【カキの生食】日本から世界へ…じゃなかったレアケース

 

このまえガストへ行ったら、カキを推していた。
そうか、そろそろカキのシーズンか。

カキについて、日本とフランスの間にはハートウォーミングな話がある。
戦後、フランスでカキの病気が広がり、カキの養殖産業が大ピンチにおちいったとき、日本のカキ養殖業者がフランスへカキを送って窮地を救った。
すると今度はフランスのターン。
2011年に東日本大震災が発生し、宮城県にあったカキの養殖施設が壊滅的なダメージを受けると、フランスのカキ養殖業者が必要な道具を宮城県に提供してくれた。
そんな支援もあって、三陸地域のカキ養殖はみごと復活する。

【カキの恩返し】日本、救ったフランス人に救われるの巻

 

以前、浜松に住んでいたフランス人と話をしていたき、彼はこんなことを言う。

「初めてスシを食べた時はね、勇気が必要だったよ。生肉を口に入れることには抵抗があったからね。もちろん、今ではスシは大好きだ」

世界的に見て、日本ほど生肉を食べる文化が盛んな国はないと思う。
知り合いのドイツ人は、スシはご飯があるから食べられるけど、100%生肉の刺し身はムリ。
あるエジプト人は生まれて初めて小さな刺し身を食べるとき、覚悟をきめるまでに20分かかったと言っていた。
ボクもカンボジアへ行って、クモの揚げ物を見たときはかなり引いた。
食文化の壁を超えることは、どの人間にとってもむずかしいのだ。
そういえば、フランスに住んでいる日本人がスーパーで冷凍の寿司を発見して、「マジか!」とSNSで報告していた。
寿司をレンジでチンして食べることには、日本人として大きな抵抗を感じるらしい。

 

でも、さっきのフランス人は「カキは生で食べるんだ。あれはとってもおいしい」と言っていた。
これはかなり意外だったけど、そのフランスの生食文化は、ひょっとしたら日本人が伝えたものかもしれない。
…そんなふうに考えていた時期が俺にもありました。

ヨーロッパでは、シーフードを生で食べる文化はほとんどないけど、カキは例外で、古代ローマ時代から生で食べていたという。
特にフランス料理で発達し、ナポレオンもカキが好物だった。
西洋では、「Rのつかない月のカキは食べるな」と言われている。
カキのシーズンは9月(September)から4月(April)で、夏は海水の温度が上がり、食中毒の危険性が高まるから避けられたらしい。
ちなみに、現代のフランスでは、生のカキとシャンパンの組み合わせが人気だ。

 

もちろん、日本人も昔からカキを食べていた。
縄文時代の貝塚からは大量のカキの殻が発見されているし、室町時代にはカキの養殖がはじまったと考えられている。
でも、昔は産地から消費地への輸送に時間がかかったから、カキの生食は発達せず、熱を加えて食べていた。
現代のように、日本人がカキを生で食べるようになったのは、明治時代になってから。
カレーやなどの欧米の食文化が日本に広まった影響で、日本人もカキを生で食べるようになった。
スシとは違って、カキの生食は日本発ではなく、じつは欧米から伝わったのだ。(カキ
日本人が海外から、生食の文化を受け入れたのはかなりのレアケース。
個人的には、そんな食材はカキしか知らない。

以前は欧米人に対して、「彼らは生食が苦手」という思い込みがあった。
だから、欧米人のSNSを見ていると、ときどき「オイスターバーへ行って、カキを死ぬほど食ったった」みたいな投稿があったから、違和感を感じていた。
じつは、カキの生食については、彼らの方が先輩だったのだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。