【国恥】中国人にとっての柳条湖事件・近ごろの中国の「反日」

 

「大家好,这次介绍了在中国的人气日本餐厅连锁店!」

「みなさんこんにちは。今回は中国で人気の日本食チェーンの店をご紹介します!」という感じに、日本にいる中国人のネット投稿はふだんは気軽でフレンドリーなものが多い。

でもこの日になると、

永遠不能忘‼️九一八❗️
勿忘国耻!

「九一八をけっして忘れる!」「国の恥を忘れてはいけない!」といった穏やかではない投稿をチラホラ見るようになる。
ある中国人が日本語で「今日は九一八事変国恥記念日」と書くこの9月18日は、中国東北部(満州)で鉄道が爆破され、満州事変の始まりとなった1931年の柳条湖(りゅうじょうこ)事件が起きた日だ。

「国恥」とは、外国から受けた屈辱を忘れないよう定められた記念日のことだから、この場合は当然その対象は日本。
それで中国を旅行中に現地で働く日本人から、「その日は反日感情が高まるから言動には注意してるヨ」という話を聞いた。
具体的には街中ではあまり日本語を使わない、酔っぱらっている中国人には近づかない、といった配慮をしているらしい。
中国では盧溝橋事件が起きた7月7日も「国恥の日」になっているから、この日に中国にいるのなら、言動には気をつけたほうがいいと思われ。

そんな日に「中国で人気の日本食チェーン店を店をご紹介します!」なんて投稿をしたら、「国賊」とか言われそうだ。
これは別の記事で書こうと思うけど、柳条湖と同じ中国東北部にある大連市で、日本の街並みを再現した商店街「盛唐・小京都」がこのまえオープンした、がすぐに営業停止になった。
これも「永遠不能忘‼️九一八❗️」の民族感情が関係しているはず。
せめてこの日が過ぎるまで待てばよかったのに。

 

事件直後の柳条湖の爆破現場

 

知人の中国人の話によると柳条湖事件が起きた9月18日は、日本人のとっての8月6日・9日と同じで、忘れてはいけない重要な日になる。
その人の「肌感覚」だと近ごろの中国ではこの日には、日本を非難するより、恥辱を改めて思い出して二度とそんな目にあわないよう国をもっと強くしなければならない、といった前向きな雰囲気が増えている。

ちなみにことしのこの日、事件が起きた瀋陽市では防空警報を鳴らしたり車がクラクションを鳴らしたとか。
中国で「反日感情」が高まる日ではあるものの、記念式典に出席して演説を行なった政府のお偉いさんは日本批判をしなかった。

読売新聞の記事(2021/09/18)

趙氏は演説を行い、式典の意義について「悲壮な歴史を心に刻みつけ、美しい未来を切り開くためだ」と強調した。日本の直接の批判は控えた。

柳条湖事件90年、式典で日本への直接批判は出ず

 

市民による反日デモも起きなかったし、全体的に静かだったらしい。
つまり中国の「反日」は、もう過去のものになったのだ。
というのはお花畑で、国益を最優先で考えた場合、いまは日本との関係を重視して刺激しないほうがいいと判断したからだろう。
それは日本の国力が前提になっている。
だから日本はこれからも、中国が一目置くような経済力や技術力、国際的な影響力を保有していないといけない。
だから国恥ではないけれど、美しい未来を切り開く、国をもっと強くしなければならないと日本人も思うことも重要だ。
そういう緊張感のうえで、「这次介绍了在中国的人气日本餐厅连锁店!」という日中友好がある。

 

こちらの記事もいかがですか?

変れぬ清②日本と中国の歴史の決定的な違い、易姓革命とは?

「日本」カテゴリー目次 ⑤ 韓国や中国から知る日

中国(長安)よ、これが「最強の遣唐使」空海だ!①at 西安旅行

「アジアの光」日本② アジアの歴史教科書から見た日露戦争

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。