西アフリカ旅行で大変なこと?人・フランス語・マラリアの3つ

 

はじめの一言

「そのような小屋まがいの家に居住している人々はねっからの貧乏らしいのだが、活気もあって結構楽しく暮らしているみたいである(モース 明治時代)」

「逝きし日の面影 平凡社」

 

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セネガルの中学生(小学生かな?)

 

15年以上前に、西アフリカの4か国を旅したことがある。
「セネガル・マリ・ブルキナファソ・ガーナ」の4か国。

まわりの人にそれを言うと、大体こんな反応が返ってくる。

「ガーナ以外、聞いたことない国ばっか。というか、ガーナもよく知らないけど」

日本では、西アフリカの国はほぼ知られていない。
ボクのまわりの人は、ガーナとかろうじてセネガルを「聞いたことがある」ぐらいで、マリとブルキナファソなんて誰も知らなかった。

「それって、国の名前なの?『マリ』って、ボールの鞠みたい」

という人もいたぐらい。

 

ボクのまわりの人間が特別に無知な日本人だったというわけではなくて、ふつうの日本人がこのぐらいだと思う。
あ、でもあいつらは、特別アホかもしれないけど。
類が呼ぶのは友だから。

ほとんどの日本人にとって、西アフリカにある国というのは自分にとって未知の世界だと思う。

 

 

「西アフリカを旅してきたぞ」と言うと、こんなことを聞かれることも多い。

「で、そこを旅して大変だったのはなに?」

西アフリカで大変だったこと。
いろいろあるけど、やっぱり言葉かな。
最初に入った西アフリカの国がセネガルだったけど、薬を買うだけであれほど苦労した国はない。

 

ボクがアフリカ旅を考えたときに、一番不安だったことはマラリヤに感染することだった。

「マラリア」という言葉は、「悪い空気」という意味の古いイタリア語だそうだに。
昔のイタリア人は、悪い空気のために起こる病気だと考えたのだろうか?

 

マラリアには、いくつか種類がある。
そのなかで最悪のものが「熱帯熱マラリア」で、これに感染したら下手したら命を落とす。

 

治療が遅れると、死なないまでも脳に障害が残ってしまうこともある。
本当に怖ろしい病気だ。

東南アジアでも、熱帯熱マラリアをもった蚊がいるところがあるから、よ~く注意してほしい。

 

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セネガルの結婚パーティーで

 

ボクは、このマラリヤの薬をセネガルの薬局で買ったのだけど、これだけでもう冒険。

セネガルの公用語はフランス語で、現地の人はフランス語を話している。
看板の言葉も当然、フランス語で書かれている。
だから、まず看板の文字が読めなくて苦労した。

それでも現地の人にききながら、何とか薬局にたどりつくことができた。

 

マラリアの薬(抗マラリア剤)には、クロロキンというものが有名。
けど、西アフリカの蚊はこのクロロキンに耐性をもっているものが多く、そこではクロロキンはあまり有効ではない。

それで、ボクが欲しかったのはメフロキンという薬。
でも、これは副作用がとても強い。
副作用で失明した人もいるとか「飲むこと自体が危険」という話を聞いて、ビビりまくっていた。

マラリアか副作用か?
怖いのは、マラリアだ。
だから「副作用が出たら、すぐに服用を止めよう」と思って、セネガルに着いたらすぐにメフロキンを買うことにしていた。

 

そして、セネガルの薬局に行ってから初めて知ったことがある。
メフロキンにも、いくつか種類があるらしい。
薬局のスタッフが何とか英語で話してくれた。

「どのメフロキンが欲しい?」

そうきかれても、さっぱり分からない。

説明書きを見てもフランス語で書いてある。
薬局の人も詳しい説明は、フランス語でしかできない。
どのメフロキンが良いのか、さっぱり分からない。

 

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たぶん、ニジェール川

 

薬については命にかかわるから、「何となくこれでいいや」ではすまされない。

「宿のオーナーは英語を話すことができた。あのオーナーに適切な薬をきくしかない」

そう思って何も買わず、薬局を後にした。
幸い、宿のオーナーはこんなことを言ってくれていた。

「何かあったら、いつでも相談してくれ。オレは、いつでもここにいるから」

と、青山テルマのようなことを言っていたオーナーは、宿にはいなかった。

 

その夜の夕方、帰ってきたオーナーから話を聞いて、ようやく買うべきメフロキンを知ることができた。

「でもな、」

とオーナーは、話を続ける。

「ダカール(セネガル)には、ニセの安い薬を売る薬局が多いからな。特に外国人には。だから、今日おまえが行った薬局では買わない方がいいぞ」

え?
ニセの薬を売るの?
でも、やりそうだな。
じゃあ、どうしたらいいねん。

 

翌日、オーナーがすすめてくれた薬局に行って、ようやく良さそうなメフロキンを手に入れることができた。
結局、薬を買うだけで2日もかかってしまった。

こんなに疲れる買い物は、なかなかない。

今では、ネットで適切な薬を探して簡単に手に入れることができる。
本当に良い時代になったもんだ。

 

ただ、セネガルがフランスの植民地だったことで良い点はある。
フラリと立ち寄った店のカフェとクロワッサンが、びっくりするくらいおいしかった。
「なんだ、これは?」
と思うほど。

セネガルで知り合ったフランス人に言わせると、「ダカールのカフェとクロワッサンは、パリのものと変わらない。値段がすごく安いだけ」らしい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。