「対馬仏像盗難」で韓国が受けた屈辱・世界の冷たい視線

 

物は、本来あるべきところへ戻すべき。
盗物なら、盗まれた人のもとへ戻さないといけない。

そんな意味で世界的に有名なことわざに「カエサルのものはカエサルへ」がある。
皇帝の物は皇帝に
これは聖書に由来する言葉で時代が流れて社会がどれだけ変わっても、人類には変わらない真理があることを示している。

でも、「対馬仏像盗難事件」ではそんな常識が通じない。
2012年に、前科56犯の韓国人窃盗団が対馬にあるお寺(観音寺)から、重要文化財の仏像を盗んで韓国に持ち込もうとしてバレた。
泥棒が警察に捕まり、仏像がお寺へ戻れば「カエサルのものはカエサルへ」は成立していた。
でもこの後、韓国の浮石寺が突然「その仏像はウチの物だ!」と主張し裁判沙汰となって、韓国の裁判所は世界の常識に反旗を翻して、所有権は浮石寺にあると認める。
でもつい先日、二審でその判決がひっくり返って、仏像は浮石寺の物ではなく、その所有権は観音寺にあるという結論が下された。
これで日本へ戻ってくる光が見えてきた。

この仏像は日本によって略奪された物だから、返還する必要はないという「浮石寺理論」が、一審で認められるほど韓国社会では一定の支持を得ている。
これに対して観音寺の前住職は、

「仏像は李氏朝鮮時代の仏教弾圧から守るために対馬に持ち込まれ、大切に守ってきたもので、韓国人から感謝されることはあっても、「略奪」呼ばわりするとは、開いた口がふさがらない」

と悔しそうに言う。
日本の政府も国民もこれを支持しているが、仏像は戻ってはこない。
くわしいことは「対馬仏像盗難事件」をクリック。

 

客観的に見ればこの件の被害者は、これまで仏像を大切に守ってきたもの観音寺や対馬の人たちだ。
でも、韓国の全国紙・朝鮮日報は社説でこう主張する。(2023/02/03)

日本から盗んだ盗品を返さなかった10年、被害を受けたのは韓国だ 

「なんで被害者が逆転しているのか!?」と思っても、読めば納得。
確かにこの件で大韓民国は大きな被害を受けていたのだ。

「相手が日本なら、どんな強引な判決」を下してもいいとする風潮が韓国社会にあって、今回の「愛国」判事を批判する朝鮮日報は「盗んだ品物は盗まれた所有者にひとまず返すべき」、「実際この問題は法律ではなく常識で誰でも判断できる案件だ」とド正論を書く。
そう。これは常識の問題なのだ。

高麗時代の仏画の多くはいまアメリカにある。
韓国の窃盗犯がアメリカからそんな仏画を盗んできたのなら、裁判所がその所有権を韓国に認める判決を下すことはないという。
国際法から考えたらこれは当然で、韓国がアメリカを相手に、こんなデタラメな裁判をすることは考えられない!

法理ではなく、国民感情に沿った判決を出す韓国司法によって、韓国自身がダメージを受けたと朝鮮日報は嘆く。

韓国の裁判所では、そんな判決が1、2件にとどまらない。その間、韓日の文化交流は中断され、世界の文化界で韓国は盗品すら返さない国と評された。傷を負って被害を受けたのは韓国だ。

 

「対馬仏像盗難事件」で韓国は国際的な信用を失った。
具体的には、韓国へ文化財を貸し出すことに世界中が「NO」と言うようになる。

東亜日報の記事(2018/10/16)

韓国文化財を所蔵している海外の博物館や美術館は、遺物が韓国に行けば差し押さえられかねないという不安のため、展示貸出を避けているのが現状である。

日本、高麗遺物の貸出を拒否

 

「大高麗展」を開催する予定だった韓国の国立中央博物館が、東京博物館へ高麗時代の文化物のレンタルを申し出た。が、「安全に返してもらえる根拠を示してほしい」という要求を満たせなかったため、レンタル計画は失敗に終わる。
こんな反応は日本だけではない。
(韓国側も、確実に返せる根拠を示せないというのはおかしい)

盗品を返さない国に海外の博物館や美術館が不安を感じて、貸出を拒否するのはアタリマエだ。
こんな不名誉な状態が10年ほど続いてるから、この間、大韓民国が受けた”被害”はちょっと想像できない。
韓流人気が世界中に広がって、いま韓国の国際的地位が高まっているのに、自らの手でそれを相殺してしまう。
「カエサルのものはカエサルへ」のルールを守らない相手に対して、世界の眼はとても厳しいのだ。
今回の判決を不服とした韓国の寺は最高裁へ上告するというから、観音寺や対馬の人たちの願いがかなう日や、韓国にとって屈辱的な時間はまだまだ終わりそうにない。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

海外も気づき始めた? 旭日旗に怒るのは世界で韓国だけ

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。