インド人が驚いた日本人。カースト差別と闘う佐々井秀嶺という仏教僧。

 

 

最近、友人のインド人にこんな質問をメールでしてみた。

「インドにいるこの日本人の仏教僧を知ってる?」

と、その人の写真を付けて質問してみた。
するとこんな答えが来る。

I really not sure whether this person is famous or not in India.
May be I have not put interest in this side.

このインド人は、その日本人がインドで有名なのかよく分からないらしい。
そもそも彼はその方面に興味がない。
ちなみに彼は、アメリカに住んでいる。

 

デリーに住んでいるインド人からはこんな返事が来た。

I apologize, I did not know about Shurai San.
But he may be more famous in other places like Nagpur.

ちょっと話がそれる。
インドを旅行していると、「インド人は本当に謝らない」という話をよく聞く。
たしかに、ボクがインド旅行で会ったインド人で「アイム・ソーリー」なんて言った人は一人もいない。

「自分は誤っても謝らない」というのが旅で出会うインド人。
でも日本で知り合うインド人はちがう。
このメールみたいな感じでよく謝る。
インド人といっても本当にいろいろな人がいる。

 

そんな彼は、「Nagpur(ナーグプル)みたいな場所なら、その日本人は有名かもしれない」という。

ナーグプルはインドの中部にある。
この地図だと東京のところ。

 

「なんでナーグプルやねん?」
と思ってウィキペディアを見たら、こう書いてある。

20世紀後半、同市の国際空港にもその名を冠したアンベードカルが、同地のディークシャーブーミにて仏教へ改宗運動を起こした影響で、同世紀後半以降はインド国内では比較的仏教徒の多い街として知られる。

「仏教への改宗運動」という言葉はこの記事のキーワードになるから、覚えておいてほしい。

 

友人のインド人の言葉を続ける。

It is very surprising,… In ancient times, India sent people to other countries to spread Buddhism.
But now, people from those countries are coming back to India to spread Buddhism!!

本当に驚いた。
古代、インドは外国に人びとを送って仏教を伝えていた。
でも今では、そうした国から人びとがインドに戻ってきて仏教を伝えている!!

 

ちなみに東南アジアで初めて仏教が伝わったところを、タイ語で「スワンナプーム」という。
スワンナプームは、タイの国際空港の名称になっている。

 

「I apologize, I did not know about Shurai San」のShurai Sanというのが、佐々井秀嶺(ささい しゅうれい)という日本人の仏教僧。

佐々井師は岡山県生まれの日本人だけど、インドの国籍を取っているから今はインド国民になっている。
本名はアーリア・ナーガルジュナというらしい。

佐々井 秀嶺

佐々井 秀嶺

インドで活動している日系インド人(一世)の僧である。ナーグプールのインドラ寺(インドラ・ブッダ・ビハール)にて住職を務めている。
カースト未満の身分のダリット(不可触賤民)の人々を仏教へと改宗させるアンベードカルのインド仏教復興運動の中心人物の一人となっている。

(ウィキペディア)

 

ここに書いてある「ダリット(不可触賤民)」という人たちは、カースト制度(ヴァルナ=ジャーティ制度)のもとで激しい差別を受けきた。
ダリットたちの生活はこのようなものだったという。

住居も、町や村外れの、不潔な、生活用水もない場所に定められ、木の葉や泥以外の家に住むことができず、その暮らしは家畜以下であった

「アンベードカルの生涯 光文社新書」

 

皮革のなめしや染色、ゴミや屎尿の処理、ネズミ取り、死体処理、火葬などといった(ほとんどが世襲の)職業ゆえに「不浄」とみなされている

「インド入門 マノイ・ジョージ」

ダリットたちがヒンドゥー教徒である限り、こうした差別から解放されることはなかった。
そのため、多くのヒンドゥー教徒が仏教徒に改宗している。

アンベードカルがそれをおこなって、佐々井師がその意思を継いでインドで活動している。
佐々井師は80万人ものダリットを仏教徒に改宗させたという。

この活躍にインド政府も注目する。
2003年には、政府からマイノリティ・コミッション(少数者代表委員会)の仏教代表として、佐々井氏が政府委員に任命された。

 

ダリットの少女

 

作家の五木寛之氏は、「インドで闘う、日本人僧侶」と佐々井師を紹介している。

佐々井師はインドに渡ってから、39年間、一度も日本に戻って来たことがない。
五木寛之氏は、著書「21世紀 仏教への旅 (講談社)」で佐々井師をこう書いている。

インドの仏教徒たちから、菩薩のように慕われ、敬愛されている

インド仏教界の最高指導者のひとりと認められるまでになっている

インドのカーストの最下層の人びとに布教した日本の僧侶は、佐々井師以外にいないだろう。

 

インドの北部にはチベット仏教徒もいる。

 

佐々井師は、その活躍のわりには日本で知られていないと思う。

この人はあまりにも型破りな人だったため、日本の仏教界から「異端いたんの人」と見られることもあるらしい。
くわしくは「21世紀 仏教への旅 (講談社)」を読んでほしい。

い‐たん【異端】

正統から外れていること。また、その時代に多数から正統と認められているものに対して、例外的に少数に信じられている宗教・学説など。

デジタル大辞泉の解説

でもそんな人でなかったら、インドのカースト差別と闘うことはできないだろう。
佐々井師はもっともっと日本で知られていい人物だと思う。

 

 

ところで、インドで仏教徒がどれぐらいいると思いますか?

外務省のホームページにはこう書いてある。

ヒンドゥー教徒79.8%、イスラム教徒14.2%、キリスト教徒2.3%、シク教徒1.7%、 仏教徒0.7%、ジャイナ教徒0.4%

インド(India) 基礎データ

今のインドの人口は約13億。
上の数字で計算したら、インドの仏教徒の数は910万人いることになる。

 

でも実際には、インドの仏教徒は1億人を越えているという。
インドで正確な統計をとることは本当にむずかしい。

本当は仏教徒だけど、奨学金をもらうために「ヒンドゥー教徒」と申告することがあるらしい。
こうしたところからもインドの社会が見えてくる。
そのへんのことも、「21世紀 仏教への旅 (講談社)」に書いてある。

 

おまけ

「インドで一番有名な日本人はだれ?」とインド人に聞いてみた。

その答えがこれ。

It’s difficult to say the most famous Japanese people in India. You ask anybody, they can easily tell 10 famous Japanese companies.
But most people in my field of work could say Osamu Suzuki san is very famous.

「一番有名な日本人はだれか?」というのは答えずらいけど、日本の会社なら簡単に10は言えるらしい。
でも、彼にとって有名なにほは鈴木修氏らしい。
自動車メーカースズキの会長。

マルチという自動車メーカーで働いている彼にとってはそうなんだろうなあ。

 

 

 

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今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。