2017年の今年は、昨日(5月27日)からラマダンが始まった。
困ったことに、このラマダン期間中にはテロが多発するらしい。
ということで、外務省が「ラマダン期間中は、安全確認にじゅうぶんな注意をはらってください」と呼びかけている。
●5月27日(土)頃から6月27日(火)頃は,イスラム教のラマダン月及びラマダン明けの祭り(イード)に当たります。
今回はこのラマダンということについて書いていきたいと思う。
イエメンのイスラーム教徒の女性。
目だけを出す「ニカブ」をかぶっている。
先ほどの外の注意喚起には、「ラマダン月のテロについて~」と書いてあった。
「ラマダン月の~」あるように、ラマダンとはそういう月の名前。
イスラム教徒にとって神聖な月をラマダンという。
ボクは前まで、ラマダンに対してこんなイメージを持っていた。
「ラマダンとは断食をすること」
こんな考えを持っている人は他にもいると思う。
でも実際にはちがう。
ラマダン期間中、イスラーム教徒はたしかに断食をする。
この一ヶ月は、飲んだり食べたりはしない。
だからといって、「ラマダン=断食」というわけではない。
断食をすることをふくめて、ラマダンとはイスラーム教徒にとって特別な月のこと。
イスラム暦で9月を意味するラマダンにコーランが預言者ムハンマドに啓示され、イスラム教徒にとってラマダンは聖なる月となった。
(ウィキペディア)
だから「ラマダーン=断食」というイメージは間違い。
イスラーム教徒が聖なるラマダン月におこなうことは断食だけでない。
この期間中、イスラーム教徒にふさわしいことや望ましいことをおこなう。
たとえば、こんなこと。
・断食をしてイスラーム教徒の仲間意識を高める。
・貧しい人へのほどこしを多くおこなう。
・性行為はしない。
・喫煙をしない。
・クルアーン(英語読みだとコーラン)をすべて読む。
イスラーム教徒はこうしたことをラマダン月におこなう。
もちろん、何をどのぐらいするのかは個人の考え方や信仰心によってちがう。
言ってみたら、ラマダンとは「イスラーム教徒の強化月間」のこと。
ラマダンはイスラーム教徒にとって神聖な月になる。
だから、強化月間という俗っぽい表現はあんまり良くはない。
でも、「ラマダン=断食」という単純なイメージよりは「イスラーム教徒の強化月間として、断食をふくめ宗教的な行為をおこなう」と考えた方が実態に近いと思う。
なんでイスラーム教徒はラマダン中に断食をおこなうのか?
断食をする理由はなにか?
先ほどこんなことを書いた。
「断食をしてイスラーム教徒の仲間意識を高める」
これはボクがイスラーム教徒に聞いたことであり、イスラーム教の本に書いてあったこと。
でもこれは、断食の理由というよりは結果。
ラマダン月は、世界中のイスラーム教徒が同じように断食をしている。
その結果、イスラーム教徒の仲間意が高まる。
ということ。
イスラーム教徒が断食をする理由は、クルアーン(英語読みだとコーラン)にそう書いてあるから。
クルアーンの第2章185節にこんな文がある。
ラマダーンの月こそは人類の導きとして、また導きと(正邪の)識別の明証としてクルアーン(コーラン)が下された月である。それであなたがたの中、この月(家に)いる者は、斎戒しなければならない。
病気にかかっている者、または旅路にある者は、後の日に、同じ日数を(斎戒する)。
アッラーはあなたがたに易きを求め、困難を求めない。
これはあなたがたが定められた期間を全うして、導きに対し、アッラーを讃えるためで、恐らくあなたがたは感謝するであろう
*「斎戒(さいかい)」というのは、「神聖な仕事に従う者が、飲食や行動を慎み、心身を清めること(デジタル大辞泉)」という意味の言葉。
この文章の場合、それが断食になる。
上のクルアーンの言葉は「東京ジャーミー」のウェブサイトにのっている。
イスラーム教の聖典であるクルアーンにこう書いてあるのだから、これはイスラーム教徒の義務になる。
だから絶対にしなければならない。
イスラーム教徒がお酒を飲むことや豚肉を食べることが禁止されている理由も同じ。
クルアーンにそう書いてあるから。
でも、断食については例外がある。
病人や旅人はしなくてもいい。
その意味でイスラーム教の考えは合理的というか人にやさしい。
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