今回の登場人物は、静岡の大学に通う20代のドイツ人女性で、ここでは彼女を「ターニャ」と呼ぶ。
ターニャは今年の3月にやってきたから、日本には約4ヶ月住んでいることになる。
これから、ドイツ人留学生が日本の生活で感じたことを紹介していこう。
想像以上だった日本の「清潔さ」
ーーターニャはこれまで日本に住んでいて、「良いな」って感じるのはどんなところなんだ?
ターニャ:そう聞かれて、真っ先に頭に浮かんだのは「清潔さ」ね。
ドイツにいたとき、日本で住む大学の寮は築◯十年と聞いたから、どんなお化け屋敷かとビクビクしていた。
でも、実際は想像の3倍以上キレイだったから、日本ではメンテナンスがしっかりされているなって感心したわ。
ーー外壁に色を塗り直して誤魔化したという可能性は?
タ:それを考慮しなかったと思われるなんて、このわたしもずいぶん見くびられたものね。
ーー会って2回めで、そこまで分かるヤツなんていねーよ。
日本人だからって、相手の能力を瞬時に把握する「スカウター」なんて持ってないしな。
タ:とにかく、寮だけじゃなくて、大学のキャンパスも通学路も、旅行で行った東京や京都もとてもきれいで、「汚い」と感じたことはほぼなかった。
わたしにとって、生活するうえで「清潔」というのはとても重要な部分で、日本の環境はそこがクリアされているから、基本的には快適に暮らすことができているの。
一方、ドイツでは⋯
ーードイツはきれいなイメージがあるけど、実際はそうでもないのか?
タ:田舎はきれいよ。それと観光ポスターも。
でも残念なことに、都市部では路上にゴミが落ちていたり、建物には落書きがあったりして、それが当たり前になっている。
ーー日本は人が行き交うところでもきれいなところが、ドイツとは違うのか。
といっても、SNSを見ていると渋谷や歌舞伎町の一部は、世紀末みたいに荒れているけどな。
ああいうところは清掃員じゃなくて、「悪」を排除するケンシロウが必要だと思う。
タ:もちろん、日本は完全じゃない。知的で礼儀正しい人もいれば、あなたみたいな役立たずもいる。わたしが経験した範囲では、清潔で気持ちが良かったって話。
ーーさらりと毒を混ぜるな。
本家( ターニャ・デグレチャフ)の「本日をもって貴様らは無価値なウジ虫を卒業する」よりはマシだけどさ。

たしかに、ドイツの観光地はキレイっぽい。
夜のコンビニも安心な「治安の良さ」
タ:それと、女性にとっては「治安が良い」というのもすごく助かる。
ヨーロッパの中ではドイツも治安が良い方だけれど、日本は別格。これは誇りに思っていいわ。
ーーアジア人、アフリカ人、欧米人といろんな外国人がそう言うから、べつに俺の手柄じゃないけど、それは自慢に感じていいことなんだって思う。
タ:そうね、あなたはむしろ足を引っ張る側だったわね。失言でした、ごめんなさい。
ーー失言じゃないから、謝罪するな。
前に、日本に住んでいた20代のインド人女性も治安を絶賛していたよ。
彼女がある日、夜10時に一人でコンビニへ買い物へ行って、「そんな時間に一人で外出したのは人生で初めてだったから、すごく新鮮だった!」とうれしそうに話していた。
タ:わたしはインドへ行ったことがないからほとんど知らないけど、あそこは「絶対にそういうことをしてはいけない国」ということは分かるわ。
ーーそう言えばこの前会った韓国人の女の子は、治安は韓国と同じくらいで、とくに日本のほうが安全だとは感じないと言っていたっけ。
「愛国補正」がかかっていたかもしれないけどさ。
タ:ドイツだったら夜に一人で外出するのはできるだけ避けるけれど、日本なら深夜に小腹が減っても、安心して近くのコンビニへ行くことができる。
つまり、ドイツの安全さはインドと日本のあいだにあってことね。
ーーその幅はかなり広くて、世界中の5割の国がそこに入らないか?
まぁドイツは「日本寄り」だろうけど。

日本に住むあるカナダ人がアパートの自室でムカデを見つけて、身の毛がよだち、「アパートごと燃やしたい!」と叫んだ。

ちなみに、ムカデを漢字で「百足」と書き、英語では「centipede(センチピード)」になる。
「centi-(センチ)」の語源は、ラテン語で「100」を意味する「centum」で、それに「ped(脚)」が組み合わさってできた。
日本生活の強敵は「虫」と「網戸」
ーーターニャが日本に住んでいて、良いと感じるところは「清潔さ」と「治安の良さ」か。じゃあ、悪いところを教えてくれよ。
タ:そうね、日本に住んでいて「イヤだな」って感じるのは虫ね。
あなたがそう聞いて、「自分もその一種」だなんて落ち込む必要はないわ。わたしが言っているのはもっと小さな蚊やゴキブリのことだから。
前もって言ってあげたわたしの配慮に感謝してもいいわよ。
ーー卑下も感謝もしねーよ。先走りすぎだ。
でも、涼しい国から来た外国人はよくそれを言うよな。日本はジメジメ&蒸し蒸ししているから、いろんな虫が発生して部屋の中に入り込んでくる。
タ:それなのよ。ドイツでゴキブリは、本当に汚いところに出るから、わたしには縁のない生き物だった。
でも、日本ではもう2回も部屋の中で見たの!
ーーそれは仕方ない。日本ではどんなに掃除しても、アイツの侵入を完全に防ぐことはできないからな。
タ:それと網戸。
日本に比べて、ドイツの夏は短くて乾燥しているから、蚊やハエが少なくて、網戸の必要性があまりなかったのよ。
最近はドイツの夏も暑くなってきたから、網戸をつける家も増えたけど。
ーー夏の日本で窓をフルオープンにしたら、とんでもないことになるぞ。
網戸をしていないことに気づかないで、電気をつけて部屋を出ていって、しばらくしてから戻ってきたら、部屋が虫に占領されていたってヤツもいた。
総じて日本での生活には大満足
タ:そんなの絶対に耐えられない。
わたしだったら、「もはやこれまで」って寮を燃やすかしらね。
ーー本能寺の変かよ。
それって西洋人の基本的な発想なのか?
タ:日本は自然が豊かで緑がとても美しいのに、網戸のせいで部屋の中からそれが見えなくなってしまった。
それに、失って初めて「開放感」の価値に気づいたのよ。
網戸に慣れていないから、それが目に入ると嫌な気分になる。
ーーでも、それってすごく小さなことじゃないか?
タ:そのとおり。
つまり、わたしは日本での生活にすごく満足しているってことなのよ。
ーー最後にそれが聞けて良かったよ。

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