韓国人の女子大学生と靖国神社・遊就館へ。彼女の感想とショック

 

はじめの一言

*日本の子どもをみて
「こちらでは、うまく説明できないのですが、しつけというものが血のなかに流れていて、例外なく外にあらわれてくるのです(フレイザー 明治時代)」

「日本絶賛語録 小学館」

 

 

ワーキングホリデーで日本にやってきて、東京に1年間住んでいた韓国人の友人がいる。
彼女はそのとき女子大学生で、大学を一年間休学して日本で生活していた。
その子が韓国に帰る直前に、東京で会うことになった。

「最後にどこに行きたい?」

と彼女にきいて、驚いた。

「靖国神社と遊就館に行きたいです」

まさか、韓国人がこんなことを言うとは!

「いいけど、いいの?」
と念を押すと、「大丈夫です。どういうところか分かっていますから」と言って笑う。
話を聞くと、韓国人として靖国神社は気になっていたけど、今まで行くきっかけがなく、怖いという気持ちもあったから行ってなかったらしい。

でも、「日本を出る前に、ここには行っておかないといけない」と意を決したという。
ということで、さっそく靖国神社に向かった。

 

 

あたり前だけど、彼女は神社に参拝することはなく、すぐに遊就館に行く。

遊就館の入口に、像と「散華(さんげ)」という言葉があった。
若くして戦死することを散華という。

 

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この像の説明に、「散華」という言葉があった。

 

「この『散華』って言葉は聞いたことある?」と彼女にきいたら、「知ってますよ!」と怒っている。

なんで、これに怒るのだろう?

「学校で習いました。この散華という言葉のもとに、たくさんの韓国人が死ぬことを命令されました」

そういう教育を受けていたのか。
遊就館に入る前から、韓国人との違いを感じた。

 

この遊就館にある説明は、韓国人としては受け入れがたいものばかりだったと思う。
不機嫌そうな顔をして黙っていたから、細かくはきかなかった。
太平洋戦争ではなくて「大東亜戦争」と書いてある時点で、韓国人としては不愉快なはず。

でも、靖国神社には靖国神社の見方があるから仕方がない。
彼女が納得できなかったものに、「日清戦争に日本が勝って、朝鮮が独立した」という記述があった。
一般の韓国人は、朝鮮は完全な独立国だったと思っているから、これはそうだろう。
でも、このことは日本の中学生の歴史教科書にも書いてある事実。

だからこの記述に怒りを感じたとしても、これもまた仕方がない。

 

彼女に靖国神社に行った感想をきいたところ、一番驚いたのは「靖国神社にいたのが、ふつうの日本人ばかりだった」ということ。

 

彼女にとって、靖国神社とは軍国主義の象徴。
そこは、「軍服を着て、戦争を賛美するような日本人が集まっている怖ろしい神社」と思っていたらしい。
「韓国での靖国神社の報道を見たら、誰でもそう思いますよ」
という。

 

ところが実際に行ってみたら、おしゃれな服を着たカップルはいるし、孫を連れた老夫婦もいる。
どうみても、特殊な日本人ではなくてふつうの日本人。

 

「靖国神社は、軍国主義者だけではなくてふつうの日本人が気軽に行くような神社だった」
これが彼女には、ショックだったという。
と同時に、これは怖ろしいことだと感じたらしい。

 

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遊就館にあるパール判事の顕彰碑(ウィキペディア)
韓国人の友人と行ったときには、気がつかなかった。
パール判事というインド人を、韓国人は知っているのだろうか?

 

さらに、遊就館ではたくさんの外国人がいて、彼女はこれにもショックを受けていた。

「韓国で靖国神社を大きく報道するから、外国人の関心が集まってしまうのですかね?でも、日本の政治家が靖国神社に参拝に行ったら、韓国としては問題にしないわけにはいかないですし」

 

でも報道したら、たくさんの外国人がここに来て「靖国神社の戦争観」を知ってしまう。
欧米人の外国人が、「大東亜戦争」という言葉や「アジアを解放するための戦争だった」という主張を知ることは、韓国人としては良いことではない。
そういうことで、かなり複雑な表情をしていた。

 

総理大臣の靖国参拝では、「韓国や中国が口を出すな!」と怒る人は多いと思う。けれど中韓が報道することで、欧米人が靖国神社に関心をもって遊就館に足を運ぶようにもなっている。

ボクのまわりでも、「東京に行ったら、靖国神社に行ってみたい。なんで中国や韓国があそこまで怒るのか知りたい」というアメリカ人がいた。
もし中韓が報道しなかったら、外国人が靖国神社について知ることもなかっただろう。
韓国や中国が大きく報道することで、意外な結果も生んでもいる。

 

 

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11 件のコメント

  • 結局は日本側の見解や歴史観を理解できなかったのですね。

  • 一般的に韓国人が靖国神社の歴史観を理解するのは無理でしょうね。
    逆もまたしかりですけど。
    なお、ここに載せられるように、コメントの一部は変えさせてもらいました。

  • 日本人自身が加害の事実を認めようとしないからいつまでたってもアジアは平和にならない

  • 彼女の態度を見ていて断交にいたる経緯が納得できました

  • >日本人自身が加害の事実を認めようとしないからいつまでたってもアジアは平和にならない
    その前に韓国人が自国の歴史(統治以前)と向き合うべき。日本の資料が信用できないなら欧米のがあるし(英語得意なんでしょ?)

  • 慰安婦や徴用工問題に対してもあれだけ証拠揃えても認めないお国ですから、大東亜戦争に関しても考えは変わらないのでしょう。
    反日教育を幼稚園から受けるそうなので教育や国のせいだとしても残念ですね。

  • ただそれでも政治と文化を分けて考えて、日本を好きな人もいます。
    そういう人が増えるといいのですが。

  • 結局、彼女も多くの韓国人同様、色のついた考えでしか靖国神社を見れなかったということでしょう。他の国の人はそんなややこしくないので。

  • 自分の目と足で向き合おうとした彼女の姿勢は立派だと思います
    幼少から教わったことを覆すのはなかなか難しいです

    歴史教科書の1/4を割いて併合時代の独立運動を啓発的に教育してる限り、日韓問題は収束せず結局は民間が被害を受け続けると思います

  • 歴史認識について日韓では違いがあり過ぎて、合意することは不可能です。
    一致できることは、おたがい分かり合えない、ということぐらいですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。