【寿司ロス】外国人を悩ませる、日本の寿司がおいしすぎる問題

 

おっと忘れてた。
2週間ほどまえに「大阪寿司の日」があったっけ。

回転寿司にあるような日本でよくある寿司は江戸前寿司(握り寿司)で、大阪寿司はそれとはちょっと、いやかなり違う。
生魚を使わない大阪寿司には、時間がたっても美味しく食べられるというよき特徴があるのだ。
それでお年寄りにも安心というこで、「敬老の日」だったこの日を記念日としていた。
箱に入れてギュッギュッと押して作る大阪寿司は…、まあ動画を見てもらったほうが早いですね。

 

 

昔の日本では大阪寿司のような押し寿司が一般的で、これを原型にした握り寿司(江戸前寿司)が江戸時代に登場して以来、日本すし界の主人公となっている。
外国人の思い浮かべる「sushi」とはこの握り寿司のこと。

江戸前寿司の職人としては堺屋 松五郎(さかいや まつごろう)や華屋 與兵衛(はなや よへえ)なんかが有名だ。
ただ、ぜい沢を禁じた天保の改革のとき、華屋與兵衛などの握った寿司が「ぜい沢過ぎる!けしからん!」ということで多くの寿司職人投獄されてしまった。
これが世にいう「天保の寿司弾圧事件」だ。いやしらんけど。
與兵衛の場合はアナゴ寿司を握ったことが、”ぜい沢禁止令”に違反して投獄されたらしい。

そんな日本の寿司は19世紀後半、アメリカや中南米に渡った日本人やその子孫の日系人が、現地でレストランを開くなどして海外でも知られるようになっていく。

戦前のリトル東京の日本料理店は、主に最大数万人規模のコミュニティにまで膨れ上がった日系人のための食堂であった。

世界の「sushi」へ 

 

でもこのあと日本との戦争が始まると、アメリカにいた日本人や日系人は収容所に送られ日系人コミュニティは衰退してしまう。
そして戦後、さまざまな努力があって日本料理はフェニックスのようによみがえり、特にスシはアメリカをはじめ世界中で人気爆発となったのは記憶に新しい。
ドイツでは日本のイメージとして「寿司」が強すぎて、もはや一強で、2番目がわからないと知人のドイツ人が言っていた。
「寿司=日本」と考える外国人は多いはずだ。

 

2~30年前は海外の空港や街中の看板で、日本の電化製品の広告をよく見かけて鼻タカになったもんだけど、ここ最近はその地位を韓国・中国の家電メーカーに奪われてしまい、日本企業の透明度はすっかり高くなってしまった。
でも日本料理は逆に、存在感をマシマシに増している。
海外の空港内にあるレストランで白人や黒人、アラブ人などが寿司を口へ運んでいるのを見ると、下がりかけた鼻が上向きになって、気持ちよく出国することができる。

長い歴史の中で創意工夫されて完成した日本の寿司は、いまや世界的に人気の一品となった。
先月行われた東京パラリンピック大会に出場し、母国に帰ったイギリス選手はインスタにこんな投稿をした。

 

 

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日本のおいしい寿司を2週間、24時間無料で食べていたから、その魔法が解けたいま、自宅で食べるスナックは憂うつらしい。
この「寿司ロス」には「その気持ち分かる」「笑ったわ」とフォロワーも共感。

東京五輪に出場したアメリカ選手のレイチェル・ディンコフさんも寿司ロスの一人で、東京から戻ったあとに食べる寿司はやっぱり違うと残念そうだ。
これにもフォロワーが、本物の(日本の)寿司を知る前にはもう戻れないね、と同情してた。

 

@raydincIt’s just not the same.. ##sushi ##tokyo ##funny ##japan ##track ##olympics ##YouDontKnow ##HesAllThat♬ Fake Love – Drake

 

さて、日本で留学していた知人のリトアニア人が今月9月に大学を卒業した。
母国へ戻る彼に好きな物をおごるから、何でも食べたいモノを言ってくれとメールすると、「スシローに行きたい」と言う。
せっかくだから、もう少し豪華なものをリクエストしてもよかったのに。
でもカウンターの寿司店だとサイフが定める「ぜい沢禁止令」に違反するし、本人が望むなら回転ずしていいか。
本人が言うには、リトアニアに戻ってから絶対に恋しくなるのはスシ。もうその未来は見えている。
日本の寿司は母国では味わえないような別格のものだから、ソバやお好み焼きもいいのだけど、やっぱり帰国するまえにこれを腹いっぱい食べたかったらしい。

9月の卒業シーズンに友人と回転ずしに行って、「ラスト寿司」を満喫する外国人の写真をSNSでたくさん見た。
「行きはよいよい。帰りはコワい」で寿司ロスに悩む外国人は多そうだ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。