関根さんと李秀賢さんの死から18年。死者を政治に使うな。

 

2001年1月26日に「新大久保駅乗客転落事故」という鉄道の人身事故が起きた。

東京の新大久保駅で男性が線路に転落する。
それを見た関根史郎さんと韓国人留学生の李秀賢(イ・スヒョン)さんが男性を助けようと線路に飛び降りた。
でも、進入してきた電車にはねられて3人とも命を失ってしまう。

くわしいことはここをどうぞ。

新大久保駅乗客転落事故

当時、この事故は日韓で大きく取り上げられた。

 

それから18年後、先日、その追悼式が新大久保駅で行われた。
NHKニュース(2019年1月26日)

JR新大久保駅事故から18年 韓国人留学生の遺族らが追悼

李さんの母親や日韓の大学生などが新大久保駅に集まって、手を合わせていたという。

 

このニュースに対する韓国人の反応がレコードチャイナの記事(2019年1月28日)にある。

日本人のため犠牲になった韓国人留学生、18年追悼続ける日本に韓国ネットが感心

「言葉は必要ない。ただただ誇らしい」
「彼のおかげで韓国のイメージが良くなり、日韓関係も良くなった」
「こんなにも長い間、追悼行事を続けてくれるなんて。すごい」
「こういう部分は学ぶべき。韓国はどんなニュースもすぐに忘れてしまう」
「韓国人はすっかり忘れていたのに。日本のこういう姿は不思議だけどうらやましくもある」

この事故から約20年がたったいま、日本と韓国の関係は本当にヒドイ。
1965年の国交正常化以来、最悪という声もあるほど。
でも、それはそれこれはこれ。
日韓の政治的環境とは関係なく、関根さんと李さんを追悼する式は静かに続けていけばいい。

そう。
これは日韓の政治問題とは関係ないことだし、誰かの都合や思惑でからめてもいけない。

 

この事故を題材にして「あなたを忘れない」という映画がつくられ、2007年に日韓で公開された。
でも、この映画を撮った監督が「(これは)ドキュメンタリーではない」と言っているように、監督の思いが入り込んでしまって事実から離れてしまった。

演出が映画に挿入されたおかげで、この映画は「反日的」と批判されるようになってしまう。

たとえば、留学生の李さんがタクシーにはねられるシーンだ。
映画ではこのとき、タクシーの乗客(日本人)は「早く車を出せ」と言い、運転手は逃げてしまう。
でも実際はちがう。
李さんが日本でタクシーにはねられたことは事実だけど、タクシーの乗客は車から降りて李さんを介抱している。

映画を盛り上げるために、「韓国人を嫌う日本人」を登場させたかったのだろう。
「それでも彼は日本人を助けた」というアピールをしたかったのか。
韓国の反応は知らないけど、少なくとも日本でこの創作は不評をかった。

さらに李さんが日本人を助けようとしたのは、「朝鮮人独特のウリ(同胞)の精神」によるもので、彼が日本を許したからという監督の考えは、映画製作に協力した韓国人によって否定されている。

くわしいことはここを見てください。

あなたを忘れない

日本を許す/許さないという過去の歴史認識が、この事件と直接関係あるようには思えない。
第三者が勝手に想像してはいけない。

観客を泣かせるための演出かもしれないけど、全体的に見れば残念な映画になってしまった。
それにこの映画では日本人の関根さんがほとんど登場しない。
最後のシーンに少しだけ映っているということだから、「この映画は日本人を無視した」と非難されないために映したのだろう。

 

2日前、東亜日報も記事で李さんのことを書いていた。

対立の道を突き進む韓日、今こそ李秀賢精神が求められる

レーダー照射問題などで、いまの日韓には希望の光が見えない。

追悼式に参加した日本人たちは、「『今こそ李秀賢さんの精神が必要だ』と口をそろえたという」と記事にある。
ボクも日本人だけど、日本人が口をそろえてこの言葉を言うとは思えない。
李さんのしたことは、日本や韓国という国を超えた人道的な行為だ。
日本人なら、日韓の政治対立と死者の魂に手を合わせることは別と考えるのでは?

これは、この韓国人記者の言葉に思えてならない。
「という」の伝聞調の表現がどうもあやしい。
この人は自分で取材をしてないのか?

そして、なぜか安倍批判が出てくる。

安倍晋三政府が、国内政治的な目的で韓日の対立を利用しようという意図が少しでもあるなら、厳しい審判を受けるだろう。

この政治主張と「李秀賢精神」に何の関係があるのか?

 

さらにこの記事は、関根さんについては一言も触れていない。
だから全体的にガッカリな記事になっている。
李秀賢さんについて書くなら、政治的主張はなくすべき。
関根さんを抜かして安倍批判を入れるという発想もダメ。
こんなことをしているから、美談がいろあせて日韓関係も前に進まないのだ。

きのうこんな記事を書いたから、物言わぬ死者を政治にからめようとする韓国の発想には、どうしても抵抗を感じてしまう。

【慰安婦問題】死者まで政治利用の反日団体「正義連」とは?

慰安婦問題で日本を非難することは絶対的な正義だから、そのための手段なら何をしてもいいとかん違いしていないか?

 

 

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2 件のコメント

  • 毎年、大久保の事件が取り上げられて英雄視する韓国人の方を目にするたびに一緒に亡くなった日本人には全く触れない事や、その後に同じように電車事件が起き同じように政治利用が活発になり、その時も同じように韓国人だけを取り上げ日本人をガン無視して再度韓国人を英雄視。
    助け出された人が駅員に礼を告げたり、感謝を述べたこともなかったかのように虚実を報じたり韓国英雄視の世界で邪魔な日本人の存在や日本人が悪でない存在は(あたかも、ここで挙げられている韓国の映画監督の日本人への脚色のように)削除しての報道に疑問がどんどん膨らみました。あからさまな政治利用と事実誤認が批判されたのちは大久保の事件のみがそのまま毎年英雄視の記事を繰り広げるようになりました。振り返れば2002年の日韓共催からの反日発覚から盛り上がっていた韓国批判の抑制だったのでしょう。このような世論誘導を長年見続けてくると、韓国がしたいことは自分の都合のいいように日本をコントロールすることなのだと。
    死者に対してまで世論を誘導したり扇動するために利用することに拒否感が否めません。ですが、尊い命が人命救助の為に失われたのも事実です。その事実を政治利用で歪めるたり利用したりする道具に使う人たちが毎年現れ、嫌韓が増すたびに利用することに虚しさを感じます。

  • >死者に対してまで世論を誘導したり扇動するために利用することに拒否感が否めません。
    まったく同感です。
    いまの人間が自分の利益や目的のために、あの出来事を再構成して伝えるのは冒とくです。
    政治やお金の世界から死者の魂を解放するべきと思います。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。