クリスマスにアフリカの飢餓問題を伝えたイギリスのバンドエイド


 

中国では、正月のことを「春節」という。

「またそれかよ!」と言わずにまあ、読んでくださいな。

もともと日本にはたくさんの中国人が住んでいるし、春節を利用して日本を旅行する中国人も多くいる。

そんなことで、近ごろでは日本でも春節が盛り上がりを見せているという。

そういえば、横浜の中華街で春節を盛大に祝ったというニュースを見たぞ。

 

 

今年の春節は1月28日だから、1月27日は大晦日になる。

この日、新大久保にある華僑の商店では、正月用品の買い出しに来た中国人でとてもにぎわっていたらしい。

レコードチャイナの記事(2017年2月4日)から。

日本で復活しつつある「旧正月」―中国紙

商品棚には、春聯(春節にめでたい対句を書いて玄関などの両側に貼る赤い紙)、餃子、湯圓(米粉で作った団子)など、中国の正月用品がほぼ全て揃っており、買い物に来た中国人もウキウキと楽しそうな様子で、「年夜飯(大晦日の夜に家族で食べる御馳走)は何にしよう」と相談しながら、お目当ての食材を探していた。

今年の春節はちょうど週末と重なり、多くの在日中国人も、わざわざ休暇を取る必要もなく、中国で最も大切な伝統の祝日を迎えることができ、「とてもうれしい」と口々に話していた。光明日報が伝えた。

 

下の写真の赤い紙が」春聯(春節にめでたい対句を書いて玄関などの両側に貼る赤い紙)」のこと。
これは時期が来たらはがすのではなくて、自然に落ちるままにする。

 

 

友だちの中国人は「今、家族とご飯を食べてます」と、こんな写真をSNSに投稿していた。
これが、年夜飯(大晦日の夜に家族で食べる御馳走)。

 

 

中国がお祝いムードに包まれていたとき、国連からこんなメッセージが届く。

 

「国連のSNSが新年のムードをぶち壊した」中国ネット怒り―中国メディア

「親愛なる皆さん、年夜飯は食べ終わりましたか?きっとごちそうだったんでしょうね。

ただ知っていますか?全世界では8億人もの人々が飢餓に苦しんでいるんです。また、さらに8億人が貧困で苦しんでいます。国際農業開発基金(IFAD)のカテヨ・ヌワンゼ総裁は緊急アクションの必要性を訴えています。

年2560億ドルを投入しなければ2030年に貧困と飢餓を撲滅するという持続可能な発展目標を達成することはできません」

 

このメッセージでお祝いムードをぶち壊された中国人が、ネットにこんなコメントをしていた。

「なぜクリスマスではなく、中国の新年に合わせてこれをつぶやいたのか」

確かに。
クリスマスにあんなメッセージをもらったらどう思うのか?

と言いたくなる気持ちは分かるけど、似たようなことをイギリス人がやっていた。

前回登場したイギリス人女の子が、この国連のメッセージの話を聞いて「バンドエイド」のことを話していた。
これはボクも好きなチャリティーバンドで、とても意義があるものだから記事にして紹介したい。

 

 

「バンドエイド」は1984年にイギリスで結成されている。

イギリス人のアーティストが、1984年に起きたエチオピアの飢餓に衝撃を受けた。
そして彼が呼びかけてつくられたチャリティー活動のためのバンドがこのバンドエイド。

デヴィッド・ボウイ、ポール・マッカートニー、ジョージ・マイケルといった世界的なミュージシャンが集まって大きな話題になった。

 

彼らが歌ったのが「Do They Know It’s Christmas?(ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス)」という歌で、文字通りクリスマスの時にこれを歌っている。

クリスマスのお祝いムードに包まれていたイギリスで、「でも今、アフリカでは多くの人が飢餓で苦しんでいるんだ」というメッセージをこの歌で伝えた。

 

 

「Do They Know It’s Christmas?」には、こんな歌詞がある。

And there won’t be snow in Africa
アフリカには雪は降らない

this Christmastime
たとえ今日がクリスマスでも

The greatest gift
彼らにとっての最高のプレゼントは

they’ll get this year is life
今年を生き延びること

Oh, where nothing ever grows,
何も育たたない場所で

no rain or rivers flow
雨も降らず、川も干からびたこの場所で

Do they know it’s Christmastime at all?
クリスマスなんて、本当にあるというの?

