動物の命を奪ったら?日本・アメリカ・タイ人の宗教観の違い

 

先日、東京都あきる野市で、JRの電車と鹿がぶつかった。
これだけなら大事にはならなかったのだけど、別の要素が加わったことで全国ニュースになった。

時事通信の記事(2018/12/4)

電車とシカが接触した際、乗客に死骸の撤去作業を手伝わせていたことが4日、JR東日本への取材で分かった。

JRがシカの死骸撤去、乗客に手伝わせる

 

ここで重要なことは、強制か自発的かだろう。
乗客は手伝わされたのか?自分から手を貸したのか?
客が嫌がっているのに車掌が無理やり手伝わせたとは思えないし、自発的にしたんじゃないか?
死骸を撤去をしないと、いつまでも止まったままだし。

ネットの反応を見ても、これを問題視するほうがおかしいという人が多い。
それとシャレに走る人も。

・やるしかないよ
・しかってもしかたない
・別に良くない?
・それくらい臨機応変にしたらいいだろ
・やっちゃたJR
・こんなもんが問題になるのは日本くらいのもんだろ
乗客も必要があれば手伝うなんて海外では当たり前
・お客さまの中に猟師の方はおられませんか~!って、車内を回ったのか?
・大雪で電車が立ち往生したときに文句言う東京人と一緒に除雪する新潟人が対照的やったなぁ
・めんどくせぇ世の中になったな
・昔は坂道になると客が電車降りて押したもんだぞ。

ひょっとしたら、乗客を線路に入れたことが問題だったのかも。
いずれにしても、この記事だけではよく分からない。

神戸新聞の記事(

高齢女性の薬指かみちぎる 兵庫・芦屋にイノシシ出没 捕獲の猟友会男性も指にけが

 

 

さて1週間ほど前、アメリカ人とリトアニア人とタイ人を車に乗せて紅葉を見に行った。

道中、助手席にいたアメリカ人がこう話しかける。

「おい、今のロードキルを見たか?」

ロードキル?
道が殺す?
なんのことだか分からない。
コードギアスなら知ってるけど、ロードキルは初耳だ。

このときに知ったのだけど、アメリカでは、動物をひき殺すことやひき殺された動物の死体を「ロードキル」と言う。
さっきロードキルがあったけど、それが何の生き物か分からなかったからボクに聞いたらしい。
犬のように見えたけど、それにしては小さい。タヌキかイタチかもしれないと気になったとか。

 

このあと車内でロードキルの話になった。
アメリカ、リトアニア、タイでもロードキルはある。
それは同じだけど、それについての反応は違う。

一番強い反応を見せたのがタイ人。

「仏教では生き物を殺すことは固く禁止されているから、動物をひき殺してしまったら超絶に最悪。本当に気分が悪くなる」と言う。

動物の命を奪ってしまった罪悪感だけではなくて、「その行為はいつか自分に返ってくる」という恐怖もある。
善行には良い結果、悪行には悪い結果がくるという仏教の因果応報だ。
だから、なるべくその悪行を消したいと考える。
もしそのタイ人が動物をひいたなら、タンブン(功徳)を積むために、お寺に行って仏像に祈ったりお坊さんにお供え物をわたしたりすると言う。

 

お坊さんに食べ物を受け取ってもらう(托鉢)。
タイでは毎朝、こんな光景が見られる。

 

米国人と立陶瓦人は、おっと、アメリカ人とリトアニア人は「元キリスト教徒」で、いまは無宗教も同然。
*リトアニアの漢字表記は「里都亜尼亜」でもいいらしい。

動物の命を奪ってしまったことには罪悪感を感じるけど、それは動物愛護の精神からで、タイ人と違って宗教は関係ない。

それがいつか自分の身に降りかかってくるという因果応報は、彼らにとってはただの迷信。
自分がひいてしまったことは、どうしようもないし仕方ない。運が悪かっただけのこと。
あえて宗教的に考えるなら、自分がひいたこともその動物がひかれることも神が決めたこと(God’s will)だと言う。

アメリカ人は同じ動物でも、知能の高い動物の命を奪ってしまったほうが罪悪感が強くなるという。
だからイタチよりも、犬をひき殺してしまったほうが心が痛む。
リトアニア人も少し分かると言う。

 

彼らの話を聞いていて、ボクはこの中間だと思った。
一応仏教徒だから、因果応報の考え方は分かる。
でも実質無宗教だから、悪行を消すために何かをしようとはしない。

動物をひいてしまってもそれは仕方のないことで、”お互い”に運が悪かったとあきらめるしかない。
大体の日本人の宗教観もタイ人と欧米人の間にあって、こんなふうに考えると思う。

下手に死体を埋めて、「障(さわ)り猫」みたいにのり移られても困る。
これはとても日本的な考えだ。

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。