中国人が驚いた鯉のぼりの意味と由来。「登竜門」だったとは!


 

日本は島国。

大陸にある中国からいろいろなものが日本に伝わってきた。
そのなかには日本で独自の進化をとげてしまい、中国のものとは別物になったものもある。

日本にはそんなものがよくある。
たとえば餃子やラーメン。

中国で餃子といえば水餃子のこと。
でも日本で餃子といえば焼き餃子のことをいう。

中国や台湾では、日本の餃子を「鍋貼」と書く。
「鍋に貼り付いたもの」という感じなんだろう。

 

日本のラーメンも中国のラーメンとはちがう。
中国ではそれを区別するために、日本のラーメンは「日式拉麺」なんて書いてある。
「日本式のラーメン」ということで、中国のラーメンとは別物と考えられている。

 

 

こんなことは他の国でもある。
外国から来たものが、長い年月をへて「その国のもの」として定着してしまうこと。

インド料理にもその例を見ることができる。
ナンとタンドリーチキンといえばインド料理を代表するような食べものだけど、2つともインドで生まれたわけではない。

外国からインドに入ってきて、インドで定着した食べ物だ。

 

「ナン」はペルシャ語。
インドのヒンディー語ではない。

 

タンドールというかまでつくる「タンドリーチキン」も、イスラーム教徒がインドに伝えたもの。

だから、「インド=ペルシャ料理」といった方が正確だと思う。

現在の形のタンドールはアフガニスタンで発生し、ムガル朝のインド征服とともにインドに伝わった。

(ウィキペディア)

 

 

前置きが長くなってしもた。

たいていの中国人は、「餃子もラーメンも中国で生まれて日本へ伝わった食べもの」ということは知っている。

でも日本にはこんなものもある。
日本にそれがあることは知っていたけれど「その由来が中国にある」ということは知らなかった、というもの。

それが今回取り上げるこいのぼり。

 

富士山の芝桜

 

中国人と香港人をつれて、富士山の芝桜を見に行ったときのこと。

途中でこいのぼりを見つけた。

 

 

鯉のぼりを見て、中国人と香港人がこんなことを言う。

「わたしは鯉のぼりがとても好きですよ」
「本当に日本らしいと思います」

彼女たちがそんなことを言っていたから、こんな質問をしてみる。

「鯉のぼりの意味って知ってる?」

「子どものためじゃないですか?」
「男の子が立派な大人になりますように、という願いがあると聞きました」

「そうそう。だいたいそんな感じ。でも、鯉のぼりの意味というか由来は中国にあるんだけどね。それは知ってた?」

それを聞いて、「え?」と驚く中国人と香港人。

「中国のなんだと思う?」とボクが聞いても、2人ともまったく思い浮かばない。

「鯉のぼりの元になったものが、中国にあるんですか?」
「中国と鯉のぼりが結びつきません。それはなんですか?」

 

 

「日本の鯉のぼりは、中国の『登竜門』の考えから生まれたんだよ」

そう教えると、中国人も香港も「えっ?」と声をあげて驚く。

登竜門の話は中国でとても有名。
だから2人ともそれは知っていた。
日本に住んでいるから、鯉のぼりのことも知っていた。

でも、登竜門の話が鯉のぼりの由来になっていたことには、2人ともまったく気がつかなかったという。

ムリはない。
ボクも、鯉のぼりの由来が登竜門にあると知ったときは驚いたから。

鯉のぼりの「のぼり」が龍門を登ることだなんて、話を聞くまでまったく気がつかなかった。

*以下、登竜門は「竜」で龍門は「龍」と書く。

 

日本文化を代表する着物も、中国の衣服が由来になっている。

 

中国の大地には黄河という大河が流れている。

黄河のことは中学校の授業で習ったと思う。
世界で6番目の長さを誇る大河。

ちなみに中国では、「河」というと黄河をさして「江」は長江のことをさす。
この地図だと、上が黄河で下が長江になる。

 

中国にはこんな言い伝えがあった。
黄河には、「龍門」とよばれる急流(滝)がある。
その龍門を登りきることができたこいは、龍になることができたという。
そんな話がある。

 

「鯉が龍になる」という話から、人が出世するための関門を「登竜門」とよぶようになった。
これは「後漢書」李膺(りよう)伝の故事による。

登竜門の話は韓国にも伝わっている。
ハングル文字だと등용문で、「トゥンヨンムン 」と言う。

 

黄河にある壺口瀑布。
こんな滝を登りきったら鯉が龍になったのかも。
画像はウィキペディアから。

 

 

こんな鯉でも、

 

がんばって龍門を越えたら、
(これは中国のお寺)

 

竜になれるらしい。

 

それがなぜこうなった?

 

江戸時代に、登竜門の話が元になって今の鯉のぼりの原型ができた。

ウィキペディアには、こんな説明がある。

さらに、吹流しを飾るだけでは芸がないと考えたのか、一部の家庭で「竜門」の故事にちなんで、吹流しに鯉の絵を描くようになった。 現在の魚型のこいのぼりは、さらにそこから派生したものである。

 

ラーメンや餃子なら中国のものと似ている。
だから中国人や香港人が見てもすぐ分かる。

でも、鯉のぼりは登竜門の話からかけ離れすぎている。
2人とも日本に住んでいて、今までに何回も鯉のぼりを見たことはあった。
でもその意味や由来が登竜門にあったことには、まったく気がつかなかったらしい。

 

登竜門の話から生まれた鯉のぼり。
龍門を登る鯉の姿に、我が子の出世や成功を願ったのだろう。
画像はウィキペディアから。

 

 

この「登竜門」の話は、むかしから日本に伝わっている。

龍門とそれを登ろうとがんばっている鯉。
これは京都の金閣寺にある。

 

 

龍門を英語にした「ドランゴンゲート」というプロレス団体もある。
でも、レスラーは登竜門ではなくて、「闘竜門」の出身らしい。

 

 

おまけ

これは登竜門の話とはまったく関係ない。

京都の修学院離宮にはこんな鯉がいる。

この鯉は、夜になるとここから飛び出してしまったらしい。
だから、こうやって網をかけるようになったとか。
修学院離宮にはそんな言い伝えがある。

 

おまけのおまけ

中国の黄山

 

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