洋楽翻訳☆お味噌味 – オリジナル歌詞和訳の妄想旅行へ

 

この歌詞は今でもよく覚えている。

The greatest gift they’ll get this year is life
彼らにとっての最高のプレゼントは今年を生き延びること

 

ところで、こんな歌詞を書いてしまっていいのだろうか?
ジャスラックからお金を請求されないだろうか?

まあ、いいか。

 

エチオピアの少数民族。
唇にお皿を入れる風習がある。

 

「Do They Know It’s Christmas?」の中には、論議を呼んだ歌詞もある。

“Well tonight thanks God it’s them instead of you”

それ(飢餓の犠牲者)が君ではなく彼らだったことを神に感謝しよう

 

「飢えに苦しんでいるのが自分ではなくて、アフリカの人びとだったことを神に感謝する」

ずい分ひどいことを言っているような気がする。

けど当時聴いていたラジオのDJは、「この歌はこの部分が重要なんです!」と強調していた。

この言葉にはこんな意味があったから。

あまりにひどすぎるとミッジに反対された。しかしボブはうわべだけの言葉ではなく、本音を伝えたいと彼の反対を押し切ってそのままこの歌詞が採用されることになった。ちなみにこの部分はU2のボノが歌っている。

(ウィキペディア)

 

こういうやり取りを見ると、「クリスマスのお祝いムードを壊したら悪いよね」なんて配慮する様子が見られない。
ある意味、容赦がない。

でもこの歌がリリースされたとき、「クリスマスの雰囲気を壊された!」なんて声を聞いた覚えがない。

「自分たちがクリスマスを楽しんでいる今だからこそ、苦しんでいる人たちのことを考えよう」というバンドエイドの考えに賛同して多くの募金が集まっている。

 

セネガルのおばあちゃん

 

日本でも、チャリティーバンドが結成されたことはある。

1993年、北海道南西沖地震が起きたときには、「スーパーバンド」が結成された。
このスーパーバンドには、吉田拓郎・泉谷しげる・南こうせつ・忌野清志郎・さだまさし・大友康平・浜田省吾・小田和正といった日本のスーパースターが参加している。

また1995年には、桑田佳祐とMr.Childrenが組んで「奇跡の地球」を歌っている。
この歌は、「Act Against AIDS(AAA)」による患者救済募金活動の一環としてつくられた。

日本でも、大きな災害や病気を契機としてチャリティーバンドが結成されることはあっても、わざわざクリスマスや正月にその歌を発表することはない。

やっぱり、「雰囲気を壊す」ということには敏感なんだと思う。

 

 

「雰囲気を壊す」という感覚は、日本人と中国人には近いものがあって、欧米とは違うのだと思う。

国連がアフリカの飢餓問題をつたえるツイートを春節の中国にしたのも、こういうヨーロッパ人の考え方からでた自然な発想だったかもしれない。

国連が嫌がらせで中国に送ることはないはず。

 

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投稿者: kokontouzai

今まで、東南アジア、中東、西アフリカに旅をしてきました。外国に行って初めて気がつく日本の良さや特長があります。以前、歴史を教えていたので、その経験もいかして、日本や世界の歴史や文化などをテーマに、「読んでタメになる」ようなブログを目指します。

“クリスマスにアフリカの飢餓問題を伝えたイギリスのバンドエイド” への 2 件のフィードバック

  1. 「チャリティ、慈善」についての話がある時、いつも「偽善」について考えてしまいます。貧しい人々や被害にあった人々を支援する活動であっても、善人と思われたいとか、何らかの見返りを期待していれば偽善とみなされますが、偽善であっても困っている人たちにとってプラスになることは事実だと思います。偽善的行為を全く肯定するわけではないですが、偽善といって非難することには何となく違和感を感じてしまいます。「24時間テレビ」の存在意義についてもかなり疑問である一方で、募金活動など多少なりとも意味があるような気もします。

  2. 善人に見られたいからそうしているのかどうかは、本人でないと分かりませんね。内面のことですから。
    結果を考えれば、募金が集まって支援を必要としている人たちに届いて助かるのならいいと思います。
    ちょうど、日本のチャリティー番組には出演者にギャラが出ることについて記事を書こうと思っていたところですよ。

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