国際司法裁判を恐れる韓国、「敵」は日本よりも無責任な味方

 

「日韓関係は最悪の状態だ」という言葉を、ここ2カ月ほどで何度も書いている。
最悪、最悪と言っても実際には何とかなっているのだから、なんだかんだ言って日韓関係の体力はけっこうある。
だから安心して対立すればいい。

さて昨年10月、韓国の最高裁判所が日本企業に賠償命令を下してから3か月が過ぎた。
あったりまえのことだけど、徴用工問題は1965年の日韓協定で解決済み。
元徴用工の人たちに請求権があるのなら、韓国政府に請求すればいいだけのこと。
国家間の約束を最高裁がひっくり返すなんてことはあり得ない。

日本政府はこの判決を「国際法違反」と非難して、韓国政府には先月、「政府間協議」を求めた。
これに応じるかどうか30日以内に返事をしてほしいと言ったのだけど、韓国は今月8日の期限を過ぎても結局何も言わない。

韓国政府の“無視”によって、日本が韓国を国際司法裁判所(ICJ)に訴えることが現実になりつつある。
韓国の判決は国際社会で通じるものではないと自信を持っているから、日本政府はこの事態を恐れていない。

でも、韓国はコレが不安で仕方ない。
日本に対してはいつも正義を振りかざして迫っているのだけど、その正義を国際社会に裁かれることを韓国は本当に嫌がっている。

でも最近、中央日報に勇ましい記事(2019年02月11日)があった。

「強制徴用判決、ICJ・仲裁に進んでも韓国が勝つ」

日韓が国際司法裁判所(ICJ)の裁きを受けた場合、韓国が必ず勝つという。
この記事には、そんな日本人弁護士の意見が載っている。

この日本人は韓国政府に、国際司法裁判所に持ち込むことをためらうなとエールをおくっている。

「日本政府が勝つ可能性はない。したがって韓国政府は日韓協定の規定通り仲裁に行ったほうがいい。国際司法裁判所に進んでも心配することはない。だから韓国政府は堂々と出ていくべきだ。

 

韓国の主張は国際司法裁判所で必ず認められる。
だから堂々と出ていくべきだ。

そんな助言を受けた韓国政府はどう考えているのか?

「30日間、無返答」という韓国政府の不誠実な態度を見て、日本政府は徴用工問題を国際司法裁判所に提訴する準備をはじめた。
そのための弁護士を選任する段階に入ったという。
これと同時に、日本が韓国に対して経済制裁をする可能性も浮上してきた。

中央日報の記事(2019年01月11日)では、韓国政府は上品な表現でこの事態を恐れている。

これについて外交部関係者は「日本が文明国家にふさわしい措置を取るものと考える」と話した。

日本からの強制徴用協議要請に…韓国政府、「慰安婦被害者も協議」逆提案?

 

「韓国が勝つ」「心配することはない」「韓国政府は堂々と出ていくべきだ」と外野は背中を押すのだけど、韓国政府は、国際司法裁判所に訴えないよう日本に「文明的対応」を求めているのが現状だ。
どう言われても、韓国政府はきっと国際社会の場には出ていけない。
でもそうなると、「弱腰」と国民から非難されてしまう。

いま韓国を追い詰めているのは、日本じゃなくて無責任な応援だ。
他人ごとで能天気な味方ほどやっかいなものはない。

“敵”であれば、「文明国家にふさわしい措置を取るものと考える」とか「韓日関係を重視するなら、日本は自重すべき」とか好きなことを言える。
でも、自分を支持する人たちにそんなテキトーなことを言うわけにはいかない。

フレンドみたいなエネミー(敵)、いわゆるフレネミーは本当に面倒くさい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。