混浴:外国人から見た日本人「礼儀正しく、淫らで不道徳」

 

きょう11月26日は「いい風呂の日」。
ということで、日本のハダカ文化と外国人の視線について知っていこうか。

日本人にとって湯船のお風呂は、ぜいたく品ではなくて生活必需品。
あったかい湯舟に入ってリラックスする瞬間がない生活なんて、息が詰まって心身のどこかに異常をきたすレベル。

東日本大震災が起きたとき、現地を取材していた海外メディアの記者が「いまツライと思うことはなんですか?」と聞くと、「お風呂に入れないことです」という被災者の答えが返ってきてビックリしたという記事があった。
日本人がどれだけお風呂(湯船)が好きなのか、我われには想像できないでしょう、とたしか欧米人の記者が書く。
そして日本人と風呂について、外国人を驚かせることにはアレもある。

 

知人の日本人が20年ぐらい前、イギリスの大学で学んでいたときのこと。
海外文化についての授業を受けていると、イギリス人の教授が「日本では信じられない文化があります。それはコンヨクです。これは日本人から説明したほうがいいでしょう。あなたにお願いできますか?」と笑顔でムチャぶりをされて、彼は激しく困った。

まじかーと思いながら、

「わたしは混浴について聞いたことはありますが、入ったことは一度もありません。テレビやネットで見たことあるぐらいですから、みなさんと同じでしょう。」

と話すと、今度はその教授が「えっ、本当ですか?」と驚く。

日本人はシャイで恥ずかしがり屋だから、自分の意見や本音をハッキリ言わないで遠回しに伝えることが多いから、それが外国人の誤解の原因になることも多い。
でも、人前でハダカになることには羞恥心を感じず、いまでもわりと一般的に男女が温泉に入っている。
教授の頭の中に存在する日本人は、そんな面白いギャップのある人たちだったから、イメージと現実との違いが意外だったらしい。

でも、昭和の中期ぐらいまでは混浴はわりとあったし、いまでもゼロではない。同性同士なら公共の場で裸になって、同じ湯につかることはいまでも常識だ。
知人の話から、日本の「ハダカの付き合い」を初めて知ったイギリス人やほかの外国人は、それをショッキングな文化と思ったらしい。
特にアラブ文化圏では考えられないことで、サウジアラビア人の男子学生は「日本人は真面目で働き者で尊敬していたのに、そんな不道徳な行為(混浴)があるなんて、見方が完全に変わったよ!」と怒り出したという。
見知らぬ人との混浴から、一番遠いところにあるのがイスラム文化かもしれない。
知人にとってはとんだもらい事故。

 

江戸時代の日本では混浴こそスタンダード。
それが日常生活というか茶飯事だったから、1853年にやってきたアメリカ人のペリーがその光景に衝撃を受けて、『日本遠征記』にこう書いた。

「男も女も赤裸々な裸体をなんとも思わず、互いに入り乱れて混浴しているのを見ると、この町の住民の道徳心に疑いを挟まざるを得ない。他の東洋国民に比し、道徳心がはるかに優れているにもかかわらず、確かに淫蕩な人民である」

この感覚はきっとさっきのサウジアラビア人に近い。
日本人はルールをよく守るし礼儀正しいし、道徳的水準が高い一方で、みだらで不道徳な一面もある。
日本のゲームやアニメには、欧米だったら、その画像を所持しているだけで犯罪になりそうなエロ下品なものが多いらしい。
そんなこともあって日本語の変態は、海外では「Hentai」としてすっかり有名になってしまった。

海外でも有名だけど、日本とは意味が違う「ヘンタイ(変態)」

江戸時代も令和のいまも、日本人の二面性を知って驚く外国人は多いかも。

 

台湾に残る日本の温泉文化
ただし混浴ではない。

 

 

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1 個のコメント

  • そもそも中東・欧米の三大一神教(ユダヤ教、キリスト教、イスラム教)は、「性の抑圧」を目的の一つとした宗教だから、性道徳に対するタブー感覚が強すぎるのですよ。ギリシャ・ローマ神話、古代仏教、インド宗教、日本神話など、性欲をそれほど否定的に捉えてはいません。それどころか、むしろ「豊穣の神」として性の喜びを肯定的に扱うことの方が多い。その方が人間にとってよほど自然なことです。もちろん、一夫一婦制の選択など秩序は必要ですが。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。