アメリカ社会と差別①「オリエント」の言葉に怒るアジア人

 

「オリエントって言葉は差別的だと思う?」

2,3年前、アメリカ人から突然そう聞かれた。
ボクの答えはノー。
オリエントという響きには歴史が感じられるし、神秘的なイメージもある。

ではここで、この言葉の意味を確認しておこう。
辞書を見るとこんな説明がある。

オリエント(Orient)

・東方の国々。東洋。東方。⇔オクシデント。
・メソポタミアおよびエジプトを中心とする地方。地中海以東、インダス川以西をいう。また特に、トルコ・アラブをさす。

デジタル大辞泉の解説

 

「東方の国々」というのは広い意味でのオリエントで、下は狭義のオリエント。

オリエントとはもともとラテン語で「日が昇る方角」を意味した。つまり、ヨーロッパから見て東の方角。
質問をしたアメリカ人(黒人)はオリエントを「ヨーロッパの東で、トルコから日本までの範囲」とばくぜんと考えていた。
ボクもそれで間違っていないと思う。

ちなみにオリエント(東方)の反対がオクシデント(西方)で、これはヨーロッパ世界をさす。

 

旅好きの人なら、オリエントと聞いたら「オリエント急行」が思い浮かぶのでは?
オリエント急行は19世紀に運行がはじまったヨーロッパの長距離夜行列車だ。

 

フランス(パリ )とトルコ(イスタンブール)の間を走っていた伝説的な列車。
その伝説にあやかって、世界のあちこちにこの名にちなんだ列車がある。

くわしいことはここを見てほしい。

オリエント急行

 

ボクが死ぬまでに、一度は乗ってみたいと思う列車がある。
それが東南アジアの「イースタン&オリエンタル・エクスプレス」。
タイ~マレーシア~シンガポールを走る超スーパー豪華列車だ。
むかしこの列車に乗ろうと料金を調べてみたら、飛行機代より高くてたまげた。
いま料金を調べてみたら、最低でも30万円以上はする。

こういうわけでボクの場合は「オリエント」という言葉には、差別的な意味をいっさい感じない。
むしろあこがれる。

ためしにこの言葉を入力したら、こんなん出ました。

どう見ても、日本ではオリエントに悪いイメージはなさそう。
差別的な意味があったら、会社やホテル名には使わないはず。

 

先ほどのアメリカ人もこの言葉に悪い意味はまったく感じていなかった。
でもアメリカにいたとき、「オリエント」と言うと、アジア系の人から「オリエントという言葉は差別的だから、使わないでほしい」と何度か言われたという。
具体的には中国系、インド系、ベトナム系のアメリカ人。

なんでこれが差別になるのかサッパリ分からなかったけど、アメリカ人は「それは差別」という言葉にメッチャ弱いらしい。
知り合いのアメリカ人は議論が好きで自分の意見をハッキリ言うほうだけど、アジア人から「差別」と言われると黙ってしまう。

相手を侮辱する意図はないし、オリエントがなんで差別的なのかも謎だけど、自分は黒人だからアジアの歴史や民族的背景はよく分からない。
それでそれからは“安全”を優先して、この言葉を使わないようにしていたという。

 

差別ってのは気持ちじゃなくて行為。
外側にあらわれた言動によって判断されるから、何も言わなければ何も起こらない。
アメリカ社会ではこういうことはよくあると思う。

でも後から調べてみたら、「オリエント」という言葉にはやっぱり差別的な意味があるらしい。
次回、そのことを書いてきます。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。