旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい

 

今はまだセントレア空港のなかにいる。

大連(中国)いきの飛行機のチケットは手に入れた。
でも、出発にはまだ時間がある。

ということで、日本で最後のご飯を食べに行こう。

日本での最後の晩餐(ばんさん)なら、やっぱり日本食でしょ。
それもなるべく日本的で、できるだけ安いものがいい。
ということで、おにぎりに決定。

さっそくセントレア空港にあるコンビニへとむかった。

 

今まで利用した世界中の空港のなかで、一番情けない看板。
でも心にうったえるものはある。

 

ボクが中国を初めて旅行したのは、今から20年前ぐらい前になる。
そのときから今までに6、7回中国を旅行した。

中国には呼ばれ続けている。

中国に行って初めて気づいことはたくさんある。
そのなかのひとつは、「中国にはおにぎりってないんでだ!」ということ。

 

中国は日本と同じように、パンではなくてお米の食文化の国。
日本の米はもともと中国からきたものだから、お米とのつき合いは日本よりも長い。
そんなこともあって、「中国人もおにぎりを食べている」となんとなく思いこんでいた。

 

でもそれは片思いだった。
中国を旅行していて、街中でおにぎりを見たことがない。
コンビニにはポッキーやウーロン茶はあったけど、おにぎりを見た記憶がない。

でもネットで見ると、今の中国ではコンビニでおにぎりを売っているらしい。
だからおにぎりがまったくないというわけではない。
でも、日本のように国民食にはなっていない。

調べてみたら、中国にはおにぎりを食べるという食文化がなかった。

 

北京の屋台で、サソリやタツノオトシゴのフライ

 

「中国人にとって、おにぎりとはどんなものなのか?」

サーチナの記事(2016-12-24)にはこう書いてある。

中国でも日本同様にコメが主食の1つとして食べられているが、ご飯をにぎって「おにぎり」にして食べるというのは日本独特の習慣だ。中国人は冷たい食べ物を嫌う傾向にあるため、おにぎりを作ったり、食べたりする習慣もない。

日本人がコメを炊き、塊にすると「おにぎり」というおいしい食べ物に生まれ変わる=中国

 

これは2016年12月の記事だから、今の中国人のこと。
「おにぎりは日本独特の食文化」ということは、前に本で読んだことがあるから知っていた。
でも、知らない人が見たら意外に思うかもしれない。
おにぎりは、日本人による偉大な発明なのだった。

 

ウィキペディアにも、中国や朝鮮半島では冷たいご飯を食べる習慣はないことがかいてある。

中国や朝鮮半島では「炊いた飯は温かい状態で食べるもの」という意識が強く、おにぎりなどの冷や飯というものに対し「施しを受けた下賤な者が仕方なく食べる物」「やむを得ない場合の携行食」といった悪いイメージが強く根付いており

日本語でも「冷や飯を食う」といえば「冷遇される」という意味だから、悪いイメージではある。
でもおにぎりはこのイメージとは別。

それにしても、「下賤の者が仕方なく食べる物」というのはひどい。
おにぎりに謝ってほしい。

 

中国の食堂は、いつも湯気が立っているようなイメージがある。

 

中国人の妻をもつ日本人のブログを見ても、中国人がおにぎりに関心をしめしていないことがわかる。

残念ながら中国人的には「つまらない、食べたいと思わない」食べ物なんですって、おにぎりって。

おにぎりという貧相この上ない食べ物

 

中国人や韓国人には、「お米は温かい状態で食べるもの」という考えが常識的にあって冷めた飯は好きではない。
だから、むかしからおにぎりを食べるという食文化はなかった。

ボクが中国でおにぎりを見つけられなかったのは、こういう背景があるらしい。

 

おにぎり好きのボクにとっては、これはなかなかのショック。
おにぎりに対する蔑視(べっし)および不当な待遇はひどい。
「ふざけるな!」
日本中のおにぎりはそう怒ってもいい。

日本人・中国人・韓国人には、お米を主食とする食文化がある。
でもおにぎり(冷たいご飯)については、これほどの食文化のちがいがある。

 

食文化は変化する。

今では中国のコンビニでおにぎりが売っているように、韓国でもコンビニでおにぎりを売っている。

とはいえ、韓国での「三角キムパプ(三角おにぎり)」歴史は浅い。
韓国のコンビニに三角おにぎりが登場したのは2000年のころらしい。

 

 

台湾のコンビニでは茶ばやしょうゆで煮た卵が売っている。
*茶葉蛋(チャーイエダン)
中国でも路上でこれを売っていた。
日本人にとってのおにぎりのような身近な食べ物。

中国人は日本の卵かけごはんにおどろくらしい。
中国では卵を生で食べることはないから。

日本と中国にはいろいろな食文化のちがいがある。

 

 

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2 件のコメント

  • 昔、中国ではどこでも石炭が手に入るからわざわざ冷たいご飯を食べない、と聞いたことがあります。
    余談ですが、昼のご飯が冷めていたせいで研修生に逃げられた農家があるそうです。別に差別的意図は無いのですが、馬鹿にされたと思ったんだとか。

  • 日中の文化の違いから、そんなことも起こるのですね。
    農家さんに悪意はなかったでしょうけど、中国人なら屈辱的だったかも。
    でも最近は中国のコンビニでもおにぎりがあるそうです。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。