日本にもあった「カースト(ヴァルナ)差別」


 

 

始めの一言

「日本人はこれまで知りあったどの国の人よりも、うわべだけでなく、すべての物事に対して物静かで、控えめ、知的で、芸術好きで、思いやりがあってひじょうに感じがよい人たちです。

(アルバート・アインシュタイン)」

 

IMGP0485

 

前回までの記事で、インドのカースト(ヴァルナ)がどうやって生まれたのか?

カースト制度やカースト差別は、今のインドではどのような感じなのか?

そんなことを書いてきた。

 

世界で一般的に言われている「差別」というものは、一般的には人種差別や宗教差別が多い。
だから、インドのカースト差別や日本の部落問題みたいに、「同じ人種・宗教の中で行われる差別」というのは珍しい。

 

世界には「部落問題」のような差別がほとんどないから、「部落問題」を英語をすると、そのまま「Buraku problem」となることもある。
そんなことも前回書きましたねえ。

 

今日は、「日本のカースト差別」というよう部落問題について書いていきたいと思います。

この記事では「同和問題」という言葉をつかうことにする。
部落問題と同和問題の違いは、ウィキペディアを見てくださいな。

 

 

明治時代、シドモアというアメリカ人女性が日本を旅行で訪れていた。

彼女は現在、毎年行われている「ワシントン桜まつり」の起源にあたる人。

ワシントンの桜祭りは、シドモアから~明治の日本を知る旅~

 

彼女は、日本で知った部落差別の様子をこう書いている。

 

「このあたりには、世間から見捨てられた人たちの暮らす被差別部落があります。死体を扱い、川や毛皮で衣服を作る人を蔑(さげ)すんだためです。
差別の起源には、彼らが朝鮮から渡来したため人の子孫であるとか、皇室の鷹狩りの実行者や提供者として長く勤めたという伝説的理由もありますが、むしろ動物の生命を奪うことを禁じた仏教戒律の影響と思われます
(シドモア日本紀行 講談社学術文庫)」

 

これは、江戸時代に「えた(穢多)」と呼ばれた人たちのことだろうと思う。

「えた(穢多」

農業従事者もいるが、皮革処理や牢屋の牢番・行刑役などを主な生業とした。かわた・きよめなどと呼ばれる賤眠を含む。えた頭の支配下にあり、一般人との交際や居住地を制限された。1871年のえた・非人の称廃止時に28万人余りという
(日本語用語集 山川出版)

 

江戸時代には、この「えた」という人たちを含めた「賤民(せんみん)」と呼ばれる人たちがいた。

「賤民(せんみん)」

江戸時代に政治的な意図などから四民の下位におかれていた身分で、えた・非人などがあった。結婚・交際・居住など、社会生活において差別され、不当な扱いを受けた。
(日本史用語集 山川出版)

 

 

ここでいう「政治的な意図」というのは、そのことによって「人々の支配を容易になるようにした」ということなんだろうね。

この文からは、幕府が日本の統治をしやすくするために、意図的に賤民をつくったとも読み取れますねえ。

 

でも、この日本用語集には「なんで、このような人たちが差別されるようになったのか?」という「差別される理由・由来」については書いていない。

シドモアがいうように、仏教の影響によるものだろうか?

 

とにかく、この江戸時代に「賤民」と呼ばれていた存在が、現在の同和問題に深くかかわっていることは間違いない。

 

 

ところで、これを読んでいる方はこの「同和問題」という言葉を知っていましたか?
ボクは京都の大学に入るまで、この言葉をまったく聞いたことがなかった。
なんせ、友だちが「どうわもんだい」言ったとき、頭に浮かんだのは「童話問題?」だったぐらい。

「童話の何が問題なんだろう?」と、素朴に疑問だった。
ボクの反応に、それを言った京都出身の友人が驚く。
「同和問題を知らないの?静岡じゃ、学校で習わないんだ・・。」

関西では、誰でも知っているようなことだという。

 

今は分からないけど、少なくても浜松のボクが通っていた小中高の学校では、同和問題を教えてはいなかった。
だから、関西に行ってからこのことを初めて知った。

 

さらに、大学でこのことを詳しく習って、ショックを受けてしまった。

日本人が、同じ日本人を差別していたとは!

「これは、同じ人種・宗教の中での差別で、インドのカースト差別と同じです。人が人に違いをつくって生み出した『意図的で、人工的な差別』です」

大学の教授がそんなことを言っていた。
「同和問題は、インドのカースト差別と同じ種類のものです」という言葉には、ビックリした。
そんなこと、まったく知らなかったよ。

 

 

「インドにはカーストによる差別があります」と、中学校の先生が授業で言ったときは、「だからインドはダメなんだよなあ」とか「遅れてるんだよ」なんて偉そうに思ってしまった。

でもまさか、自分の身近で、それと同じ差別があったとは。

しかも、20歳になって初めてそれを知るとはね。
自分がどんだけ日本のことを知らなかったか。
思い知らされましたよ。

 

今までの記事でカースト制度のことを書いていたら、このことも思い出した。
だから、今回、記事にしてみようかなと。

日本人だったら、インドのカースト差別より先に知らなきゃいけないことかもね。

 

 

さっきシドモアの文章から、明治時代の日本の被差別部落の様子を紹介した。

では、現在はどうなっているのか?
もちろん、場所によってまったく実態は違うと思うけど、そのうちの一つをここで書きたい。

 

現在のむらはもう、以前の差別と貧困にいじめられたスラム的な姿ではない。
現在の被差別部落問題は、そこに住む部落民自身をも内包し、さらに複雑な様相を呈している。
今日では環境改善事業が実施され、むらにあった古い屠場は移転し改善された。
道路も舗装され、ただ空き地だけが余白のように寒々と残っている血と脂の臭いは草いきい風景になったが、同時に、過疎化のすすむ殺風景な田舎町のようになってしまった
(被差別の食卓 新潮新書)

 

被差別部落出身の著者は、自身の「ルーツ」をこのように書いている。

 わたしの家系は、神話で知られる旧南王子村、現在の和泉市の被差別部落からこの地に養子にきたことからはじまっている。
そしてわたしの祖父は京都・天橋立の近くにある被差別部落から嫁をもらい、わたしの父が生まれた。
むらではこのように、わたしの祖父母の時代までは、近くのむらから嫁や養子をもらって縁組をしていた。
差別のため、一般地区の人とは結婚できなかったからである。

(同書)

 

これは、ボクがインドで聞いたカースト差別とまったく同じだ。

 

良かったら、こちらの記事もどうぞ。

「シドモアが見た明治の日本と日本人~部落差別とカースト差別~」

旅で見た、「最下層(アウトカースト)」のインド人の生活と日蓮

インドのダリット(不可触民)とは? 仕事や生活など。

「カルカッタショック」・「最下層カースト」インド人の現在

現在のインドでカースト制度とは?憲法とガンディー

ランキングに参加しています。
良かったら、下のボタンを押してください。

  

 

ツイッターしてます。
folow me plz.
@amamatsushizuo3
このブログには、姉妹編があります。良かったら、こちらも、ご覧ください。

・英会話ブログ「英会話で『ええ会話』」

今、英会話のレッスンで、ネイティブ・スピーカーに習ったことを復習代わりに、ここで紹介しています。
中学レベルの英語が中心で、旅行や日常会話が内容になっています。
ただで、レッスンが受けれるようなもので、お得ですよ。
・歴史・文化などの雑学的なブログ「日本と世界のあれやこれや」

日本や世界の歴史、文化、社会のことをあれやこれやと雑学的なことを書いています。