「滅茶苦茶・手遅れ・崩壊」これが韓国メディアの日本報道

 

韓国を代表する全国紙のひとつ、中央日報がきのうトップで報じた記事がこれ。(2020.04.09)

 

 

「滅茶苦茶」「手遅れ」「東京崩壊」

なにこの絶望感。
いまの日本に広がっているのは、視界ゼロの黒闇だけか?

確かに最近の日本では新型コロナウイルスの感染拡大が続いていて、東京ではきのう、過去最高の180人以上を記録した。

だが待ってほしい。
それでも韓国よりはうまくいっているのだ。

きのうこの記事を見たときに死亡者数を確認したら、韓国204人に対して日本では94人となっていた。
人口比(韓国は日本の約4割)から考えると、日本の犠牲者は韓国の3分の1以下。
日本のコロナ対策にはいろいろ問題があるけれど、数字で見ると韓国よりははるかに成功している。
*死亡率から考えると、日本は世界の中で優等生だ。

新型コロナウイル感染の世界的な状況はここで確認できますよ。

worldometers.coronavirus

 

ではこの記事をくわしく見ていこう。

「日本もう滅茶苦茶、安倍氏の宣言は手遅れ」…「東京崩壊」警告も

安倍首相が緊急事態宣言をだしたことについて、ニューヨーク・タイムズは「日本が新型コロナで緊急事態宣言、時すでに遅し?」という見出しの記事を報じた。
NYTの元記事を見たら、「Japan Declared a Coronavirus Emergency. Is It Too Late?」というタイトルで、「安倍氏の宣言は手遅れ」と書いたわけではなくて、その可能性を指摘しただけ。
それが韓国メディアの手にかかると、「?」はなしで“手遅れ”にされてしまう。

 

「日本もう滅茶苦茶」については、NYTの記事でイギリスの教授(国際保健)が「Japan has been screwing up」と言ったことが根拠になっている。
screw upは「めちゃめちゃにする、大失敗する」という意味で、それにhas been ~ingだから、「感染者が増加していることで、日本はいま取り返しのつかない状態に近づいている」ということだろう。
なのに中央日報は「日本はすでに滅茶苦茶だ」と訳す。
原文を見ても、「すでに・もう」なんて言葉はどこにも書いてない。

この教授は「a surge of patients could cause Tokyo’s health care system to collapse.」と、患者が急激に増加したら、東京の医療システムは崩壊するかもしれないと言っている。
これは日本でも以前から指摘されていることで、間違いない事実。
そうならないように緊急事態宣言を出したり、ホテルに患者を収容できるように手はずを整えたのだ。

こんな原文から一体なんで、「日本はすでに滅茶苦茶だ」という結論を導き出せるのか?
現時点では韓国よりいい“成績”なのに。

 

またNYTの記事にはこんな文章がある。

Experts who have been advising the government are divided over whether Japan — which has still not reported the sort of explosive rise in cases seen in places like Italy and the United States — is at a crisis point.

 

専門家たちの意見では、イタリアやアメリカなどで見られる爆発的な増加がまだ報告されていない日本が、いま危機に瀕しているかどうかについて意見が分かれている。

これもその通りで、現在の日本が分岐点にいることは日本人ならだれでも知っている。
でも韓国紙はこの重要な部分を書かない。

NYTの記事では、東北大学のウイルス学の教授で政府のアドバイザーでもある大谷仁史氏がしたツイートを紹介している。

“the risk of infection is very low if people continue ordinary living, unless they go to hot spots.” Those places are defined by the government as the “3 Cs” — closed spaces where crowds meet in close proximity.

 

「密閉・密集・密接」の3密の場所(ホットスポット)に行かない限り、感染のリスクは非常に低いという。
この情報も中央日報の記事にはない。

「東京崩壊」については、北海道大学の西浦博教授が日本経済新聞とのインタビューで「現在の東京都は爆発的で指数関数的な増殖期に入った可能性がある」と述べたことが根拠になっている。
この可能性の示唆から、「東京崩壊」という表現を作り出すのが韓国メディアの日本報道。

 

いま日本はコロナを拡大させるか抑えられるかの分かれ道にいて、NYTにはその両方の意見がのっている。
その上で「Is It Too Late?」と疑問を投げかけた。
(たしかに、もう1週間ぐらい前に緊急事態宣言をだしてほしかったと個人的には思う)

でも韓国メディアは一方の意見を徹底的に無視して、過去と進行形を意図的に誤訳し、自分の望む考え方だけを載せて「東京崩壊」という原文にはない言葉を使ってこんな記事を作っしまう。

「日本もう滅茶苦茶、安倍氏の宣言は手遅れ」…「東京崩壊」警告も

とはいえ、韓国人読者が思わず読んでみたくなるタイトルではある。

その国の社会の中で、最も中立公正で正確な情報を提供する(はず)の全国紙で、読者受けする記事のためにここまで改ざんする。
日本が相手なら何でもアリといっても、これを一面トップにもってくるなんて、韓国メディアの報道こそもう滅茶苦茶だ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

4 件のコメント

  • まあねぇ、今は総選挙直前ですから。韓国新聞各紙もかなり「盛って」報道しないと、後日になって再選を果たした与党議員たちから「総選挙で我々に協力しなかった親日勢力」とレッテルを貼られても堪らんでしょうからね。
    その浅はかな考えかたが、自国民の考えかたをどれほど「時代遅れのものにしているか」思いつかない韓国新聞各紙も。
    こっちを巻き込まないように。私は、ここのブログ主さんのように優しくないですから。

  • やっぱりね~。 日本ひどくなれ~♪って楽しみにしているのがありありとしていますね。
    相変わらずの韓国ですね。
    最近韓国のコロナニュースが流れないのでどうなっているのかさっぱりわかりませんが落ちついたのかな?

  • 原文と照らし合わせると、韓国紙の報道がどれだけ一方的でどんな意図があるのか見えてきます。

  • 韓国メディアの報道を見ていると、韓国はいま何を戦っているのかよくわかりません。
    これでさえ韓日戦にして張り合っているような。
    最近の韓国では患者数が減少傾向にあって、落ち着いてきています。
    日本はいまが勝負のときですね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。