界史用語集 (山川出版)」

 

このときからアメリカとの関係は最悪になって、女性の人権は「一般に劣悪であるとされる」となった。
いまの日本人がイメージするイランは、革命後にイスラーム色が強くなったイランだ。
だからイラクとの区別がつきにくい。

 

おまけ

イスラームの国イエメンの首都サヌア

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。