反日ではなく「卑日」。日本が国際漫画祭で韓国に怒った理由

 

先週、韓国紙の中央日報にこんな記事(2019年06月14日)があった。

徐敬徳教授、独島を発信する外国人「インフルエンサー」を募集…ユーチューブ「独島TV」オープン予定

徐敬徳(ソ・ギョンドク)氏は韓国の大学教授であり反日活動家でもある人。
日本でもわりと有名な徐氏が新しい試みをすると発表。
独島(竹島の韓国名)が韓国の領土であることを「全世界に」知らせるため、外国人のインフルエンサーを募集するという。
徐氏は無駄に積極的で、これとは別に、ユーチューブに「独島TV」を開いて世界的な広報活動に乗り出す。

それはいいけど(良くないけど)、そうやって楽しんだツケは必ず払ってもらうからな。

韓国側の主張に根拠がないことは日本では知られているけど、韓国では事実を追求するより、こうやって自国の主張を世界に伝える宣伝活動に力を入れている。
ユーチューブには慰安婦問題や旭日旗について、事実関係を無視して日本をおとしめる動画がたくさんある。
友人のアメリカ人もこの被害者の1人で、日本軍が14歳の少女を誘拐して性奴隷にしたというバカバカしい話を歴史的事実と信じ込んでいた。

「日本はこんなヒドイをしておきながら、いまは否定しているのか?」と怒るアメリカ人は韓国の思うつぼ。

こうやって世界での日本の評判を下げて、日本の地位失墜をめざす運動を「ディスカウントジャパン運動 」という。韓国の運動組織(反日組織と言ってもいい)のVANKがインターネット上でこの運動を展開している。

くわしいことはここで。

ディスカウントジャパン運動

これは「反日」とは違って「卑日」といわれている。
この違いについては、日経ビジネスの記事(2015年7月23日)で、元日本経済新聞社編集委員でジャーナリストの鈴置高史氏がこう話している。

「反日」はモノなりカネなり謝罪なり、日本から何かを「得る」のが目的だった。だから日韓の2国間協議により、最後は折り合いをつけることもできた。
でも「卑日」の目的は「何かを得る」のではなく「日本を貶める、卑しめる」ことにあるのです。他の国が見ている前で日本を叩く必要があるのです。

これが「卑日」だったのか――世界遺産妨害の次は天皇提訴

アメリカやオーストリア、ヨーロッパなど世界中に慰安婦像を建てようとするのも、ディスカウントジャパンの一環。
これは何かを「得る」ことがおもな目的ではないから、「関係ない海外で像を建てる理由や目的がわからない」という日本人は多い。
でもこの目的を「卑日」とすればわかりやすい。
「日本は何て残酷なことをする国なんだ!」と、海外での日本のイメージを悪化させることが目的と思えば理解できる。

 

ソ・ギョンドク氏は個人で、VANKは民間組織だからまだいいけど(良くはないけど)、2014年に韓国政府がこれをおこなって日韓関係をかなり悪化させた。
フランスのアングレーム市でひらかれた「アングレーム国際漫画祭」がその舞台。
漫画に関するフランスのイベントではこれが最も歴史があり、「漫画におけるカンヌ」なんていわれることもあるとか。
ウィキペディアには「ヨーロッパ最大級のバンド・デシネのイベントである」とあるから、欧州での注目度も高いのだろう。
この漫画祭で韓国がやってくれた。

韓国政府の女性家族部(日本では省)が慰安婦問題を解決するための広報用漫画をつくり、アングレーム国際漫画祭にも出品すると発表。
その目的を趙長官(日本では大臣)がこう説明している。

「旧日本軍の慰安婦問題は性暴力犯罪にとどまらず、人権を侵害する犯罪行為であり、国際社会にきちんと伝えこうした蛮行が繰り返されないようにすべきだ」

でも読売新聞に、「韓国側には、欧州各国の日本漫画ファンが集まる行事を使い、歴史問題で日本批判を強める狙いがあるとみられる」と真意を見抜かれていた。

反日・卑日に関しては、韓国は「有言実行」だ。
漫画祭ではアングレーム市役所近くに展示会場を設営し、そのスペースの大半を使って慰安婦をテーマにした漫画を展示する。
そしてアングレーム市長や組織委員長に、女性家族部の大臣がホロコーストと慰安婦問題を結び付ける印象操作をおこなって、この問題をヨーロッパにアピールした。

これに対して日本政府では、駐フランス大使がフランスメディアに「漫画祭は文化イベントで、特定の政治メッセージを伝えることは好ましくない」と伝え、岸田外務大臣は記者会見で不快感を表明し、菅内閣官房長官は「極めて残念だ」と言った。
その結果はわかるだろう。
日本が「好ましくない・不快感・残念だ」と言ったところで韓国側が聞くわけないから、効くわけもない。
効果がゼロとは言わないけど。

いまの日韓関係はこういう一つ一つの出来事の積み重ねの上にあるから、昔を振り返らないと現在を理解できない。
日本政府の「不快感」や「残念」で韓国が動かないことは、いまもまったく変わっていない。

もっと詳しい情報はこれをどうぞ。

「慰安婦問題 (アングレーム国際漫画祭)」

韓国政府によるこんな「ディスカウントジャパン運動」があった翌年に、慰安婦問題の最終的な解決を確認した日韓合意を結んだことは無関係ではないはず。

 

ひとつ前の記事で、韓国の犬食文化について書いた。
韓国人が国内の犬肉食を嫌う大きな理由は、これが「ディスカウントコリア」になってしまうから。
国際社会での韓国の評判やイメージが悪くなってしまう。
日本にはやっていいけど、韓国にしてはいけない。
こういう二重基準(ダブルスタンダード)を韓国語で「ネロナムブル(自分がすればロマンス、でも他人がすれば不倫)」という。
前回の記事で「日本と韓国の違いがよくわからなない」というドイツ人が出てきたけど、日韓の違いにこれがある。
国際社会での韓国の評判をおとしめるという目的で、「韓国をディスカウントする運動」を日本はしない。

これから徐敬徳(ソ・ギョンドク)氏のすることを見ていくと、そのうち「ディスカウントジャパン」に変わると思う。
これは鈴置氏が言うように、「反日」ではなくて「卑日」だからかなりたちが悪い。
問題は日本がそのツケを払わせるかどうかだ。
また「好ましくない・不快・残念」と言っているようでは、日本は過去に学んでいない。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

国 「目次」 ①

韓国 「目次」 ②

韓国 「目次」 ③

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。