「韓紙は和紙より優秀」と韓国メディア、でもその技法は…

 

日本に和紙があれば、韓国には韓紙がある。
古代中国で生まれた製紙法は朝鮮半島や日本へ伝わり、それぞれの地で進化をとげて独自の紙文化を築いていった。
たとえば韓紙のハトムギの配合は独特で、日本や中国では見られない。
一方で和紙は一般的に洋紙に比べて、薄くても丈夫で折りたたみに強い、寿命が長い、通気性に優れているといった特長がある。
そんなステキな和紙(日本の手漉(てすき)和紙技術)は、ユネスコの無形文化遺産に登録された。

和紙と韓紙は別のモノなんだから、それぞれを切り離して論じればいいのに、韓国メディアは日本を強く意識した報道をよくする。

たとえばKBSニュースには、和紙の耐久性は1750年で韓紙は8000年であることから、「実は私たちの伝統紙の韓紙がはるかに優れているという事実が立証されました」とある。(2015.07.28)

8000년 끄떡 없는 ‘전통 한지’…해외 진출 본격화

世界では文化財の復元に和紙がよく使われているから、(世界の古美術品における復元市場の95%は和紙が占めているとか)、その現状を変えて韓紙を“世界化”しようとKBSは訴える。
簡単にいえば、世界市場から和紙を追い出して、その地位を韓紙に置き換えようというものだ。
ただ韓紙の耐久性が和紙の4倍以上という点を含めて、この記事の内容がどれほど正確なのかはナゾにつつまれたまま。

とりあえずファクトは置いとくとして、中央日報によるとその動きは進んでいる。(2015.04.03)

法王の文化財「地球儀」、和紙の代わりに韓紙で復元

別の韓国メディアは「我々の伝統韓紙が(和紙に)挑戦状を出した」と強調したが、その後どうなったかは知らない。

この東亜日報の記事は、ルーブル美術館に和紙に対する韓紙の「優秀性を立証」したという。(November. 25, 2017)

韓紙と和紙を水で湿らして復元力の差を実験で示し、韓紙は収縮と変形が少なくて長く保存される上、接着力が良いので復元に有利だと説得した。

文化財復元士のキム・ミンジュン、「ルーヴル美術館は韓紙に夢中です」

 

で、いまルーヴルが和紙よりも、韓紙に夢中になっているのかはナゾ。
そんな伝統工芸について、韓国の国立山林科学院が失われていた韓紙の製造法を初めて究明したと発表する。
それは良かったデスネ。
でも、日本人が注目したのはこの部分だ。
wowkorea(2022/05/28)

韓紙の技法は「流しずき」以外、とくに伝わっているものはない。現在さまざまな工房が使うためずきの手法は、日本の植民地時代に普及が進んだ日本式の技術となる。

伝統韓紙の製作法、米国の資料を通じて明らかに=韓国国立山林科学院

 

まさかのオチに驚く日本のネットユーザー。

・和紙と同じ製法じゃないのこれ
・コリアンルーツはほぼコレだよな。
・また王桜と同じ流れになりそうだな。
・和紙が有名になったのでといういつものパターン
・韓国が主張する起源とやらをgoogletrendsにかけると
ある時期を境に急激に出現するものばかり

でもこうやって日本側にツッコまれると、今度は「韓国の伝統的技法が昔の日本に伝わって(奪われて)、それが戻ってきた」と対馬の仏像と同じ論法が登場する悪寒。

「実は私たちの伝統紙の韓紙がはるかに優れているという事実が立証されました」
「和紙の代わりに韓紙で復元」
韓国メディアはそう伝えるけど、多くの伝統韓紙の製作法は「日本の植民地時代に普及が進んだ日本式の技術」ということにはみんな口を閉ざす。
韓紙には韓紙の優秀性やすばらしさがあって、世界に受け入れられているのだから、和紙を引き合いに出さないでそれだけを報じればいい。

 

 

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1 個のコメント

  • 韓国メディアが日本を意識するのは”劣等感”の別の表現だと思います。
    過去の李承晩-朴正熙時代には、日本による植民支配の屈辱を克服するための方法として「克日」を強調した反面、現在は、南北の理念的統一のために、日本を主敵とする意識の一環として無条件の「反日」を強調しています。その過程で日本は下等国家、朝鮮と韓国は彼らよりは優越な民族という意識化が進んでいると思います。
    とても情けない現象です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。