日本人には理解困難:支援団体から元徴用工を守る韓国政府

 

「徴用をめぐる問題で日本企業からお金をもらったら、それがどんな種類のものでも自分たちに20%を渡す」

「被害当事者の孤独な戦いを放置しない」と支援していた市民団体が、高齢の元徴用工に、そんな合意を結ばせていたことが発覚していま韓国で大きな問題になっている。

ヒドイのは、元徴用工の遺族がこの約束を知らなかったことだ。
この問題で約2100万円を受け取ることになった遺族に、市民団体が20%の支払いを要求し、その時はじめて合意の存在に気づく。
いきなり400万円以上の支払いを求められて遺族が反発すると、市民団体は1ウォン単位の金額が記載された内容証明を送りつけた。支払拒否なんて絶対に認めない、という強い意思が伝わる。
この市民団体の二重基準はすさまじい。
元徴用工のためにならないと韓国政府や外交部(外務省)を大声で批判するのに、自分たちはこういう非常識な振る舞いをして遺族を困らせる。
そんな態度を朝鮮日報が指弾した。(2023/05/28)

韓国外交部を「無礼」呼ばわりしておいて…「カネ払え」と徴用被害者宅を訪問した市民団体【記者手帳】

外交部の幹部が政府の解決策について説明するため、それに反対している元徴用工の自宅を訪れた。
すると支援団体が激怒し、「白昼に突然高齢の被害者宅を訪ねてドアをたたくのは暴挙ではないか。非常識な行為だ」と理事長が非難する。
でもこの理事長は、約2100万円を受け取った徴用工遺族に「電話をかけたり、自宅を訪ねたりして、5000万ウォンを要求したことが分かった」というから、どんな素材で心臓ができているのか知りたい。

自分たちが無視されたことが理事長には許せないようで、外交部が元徴用工と会う時には家族や支援団体が「同席しなければならないのは常識だ」と主張する。
でもこの団体が11年前に元徴用工と合意を交わした時、家族にそのことを知らせなかった。
だから、

「合意文書の原本を受け取り、青天の霹靂(へきれき)だった。90歳を超える高齢者を呼び、拇印(ぼいん)まで押させておいて、子どもたちは全く知らなかった」

と怒る遺族もいる。
政府の解決策にはダンコ反対するのに、カネだけはもらおうとするこの団体にいま国民は冷たい視線を向けているという。

 

日本や中国の歴史には「君側の奸」という発想がある。
天皇や皇帝は悪くないけれど、まわりにいる悪者が政治をしているから国は間違った方向へ進んでしまい、民衆は苦しい思いをさせられる。
だから、そんな側近は排除しないといけない。
それを理由に中国史では14世紀に「靖難(せいなん)の変」が、日本史では承久の乱、西南戦争、二二六事件が起きた。

日本の歴史の特徴・君側の奸を討つ②北条泰時の承久の乱とは?

日本史の特徴「君側の奸を討つ」の例①西南戦争・二二六事件

 

元徴用工の人たちはいいとしても、「私たちが最後まで共にある」と言いつつ、実はカネ目当てで支援していた団体は問題だ。
こんな真っ黒な人たちも「君側の奸」と言っていい。

【君側の奸】20%中抜き 徴用問題の解決をジャマする市民団体

それについて先日、こんな動きがあった。

聯合ニュース(2023.05.26)

韓国財団が徴用賠償額受領者を法律支援へ 支援団体への寄付踏まえてか

韓国政府の解決策に基づいてお金を受け取る原告側が、その過程で何らかのトラブルと直面した場合、政府傘下の財団が法律に関する情報を提供してサポートすることになった。
知らない間に結ばれた合意を根拠に、内容証明まで送ってカネを取ろうとする市民団体に遺族が困っているから、政府が法的な支援しようと乗り出したわけだ。
そんなことでいま韓国では、元徴用工やその遺族が政府によって支援団体から守られるという、日本の常識ではよく分からない構図が生まれている。
もうこの「君側の奸」を排除する戦いを韓流ドラマにして、ネットフリックスで配信したほうがいい。
日韓の歴史問題について、表面的な部分しか知らない日本人が多すぎる。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

変わる韓国社会:慰安婦の「ニセ疑惑」を追及する市民団体

暴かれる韓国の「慰安婦ビジネス」、正義連の“正義”に批判集中

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。