日韓の歴史認識問題、日本人の努力で一致できる部分もある。

 

始めの一言

*鎌倉の海浜で見た綱漁の様子について

「美しい眺めですー(中略)子供ばかりではなく、漁に出る男のいないあわれな後家も、息子をなくした老人たちも、漁師のまわりに集まり、彼らがくれるものを入れる小さな鉢や籠をさし出すのです。そして食用にふさわしくとも市場に出すほどよくない魚はすべて、この人たちの手に渡るのです(メアリ 明治時代)」
「逝きし日の面影 平凡社」

 

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前回こんなことを書いた。

・「7世紀、日本に紙のつくり方を教えたのは、曇徴(どんちょう)という高句麗のお坊さんだ」と、韓国人は思っているけど、それが本当かは確認されていない。

・奈良の法隆寺の金堂壁画を描いたのも、曇徴だと韓国では考えられているけど、これも確証がないため、日本では事実だとは認められていない。

 

日本と韓国とでは、歴史認識でこういうことがよくある。

韓国が「歴史的事実」として、学校で教えていることや社会で信じられていることが、日本にくると「そんなことがあったいうという確証がない」「そんな事実はない」と否定されてしまうようなこと。

 

曇徴(どんちょう)さんはその象徴のような人物だから、少しくわしく書く。

韓国の歴史教科書(小学校)では、曇徴(どんちょう)についてこのように書いてある。

高句麗の文化を日本に伝えてあげた曇徴

「わかりやすい韓国の歴史 明石書店」

 

韓国の歴史教科書には「教えてあげた」と書いてあるけど、実際には先ほど書いたとおりで、確認されていないから分からない。

曇徴【どんちょう】

推古天皇18年(610年)に来朝した高句麗(こうくり)の仏僧。生没年不詳。儒教の五経,絵画の彩色の法,紙・墨の製法,農具まで伝えたとされるが,確証はない。

(百科事典マイペディアの解説)

なんで韓国の歴史教科書には、確認されてもいないことが事実になっているのか?

 

その理由の1つは、韓国が日本に対して「文化的優越感」をもっているから。
この考え方は、韓国人の常識でもある。

韓国人のもつ文化的優越感について、韓国の歴史教科書を訳した日本人がこう説明している。

韓国文化の日本伝来については、王仁や曇徴を挙げて、わが国はすぐれた文化を日本に「教えてあげた」とする記述になっている。

韓国語にも「教える」「伝える」という言い方は、親が子どもに、先生が生徒にといった目上の人が目下の人に使う表現である。

こうした表現が日本に対する文化記述に使われているのは、韓国の歴史教育が古代史において文化的優越感を堅持することを目標にしているからである

「わかりやすい韓国の歴史 明石書店」

韓国では、小学生に対して「日本に対する文化的優越感」を持たせるための教育をおこなっている。
つまり、歴史教育の目的は「子どもたちに過去の出来事を伝える」ということではない。

 

「過去の出来事で伝える」ということになってしまう。
過去の出来事を伝えることで、「日本に対する文化的優越感」や「韓国人としての民族的な誇り」をもたせることが目的になっている。

 

その視点に立てば、「曇徴が日本に製紙法を伝えた」ということや「法隆寺の壁画を描いた」ということが実際にあったかどうかは、大きな問題ではない。

大切なことは、それを伝えることで子どもたちが「民族的優越感」をもつこと。
韓国では、それを歴史教育の目的にしているのだから。

 

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前に浜松市の広報誌に、「留学生のインタビュー」というコーナーがあった。

そこに韓国人の話が載っていて、その内容が「王仁(わに)という人物が、日本に進んだ文化を教えました」というもの。

他の国の留学生は、「日本で驚いたこと」や「日本で気に入っているところ」などを話していて、その韓国人がそんな「やや上から目線」なことを言っていたから、記憶に残っている。

 

でもボクの友人の韓国人も、そんな考えをもっていた。

「法隆寺の金堂壁画を描いたのは、曇徴(どんちょう)という韓国人だと聞きました」

一緒に京都に行ったときに、ボクにそう言ったことがある。
とはいえ、彼にはまったく悪意はない。
でも日本人だったら、そんなことを外国人に言うだろうか?

 

そのとき、その説はまだはっきり分かっていない「未確認情報」だと知っていたから、「そういう説もあるけど、確認されていないよ」と簡単に言っておいた。

 

本人も「そう聞いたことがある」というだけで、具体的な根拠は知らない。
だから、「はっきりとは分からないけど、そういう説もある」ということでボクと彼の見解が一致した。

 

経験上、相手の意見を否定するようなことでも、自分が考えていることをはっきり伝えた方が韓国人とはうまくいく。

「相手の言うことを否定したら、その人の気持ちを悪くするかもしれない」と、黙っていると、その方が後からその人を傷つけることがある。

本当のことを知っていたら、相手に伝えた方がいい。

 

日本と韓国の間で、ときどき「歴史認識を合わせる」ということが言われる。
この問題は難しく、日韓の歴史認識のすべてを合わせることは現実的ではない。
でも、一致できる部分もある。

 

これまで見てきたように、韓国では歴史的な事実だとされていることでも、日本では「その確証はない」ということが多くある。
韓国人がそんな話をしていたら、「そういう説もあるけど、はっきりわかっていないよ」と伝えることが大事。

 

「日本と韓国で歴史認識を合わせることなんて、不可能だ」
と思いがちだけど、合わせられるところは合わせようとする努力も必要。

でもそのためには、日本人が日本の歴史を知っているということが、何よりも大切だけどね。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。