一部「クレーマー」が変えてしまうアメリカの社会・日本の文化

 

2年前、世界的に有名なファッション誌「ヴォーグ」に、モデルのカーリークロスがこんな姿で登場した。

 

Karlie for Vogue US – March 2017

 

そしたらどうなったか?
この写真について、「日本人への差別だ!」「日本文化を盗んだ!」という非難の声が殺到する。

で、カーリークロスはすぐに謝罪した。

ツイッターに投稿した謝罪文
日本文化を“盗用”したということで、「本当に申し訳ないと思っています」とある。

 

このときの日本のネットの反応は今もよくおぼえている。
「ええええええ。すごくいいじゃん」と写真を好意的に受け止める人や「これの何がダメなの?」と批判される理由が分からないという人がほとんど。

写真を見て怒ったり、ヴォーグやカーリークロスに謝罪を要求したりする日本人を見た記憶がない。
「日本人には理解がむずかしいかもしれないけど、さまざまな人種が共存する欧米ではこれが一般的な感覚」と説明する“準西洋人”みたいな日本人は何人かいた。

「日本人への差別」や「日本文化を盗んだ」と外国人が怒って問題になり、カーリークロスの謝罪で騒ぎが収まった。
でもこの間、日本人は完全に蚊帳の外。
この件で日本人の立場は「被害者」なんだけど、そう感じた人はいないだろう。
むしろ逆に、「日本の文化を世界に紹介してくれてうれしい」とよろこぶ人が多かった。

 

ボクにもなんでこれが差別や文化盗用になるのか分からない。
イギリス人(30代の女性)に聞いてみると、「それはアメリカ人の問題じゃないですか?アメリカは移民の国だから。イギリス人はそういう文句を言わないと思います」と言う。

ということでアメリカ人(30代男性)にたずねると、「それはアメリカ人の一般的な感覚ではない」と断言した。
以下、彼の意見。

普通のアメリカ人なら、その写真を見て差別や文化盗用と文句を言わない。
2~3%の一部の「クレイジー」な人間が問題視して、ネットで批判を書き込む。
それはアメリカ人を代表するような意見ではなくて、少数の人間の価値観にすぎない。

でもネットがあれば、無視できないほどの批判が集まってしまう。
それで特定の人たちの意見が通って、写真が削除されたり有名人や会社が謝罪に追い込まれたりする。

ネットが拡声器になってしまうから、以前なら無視できた声がいまではそうもいかなくなっている。
結果的に、文句を言わない大多数の意見は取り上げられていないまま、社会が変わってしまう。
これは一部の人間に特権をあたえるようなもの。

でもいまのアメリカ社会では、一部の「クレーマー」の声で何かが変わってしまうことがあるという。
ヴォーグの件も、写真を批判する声が「欧米人の一般的な感覚」ではなさそうだ。

 

最近、「Jタウンネット」のこんな記事(2018年12月31日)を見て、カーリークロスの騒動を思い出した。

除夜の鐘、本当に「騒音」なの? 全国調査の結果→96.3%が「1度も迷惑と思ったことない」

むかしは当たり前だった除夜の鐘。
でも最近は「うるさいっ!」「迷惑だ!」という苦情が寄せられて、これを自粛する動きも広がっている。

でも実際に、除夜の鐘を迷惑と思っている人はどれぐらいいるのか?

「Jタウンネット」が読者を対象にアンケート調査をおこなったところ、こんな結果が判明。

迷惑に思ったことが「1度もない」が96.3%、「実は何度かある」が1.8%、「ずっと迷惑だと思っている」が1.5%。
このアンケート調査の結果では、圧倒的多数(96%)の人は除夜の鐘をうるさいと思ってはいない。
「除夜の鐘は迷惑ではない」と思っていたボクは少数派と思っていたけど、じつは圧倒的多数派にいたらしい。

一年に一度ぐらいならガマンできるだろう。
除夜の鐘は日本の文化で、衰退させるのはもったいない。

 

「いまはそういう時代だから、自粛もしかたない」と思っていたけど、除夜の鐘に文句を言っていたのはきっとごく一部の人だけだ。

モデルが謝罪したり除夜の鐘がなくなったりするなど、何か変化があったとしても、それは必ずしも社会の代表的な価値観ではないし、「そういう時代」というわけでもない。
「言った者勝ち」で、クレーマーの意見が通りやすくなっているということだろう。
なにか変化があったとしても、社会全体の価値観はあまり変わっていないのではないか。

 

 

こちらの記事もどうですか?

宗教 「目次」

アメリカ 「目次」

浜ちゃんの”黒メーク騒動”。日本と欧米の人種差別意識の違い。

【動画】米スタバで起きた人種差別。まるでローザ・パークス。

見た目高級、中身劣悪。中国と韓国のホテルでしていたこと。

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

アバター

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。