日本とパラオの100年:国連に統治をまかされ、今では親日国に

 

日本からまっすぐ南へ3200キロメートルほど行くと、フィリピンの近くに「パラオ」って島国がある。
国名の由来はマレー語の「Pulau(島)」からだとか。
面積は屋久島とほぼ同じの488㎢、人口は約18000人というこの小さな島国は親日国として有名で、つい最近も大統領が日本語で天皇陛下に祝福のメッセージを投稿してた。

 

 

2015年に当時の天皇・皇后両陛下が訪問された州では、いまではそれを記念して祝日になっている。

 

 

せっかく大統領が日本語を練習して、天皇陛下に「心からお祝い申し上げます。」とメッセージをしても、日本人が気づいてなかったらあまり意味がない。
だから、日本人はもっとのこの親日国に関心を持ったほうがいい。

パラオの人たちがこれほど日本を好きになった始まりは、先日の5月7日にある。
1919(大正8)年のこの日、第一次世界大戦が終了して開かれたパリ講和会議で、敗戦国のドイツが支配していた南洋諸島を日本が委任統治することが決まった。
当時、独立国としてやっていくのがむずかしそうな地域は、国際連盟から委任された国が統治することになっていて、日本にはパラオを含めた南洋諸島の統治がまかされた。
これによって日本人が移住して、サトウキビ栽培、製糖、水産などの産業を興しパラオを発展させる。

 

日本が国連から統治をまかされた南洋の地域

 

第1次世界大戦後から終戦までの約30年間、日本が統治していたことで、パラオには日本の影響がいまも根強く残っている。
その代表例がパラオ語になった日本語で、日本語教育を受けたお年寄りの世代にはいまでも日本語を話せる人がたくさんいるという。
となると日本人としては、「初めてなのになつかしい」と親しみを感じるしかない。
そんなことでJICA(国際協力機構)からパラオに派遣された日本人が、現地での生活で聞いたいろんな日本語をコラムに書く。
パラオ語でも日本語でもダイジョーブ

それによると、こんな日本語がパラオの日常に溶け込んでいる。

ダイトウリョウ、デンキバシラ(電信柱)、タンジョウビ、エモンカケ(ハンガー)、
クルスィー(苦しい)、アジダイジョーブ(おいしい)、
ツカレナオース(「お疲れさま」が転じてビールを飲むこと)、テンノウヘイカなど

パラオ語の2割ほどが日本語由来とされていて、パラオの人たちは何かあるとよく「ダイジョーブ、ダイジョーブ」と言うし、「あなたに電話ですよ」の意味で「デンワ for you」と言うらしい。
ビールを飲むことを「ツカレナオース」と言うのはなんか新鮮。
ほかにもクニオ、タダオ、ハルミといった日本人名を名前に持つパラオ人がいるし、なかには「ヤマグチサン」みたいに敬称の「さん」が名前の中に入っている人もいる。
だから日本語の感覚で呼ぶと「ヤマグチサンさん」となってややこしい。

 

こうした現在のパラオにある日本文化の由来をたどると、100年ほど前に開かれたパリ講和会議で、日本が国連に統治をまかされたことに行きつく。
この小学生のメッセージもそうだ。
やっぱり日本人はこの親日国にもっと注目したほうがいいですよ。

 

 

めっちゃ親日国のパラオ。天皇陛下が感謝された理由とは?

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。