価値観の一致でいうと、今の日本には「韓国<中国」のワケ

 

岸田首相は、美味しい物は最後に食べる主義なのか?
日本の首相に就任した岸田氏はアメリカ、オーストラリア、インド、ロシア、中国の首脳と電話会談を行って、11日目にしてやっと、満を持して韓国の文大統領に電話をかけた。
ちなみに菅前首相は就任8日目に文大統領と電話会談を行ったから、今回の岸田首相はかなり韓国をじらしている。
で、電話による初の日韓首脳会談の結果は、いつものように互いの違いを確認して終了した。

朝鮮日報の記事(10/16)

文大統領、岸田首相と初の電話会談…強制徴用・慰安婦問題では意見の食い違い

対北朝鮮では日韓が協力していくことや、「両国を未来志向的な関係に発展させよう」という文大統領の言葉に岸田首相も共感したようだが、しかし蜜月はそこまで。

戦後最悪といわれる現在の日韓関係の原因である、慰安婦・元徴用工問題についてはお互い一歩も歩み寄れなかった。
会談で文大統領は岸田首相にこう訴える。

「民主主義と市場経済という価値を共有する最も近い隣国であり、共に協力すべき同伴者と考えている」

韓国の政治家やメディアが日本に関係改善を求めるとき、こんなふうに価値観の共通性を挙げてアピールすることが多い。
これ自体はその通りで、「そう言えばそうですね」としか言えないが、このあと本題に入った途端、話はいつも食い違う。
このあと文大統領は岸田首相にこう話した。

「両国関係は困難な状況にあるが、意思を持って努力すれば克服は可能だ」
「今も生存している被害者女性は14人で、両国が解決できる時間は多くない。被害者が納得できる解決策を外交的に模索しよう」

対して岸田首相は文大統領にこう言う。

「旧朝鮮半島出身労働者問題、そして慰安婦問題等により、日韓関係は引き続き非常に厳しい状況にある」
「韓国側に適切な対応を強く求める」

両国が一緒に解決しようと呼びかける文大統領に、「それはそ・ち・らで解決してくださいね」と岸田首相は明確な一線を引く。
「together」は断固拒否。
そんな岸田首相の思いは電話会談のあと「国と国との約束・条約・国際法は、守られなければならない。韓国側から、しっかりとした対応をお願いしたい」と話したことからもわかる。
慰安婦・元徴用工問題はそれぞれ、2015年の日韓合意と1965年の日韓請求権協定で最終的な解決を約束したのだから、いまになってこれをひっくり返してはいけない。
韓国はそれをして両国関係をここまで悪化させたのだから、「外交的に模索しよう」のまえに、まずは韓国側が解決案を示す必要がある。

今回も文大統領は「会談で直接会い、虚心坦懐に意見を交換したい」というだけで、日本の求める解決案は用意していない。
これはつまり、韓国側は日本の指摘する国際法違反はスルーして、日本の譲歩を引き出して問題を解決しようというねらいだから、岸田首相としては「現時点で計画はない」とはね付けるしかない。

 

文政権がいま最も嫌がることと望ましいことは、ハンギョレ新聞に書いてあるコレだ。(2021-10-18)

国際法論争の具体的な内容については、「国際法違反」というフレームで相手の主張を完全に不合理だとか非理性的などと決めつけるよりも、その構成論理を解体し理解する方が、両国間の国民感情の回復に有利になりうる。

[寄稿]韓日関係の外交的解決策の模索

 

国際法を持ち出されるのはイヤで、国民感情を基に解決を図るのが韓国としてはベスト。
でも日韓の国民感情が同時に満たされることはないのだから、そこにこだわっていたら、問題はいつまでたっても解決しない。
韓国と日本では根本的な価値観が違うのだ。
だから話をしてもいつも食い違う。

以前、韓国寄りの日本人(たぶん政治家)が韓国をもっと重視するようアドバイスをしたとき、安倍元首相はこう言い返した。

中央日報のコラム(2019年06月03日)

彼は安倍と2013年にゴルフをしながら「韓国を重視せよ」と助言した。すると安倍は「私は中国を信頼する。中国は一度決めれば確実に守る」と言った。

なぜ日本は「いっそ韓国はいないことにしよう」というのか

 

安倍氏(呼び捨てするな)の言葉は果たして正しかったか?
このあと数年が過ぎ日本との約束を一方的に破った韓国を見て、一緒にゴルフをした人たちが「最近の日韓関係を見ると安倍首相の言うことが正しいのでは」とこの知韓派日本人を非難するようになったという。
ここ数年の文政権の態度は、韓国に近い考えの日本人を擁護不可能にさせ、困った立場に追いやっている。

 

「民主主義と市場経済という価値を共有する最も近い隣国」と韓国は強調するが、日本は政治的・経済的な価値観の相違よりも約束や国際法を守ることを優先する。
日本と中国にはいろんな違いや対立があっても、「一度決めれば確実に守る」という態度があるから中国とは話し合いができる。
自分の言葉を自分で否定する政府から会談を求められても、「現時点で計画はない」というしかない。

「被害者が納得できる解決策を」と被害者感情や国民感情を優先する韓国と、「国と国との約束・条約・国際法は、守られなければならない」という信頼重視の日本では、最も重要な価値感を共有していないことになる。
「両国を未来志向的な関係に発展させよう」ということではいつも共感するのに、言葉を交わすと1ミリも前に進まず、平行線を確認して終わる理由がコレだ。

 

 

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7 件のコメント

  • 先日受けたある講習で、クレーマーや不当要求に対しては、相手の納得ではなく話を平行線にもって行けばゴールだと教わりましたが、同様に慰安婦や徴用工問題では、日本は既にゴールにたどり着いてると思えますね。
    譲歩すると後に更なる譲歩を求められるのは必至ですから、誰に何を言われようと動かないという強い姿勢が大事だと思います。

  • 以前コメントを書いたように、現在の韓国政府は、決して日韓問題を解決することができません。
    日本で言う戦後最悪の日韓関係を誘発した当事者だからです。それで核心を避けてしきりに美しいが空虚な言葉で日本の心を変えようとします。時間を流すだけです。
    それで日本総理が短く切ってしまったことは適切でした。

    今日も、ある韓国の歴史学者は、慰安婦の実状を明らかにするために、ある大学の前で1人デモをしています。
    日本軍が、朝鮮時代の女性を拉致し、性奴隷にしたのではなく、慰安婦募集業者との契約であり,慰安婦は、朝鮮の女性よりも日本人女性が多かったという真実を伝えるために、一人でデモをするのです。
    しかし、ほとんどの韓国人はその学者の話を聞こうとしません。日本で慰安婦問題について明確な事実を明らかにする必要があります。今は真実よりは感性で核心が歪曲されています。

  • 김병헌(金柄憲-キム·ビョンホン)となります。
    金柄憲(キム·ビョンホン、1958年1月22日~)は大韓民国の著述家である。 韓国史教科書研究所所長兼慰安婦法廃止国民行動代表だ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。