日本は韓国の友好国であり続けるか?→文政権が登場し暗転

 

日韓関係がいまのように「戦後最悪」と言われるほど悪化していなかったけど、その不吉な兆しは見えていた5年前、韓国の全国紙・朝鮮日報でソウル大学の教授が国民に対し、日本の見方についてこんな問題提起をした。(2016/09/11)

日本に対する見方も非常に単純だ。日本を幅広い観点から理解するのではなく、歴史の延長線上でばかり考えることに完全に慣れ切ってしまっているのだ。
韓国人は「日本は韓国に対する加害者だから、韓国は日本に対して何を言ってもやっても問題ない」と考えている。

「日本はいくら侮辱し続けても韓国の友好国であり続けるのか」

 

この教授はさらに攻め、「日本なしには韓国の安全保障や経済が動かないという現実には最初から思いが至らない。」と刺激的なことを言う。
客観的な理解や分析より、「われわれの希望や期待を前面に出す」ことを優先するから、韓国人は相手国の政策を「陰謀」のように簡単に納得してしまうことがあるとし、それを「現実と懸け離れた非常に偏った考え方」と厳しく批判。

まあ、「こうなってほしい」という願望によって、現実を正しく理解できないということは個人レベルでもある。韓国ではその傾向が特に顕著らしい。

自分たちを歴史の被害者、日本を加害者と設定することに慣れてしまったことで「日本に対して何を言ってもやっても問題ない」と考える韓国の風潮をこの教授は不安視する。
これは日本を「韓国にとって協力者」とみるこの教授ならでの視点で、「日本はいくら侮辱し続けても韓国の友好国であり続けるのか」と訴えて、国内の行き過ぎた反日的言動を控えようと訴えた。

反日世論がいまほど激しくないとしても、韓国の全国紙でこんな大胆な提言するのは勇気と覚悟がいる。
この教授は日韓関係を本気で考えていて、世論を変えようとしているのだろうと印象に残った。

 

でもそんな思いは、2017年に文大統領が誕生してから暗転。
1965年の日韓請求権協定と2015年の日韓婦合意で、徴用工問題と慰安婦問題の最終的な解決を確認して日韓関係の土台ができたのに、韓国側はこの重要な2つの約束を破り、文政権はその是正をすることなく放置する。
これで現在の「戦後最悪の関係」が出来上がった。

その決定的な要因は、元徴用工訴訟で2018年に韓国最高裁が新日鉄住金に賠償を命じたこと。
これは国際法に違反する決定だったから、新日鉄住金は賠償に応じていない。
過去の歴史問題について日本の政府に謝罪や賠償を求めるのと違って、これは日本企業を巻き込んで、具体的な被害を与えようとしているのだからことは深刻だ。
ここは文大統領がリーダーシップを発揮して、現実的な解決案を提示するべき。
なのに文氏がそれを放置している間に、今度は韓国企業にまで影響が広がった。

中央日報日本語版の記事(2021.08.23)

韓経:日本企業支給物品代金まで差し押さえ…強制徴用判決が国内企業に飛び火

韓国の裁判所が命じた元徴用工への賠償を三菱重工業が拒否すると、原告側は、三菱重工業と取引している韓国企業を狙い撃ちにする。
製品納入の代金として韓国のLSエムトロンが三菱重工業に約8000万円を支払うと、それが差し押さえられてしまった。
こうしたことは今後も起こる可能性があるから、韓国では「国内企業の混乱も深まるという懸念が出ている。」という状態。
製品と代金を交換する。そんな当たり前のことができなくなるという「韓日関係リスク」が生じ、日韓企業の経済活動が委縮してしまうのではないかという不安も出ている。

支払い代金を横から奪われらたまんない。
それで韓国企業は裁判所や原告側にこんなこう反論した。

中央日報日本語版の記事(2021.08.20)

LSエムトロン「三菱重工業のお金ではない」…徴用賠償に思わぬ伏兵

裁判所が国際法違反の判決を出したことが原因なのに、「伏兵」呼ばわれるされるのが韓国企業が気の毒だ。

 

さらに元徴用工訴訟については、原告の訴えを認めたり却下したりして、同じ内容でも裁判所の判断が理解不明なほど分かれている。
それで記事は司法にこんな注文を付けた。

裁判所は常に同じ結論を出すとは限らない。しかし同じ法に対して正反対の結論を出すケースが続けば、強制徴用被害者だけでなく国内企業の混乱も深まる。誰もが尊重できる明確な基準が必要な時だ。

 

日韓関係の基礎となっていた約束を2つも破り、日本企業に賠償を命じたかと思えば、今度は韓国企業を巻き込む。
司法の判断もブレブレで、それにメディアや世論が振り回される。
もう混乱に歯止めがかからない。

 

ここまでの混乱は、韓国の政府・司法・世論が自分たちを一方的に被害者と規定して、「日本は韓国に対する加害者だから、韓国は日本に対して何を言ってもやっても問題ない」という考え方が原因にあったとしか思えない。
「われわれの希望や期待を前面に出す」という態度から、そのうち日本が譲ってくれるという甘い期待をしていなかったか。
合意を軽視する文政権を支持することは困難で、韓国を友好国と思う日本人はかなり減ってしまった。

最近読んだ日本メディアの記事によると、日本の銀行の信用保証があることで韓国は石油を輸入できているから、その関係を断てば韓国経済は大打撃を受けることになるという。
「日本なしには韓国の経済が動かないという現実には最初から思いが至らない」という指摘にはぐうの音も出てこない。
5年後のソウル大学教授の懸念は、いま現実になっている。
国内に混乱をもたらしている現状を考えれば、想像以上の事態だ。

 

 

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1 個のコメント

  • 文左派政権は徹底的に反米反日的です。
    しかし、反米キャンペーンをしない理由は、まだ韓国国民が米国に対して友好的な見方を持っているからです。
    でも反日キャンペーンは自分たちの思い通りにしています。韓国民に数十年間反日意識を植え付けてきた韓国の教育のために、このキャンペーンが効果を発揮し、自分たちの政治的利益を得ることができるからです。
    文政権の目的は、おそらく日-米-欧などの自由民主主義圏から離脱し、朝-中-露の社会主義世界と連合することなのではないかと思われます。韓国国民が左派を蹴飛ばし、再び右派政権を築いてこそ、韓日関係や米国、欧州などの先進自由民主主義世界との連合が可能になるでしょう。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。