慰安婦合意②韓国の立場と日本の反応。譲歩が大事?だが断る。

 

では、前回の続きです。

慰安婦合意①韓国政府の発表に日本の反応は?非難・怒り・警告。

 

今月10日、韓国の文(ムン)大統領が、2015年の慰安婦合意に対する韓国政府の立考え方を発表した。

それに対して、産経新聞と読売新聞はとても厳しいことを書く。

もし韓国が慰安婦合意を守らなかったら、「韓国の信頼は地に落ちる(産経新聞)」「韓国は規範を無視する国家だと見なされても仕方ない(読売新聞)」という。

でも、そりゃそうだ。
自分の都合が悪くなったら、言い訳をして相手との約束をキャンセルしてしまう。
そんな人間が信用を失うことは、小学生でも分かる。

幸いなことに、韓国政府は慰安婦合意の破棄を宣言していないし、日本に再交渉を要求してこなかった。
それをしたら韓日関係は終わるし、国際社会で韓国の信用はガタ落ちしてしまうから。

 

産経と読売新聞は今の韓国政府をほとんど信用していない。
ついでに言うと、日本政府も慰安婦問題については、今の韓国を相手にしていない。
韓国が何を言っても、「それは受け入れられない」「韓国は合意を履行してほしい」と突っぱねている。

でも、毎日と朝日新聞はちょっと違う。

 

 

まずは、毎日新聞の社説(2018年1月11日)を見てみよう。

「慰安婦問題で韓国が見解 「合意」の根幹を傷つけた」

 

2015年に「慰安婦問題はこれで最終的に解決される」と日韓両政府が確認した合意を、韓国は今になって「あれで解決にはならない」と言い出す。

毎日新聞は、韓国政府(文大統領)の発表について「納得しがたい点が多い内容だ」と不満げに書いている。

納得しがたい内容の1つに、元慰安婦の人たちを支援するために日本が出した10億円の扱いがある。
この10億円については、後でまた触れる。

毎日新聞の社説で特徴的なのはこの部分だ。

慰安婦問題での感情的対立を再燃させず、安保など他分野での協力を進めていくことが大切だ。

これと同じ言葉をどっかで聞いたことあるような?
と思ったら、これは韓国政府の大好物「ツートラック理論」と同じじゃないか。
*「トラック」は陸上競技の走路のこと。ツートラックとは、「2つの別々の道」という感じ。

韓国政府は、「歴史問題とそれ以外の問題(経済や安全保障など)などは、分けて考える」という「ツートラック」で日本に対応したいと考えている。
日本もこれと同じように韓国に接するべきだ、と毎日新聞は言いたいらしい。

だが断る。

 

 

韓国がよく言うツートラックは、日本でとても評判が悪い。

「慰安婦問題(歴史問題)とそれ以外は切り離して、それぞれに対応する」というと良さそうな気はする。
でも、それを具体的に言うと、「韓国は日本大使館前の少女像は動かさない。でも歴史と経済は別問題。だから、韓国は日本に経済協力(通貨スワップ交渉など)を求める」という韓国にとって、とても都合のいい理論にもある。

韓国政府は「8月14日を慰安婦記念日にする」となんて反日的なことをするけど、経済的利益もほしい。
「歴史問題とそれ以外は切り離す」という韓国のツートラックにはこんな面があるから、日本では嫌われている。

 

日本国民の生命と財産を守る安全保障の分野でなら、韓国と協力することはいい。
でも、経済は違う。
経済協力の話をする前に、韓国には慰安婦合意での約束を守ってもらう必要がある。
「韓国の信頼は地に落ちる」「規範を無視する国家だと見なされても仕方ない」といわれるほど、韓国は国家としての信用を失っている。

