韓国「日本には何をしてもいい」 vs 安倍首相「許さない」

 

「渋る防衛省、安倍首相が押し切る=日韓対立泥沼化も―映像公開」

こんな見出しを見たから、産経新聞の記事と思ったら時事通信の記事(12/28)だった。
産経新聞は安倍首相を支持していて、むかしから韓国には厳しい。
「韓国が怒るから防衛省は動画の公開を渋ったけど、安倍首相がそれを許さなかった」という構図は産経新聞が好きそうなものだけど。

さて、上の記事の内容に移ろう。

はじめ防衛省は、事件当日の映像を公開することを嫌がっていた。
映像を公にすれば、「韓国軍が自衛隊機に射撃用レーダーをあてた」と主張する日本の正しさを証明できる。
でもそれは同時に、韓国の正しさを否定することになる。
だから防衛省幹部は「韓国がさらに反発するだけだ」とみて、岩屋防衛相も映像の公開には否定的だった。

首相が別の人物だったら、映像が世に出ることはなかっただろう。

同省は防衛当局間の関係を一層冷え込ませると慎重だったが、韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相がトップダウンで押し切った。

「渋る防衛省、安倍首相が押し切る=日韓対立泥沼化も―映像公開」

 

安倍首相が韓国政府に腹を立てている理由は何か?
というより「どれだろう?」というほど、たくさんある。

10月の旭日旗問題、11月の慰安婦財団の解散決定、10月~12月にあった徴用工訴訟での日本企業への賠償命令などなど。
ここ数か月の韓国はやりたい放題。
記事には、首相が「韓国に対し相当頭にきていた」とある。

それだけでなく、「過去の反省」もあった。
2010年に尖閣諸島沖で、中国漁船衝突事件が起きた。
このときの旧民主党政権の対応のまずさは、国民にとってもトラウマレベル。
当時、菅首相は海上保安庁が撮影した映像を公開しないことを決めていた。
なのに、まさかのYouTube流出。
海上保安官が映像を投稿して大騒ぎになった。

国の機密がYouTubeで公開された政権なんて、旧民主党政権以外にあるだろうか?
この反省もあって、安倍首相は渋る防衛省に映像を公開させたという。

 

ヤフコメでは圧倒的多数が首相を支持

 

今回の件について、軍事ジャーナリストの芦川 淳氏が「PRESIDENT Online」に興味深い記事を書いている。

公開された映像を分析して、韓国の駆逐艦がレーダーを照射したという日本の主張は正しいとしている。そのうえで、「韓国側は言い逃れができない状況だ」と指摘。

では、韓国側がそんな危険な行為をした理由はなにか?

射撃用レーダーの照射というのは、「下っ端」が勝手にできるものではない。
これを決定したのは「艦長か副長クラスなのではないか」とみている。
今回の駆逐艦クラスには、若手艦長の最初の任官先になることが多いという。
いまの若い職業軍人は、反日教育を受けて育った世代だ。

それで「暴発」したのではないかと芦川氏は推測している。

「のぞきやがってけしからん、ひと泡吹かせてやれ」と、そのクラスの人間が命令したというのが、一番ふに落ちるシナリオだ。

 

韓国側が原因を明らかにしないからハッキリしたことはわからないけど、事件の背景として、次のポイントは間違いなくあるだろう。

今回の事案の背景には、文在寅政権のもと韓国国内でますます高まっている「日本には何をしてもいい」という韓国国内の空気感の影響もあるのだろう。

 

いまの韓国・文政権は日本を軽く見ている。
これは間違いない。
慰安婦財団を解散させるとか、徴用工判決について政府の対応をいまだに発表していないとか、いまの韓国は日本を怒らせることを平気でしている。

でも、「日本には何をしてもいい」という空気は前からあった。

日本が舐められる理由は、朝鮮日報の記事(2016/09/11)に書いてある。

韓国人は「日本は韓国に対する加害者だから、韓国は日本に対して何を言ってもやっても問題ない」と考えている。

「日本はいくら侮辱し続けても韓国の友好国であり続けるのか」

 

「日本=加害者、韓国=被害国」という不動の前提が韓国人の頭にある。
これが当然の常識になっていたら、「日本には何をしてもいい」という発想が出てくるのは自然なこと。

そして韓国側が自由にふるまって、韓日関係が悪化しそうになっても大丈夫。
日本側から「関係を一層冷え込ませる」「泥沼化する恐れもある」という声が出てきてブレーキがかかる。
結局日本は強く抗議してこないから、関係もそれほど悪化しない。

つまり、日本の自制心が韓国の反日を加速させていたということ。
いくら侮辱され続けても、韓国の友好国であり続けようとしてきた。
その結果、いまの日韓関係がある。

 

はじめ防衛省は映像の公開を渋っていたけど、安倍首相は許さなかった。
トップダウンで押し切った背景には、この反省もあるのだろう。
もし映像を公開していなかったら、「日本には何をしてもいい」という韓国社会の空気はさらに強くなっていたはず。

大人の対応なんてしていたら、相手はいつまでも子供のまま。
そんな舐めた対応は、5000年の歴史を誇る相手に失礼だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。