信用できない相手とお金の話はできない。
「歴史問題と経済は別」なんてことを日本が認めていたら、韓国はきっと、いつまでたっても慰安婦像を動かさそうとしない。

今の日本政府は韓国のツートラック外交を拒否している。
安倍首相は平昌オリンピックには参加しないし、日本が経済協力(通貨スワップ交渉)をすることもない。

中央日報の記事(2018年01月11日)にそのことが書いてある。

韓日合意をめぐり、文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本政府に新たな措置を求める姿勢を示したことを受けて判断したと、同紙は分析した。

「安倍首相、平昌五輪欠席へ、韓日通貨スワップ交渉に応じず」

「安保など他分野での協力を進めていくことが大切だ」と毎日新聞は言うけれど、それで韓国が合意を守るだろうか?
安保はそれでいいとして、経済協力では「まずは日韓合意を守ってください。話はその後です」と韓国にプレッシャーをかけたほうがいい。

 

 

次に朝日新聞の社説(2018年1月10日)を見てみよう。

「慰安婦問題 合意の意義を見失うな」

 

韓国政府がしめした方針について、朝日新聞は「理解に苦しむ表明である」「むしろ事態はいっそう混迷しかねない」と批判的。

韓国政府は今回、元慰安婦のために10億円を用意するという。

では、日本が韓国側にわたした10億円はどうなるのか?
そもそもそのお金は、慰安婦合意のときに韓国側が要求してきたものだが?

韓国から「出してほしい」と言われて日本が10億円を出したら、 元慰安婦やその支援団体は「日本の金はいらない。送り返せ」と言い出す。
そんな圧力に押された韓国政府は、「政府が10億円を出して、元慰安婦の人たちには韓国のお金を使ってもらいます」と発表した。
韓国政府は日本の10億円について、「これから日本と話し合って、どうするか決めていく」なんて無責任なことを言っている。
たしかに韓国の考え方は「理解に苦しむ」。

 

朝日新聞の社説では韓国政府の発表を非難する内容が多いけど、「韓国の要求は受け入れられない」「慰安婦合意は1ミリも動かさない」と強調する日本政府の態度も批判している。

日本側も「1ミリたりとも合意を動かす考えはない」(菅官房長官)と硬直姿勢をとるのは建設的ではない。(中略)韓国側から言われるまでもなく、合意を守るためにその範囲内でできる前向きな選択肢を考えるのは当然だ。

「1ミリも合意を動かさない」は建設的ではないのか。
韓国に言われなくても、日本は何かしたほうがいいのか。

だが断る。

 

ちょっと待ってほしい。

 

日本が「安保など他分野での協力を進めていくことが大切だ」と毎日新聞は言う。
日本が「できる前向きな選択肢を考えるのは当然だ」と朝日新聞は言う。

日本政府に韓国への歩み寄りを求めているところが、産経や読売新聞とは違う。

でも今ここで、韓国への譲歩をしてはいけない。
「前向きな選択肢」ではなくて、きっと「最悪の選択肢」になる。

朝日新聞は社説で、過去の首相が元慰安婦に出した「おわびの手紙」に触れている。
これも「前向きな選択肢」の1つなんだろう。

でも、今の日本政府がおわびの手紙を出すことは、前向きではない。
2015年の慰安婦合意にもとづいて、安倍首相はもう「心からのお詫びの言葉」を表明しているのだから。
日本がまたおわびをする必要はない。

慰安婦合意に具体的に書いてないことを、日本がする必要はない。
そんなことをしたら、結果的に追加措置になって合意の内容が変わってしまう。

 

今日本は韓国に歩み寄るのではなくて、心を鬼にしたほうがいい。
韓国に約束を守らせるべき。
日本は「硬直姿勢」どころか、鉄の壁になって門を開けてはいけない。

日本政府は、「合意は1ミリも動かない」「韓国の要求は、まったく受け入れられない」と、今まで通り言い続けてほしい。
産経や読売新聞が書くように、「合意を守れ。さもなければ、韓国の信頼は地に落ちる」とプレッシャーをかけたほうが、長い目で見れば、日韓関係はうまくいく。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。