韓国を訪れる外国人が楽しみにしていること。
それはグルメ。
多くの訪韓旅行客がおいしい韓国料理を期待している。
だから韓国としては、ここで外国人観光客を失望させるわけにはいかない。
「おいしいと評判の店に行ったら、残念の一言」となると、その口コミがSNSで世界に伝わってしまう。
リピーターを失うことにもなる。
「山高ければ谷深し」で、期待が失望に変わったときの落差は大きい。
そのことは韓国がよくわかっている。
なんせ、「希望拷問」という日本語にはない単語がある国だから。
韓国では、2018年に平昌冬季五輪・パラリンピックが開催される。
このときには、多くの外国人が韓国を訪れるはず。
そんな訪韓外国人の満足度を高めるために、韓国観光公社がある取り組みを始めた。
韓国にある飲食店の味やサービスのレベルを上げようと考える。
それで「ミステリーショッパー」が生まれた。
「ミステリーショッパーってなんやねん?」という人も多いと思う。
ミステリーショッパーとは、要するに覆面調査員のこと。
朝鮮日報の記事にその説明がある。
韓国人と外国人、それぞれ50人がミステリーショッパーとして活動する。9月から11月にかけ、ソウル市、京畿道、仁川市、釜山市、全羅北道、江原道の6自治体内の観光地などにある飲食店400カ所を調査する予定だ。客を装って店を訪ね、サービスの質やメニューの外国語表記などの実態を調べる。
正体を明かさないミステリーショッパー(調査員)がふいに飲食店を訪れて、その店に点数をつけて評価する。
これで最優秀ランクに選ばれた店は、韓国観光公社などが国の内外に積極的に宣伝するという。
逆に点数の低い店には、コンサルティングをおこなって店を改善させるらしい。
抜き打ちでチェックされる店にとってはビクビク戦々恐々だけど、飲食店の味やサービスが向上するなら、外国人にとってはいいことだ。
で、その後、ミステリーショッパーはどうなったのか?
韓国の店はどんな評価を受けたのだろう?
レコードチャイナでこんな記事を見つけた。
韓国の“うまい店”を巡った外国人の覆面調査隊、「食べる気うせた」訳は?
この記事に、外国人と韓国人のミステリーショッパー(覆面調査員)の報告がのっている。
その内容を簡単にまとめてみた。
・ソウルの鶏料理店へ行ったフランス人
料理の味はいい。
問題はトイレ。
店のトイレは男女共用で、便器の横に置いてあるゴミ箱には使用済みの紙がうずたかく積まれていた。
そのフランス人にとって店のトイレは「本当に耐え難かった」らしい。
*韓国のトイレは日本のトイレと違って「紙を流せない」ところが多い。
だからお尻をふいた紙はゴミ箱に入れる。
ボクも韓国に行った時、これには閉口した。
・ソウルの鍋料理店へ行ったアメリカ人。
店頭に外国語の案内がなかったのはマイナス。
一番ダメだったのは、店内が汚いこと。
「店員が布巾でテーブルを拭いたけれど、とても汚くてスマートフォンを上に置けなかった」ほど。
床の上にも客が捨てた紙くずが散らかっていた。
・ソウル中国料理店へ行った韓国人2人
注文していないのに、キムチチゲ(鍋)が運ばれてきた。
この店ではランチタイムには1つのメニューしか出していない。
客の要望ではなくて、店の都合で。
そのキムチチゲは、「酸っぱいし、おかずはこしょうのにおいがプンプン」というシロモノ。
韓国人のミステリーショッパー(覆面調査員)は、「外国人の友達がこの店に行こうとしたら止める」と思ったらしい。
この記事に書いてある店は、低評価の店ばかり。
ミステリーショッパーが訪れた店は、外国人観光客が足を運ぶようなそれなりの有名店だ。
そうでなかったら、わざわざ調査して評価する必要や価値がない。
「ネット上でこの店は『うまい店』として好評だ」という店を選んで行っている。
でも覆面調査員が確認したら、低評価の嵐。
一般の韓国人も、この内容に納得している。
「韓国人の僕が見ても汚くて不潔な所に外国人が来るわけがない」とか「うまい店というのは広告費を出して宣伝した店なんだよ」といった店側を責めるコメントが多くある。
ちなみに、この記事に対する日本の反応はこんな感じ。
知ってた
まあしゃあないだろ
こんな商売何十年も続けてて日本のメデイアは韓国料理ほめまくってた
そんな状態だったんだから外国人がどう感じるか気付かなくても仕方ないソウルの中心部でこれだろ
「日本だって汚い店は本当に汚いし似たようなもんじゃん」というコメントがあったものの、ほとんどは韓国のネットユーザーと同じ。
店を批判する意見が多い。
先ほど、韓国人のコメントでこんなものがあった。
「うまい店というのは広告費を出して宣伝した店なんだよ」
これは日本でも同じろう。
店側がお金さえ出せば、「おいしいとウワサの店」や「話題の店」という評判を手に入れることができる。
「ネット上でこの店は『うまい店』として好評」という店に行ったら、「は?」となることは日本だってよくある。
韓国人の友人はこんなことを言っていた。
「ネットの口コミはウソばっかりだから、当てになりません。自分の知っている人からの情報が一番たしかですよ」
ネットを開けば、いろいろな種類の細かい情報を知ることができる。
でも、その中から“ホント”を見つけることはむずかしい。
信頼できるのは、知り合いやミステリーショッパーのような店と利害関係のない人からの情報だ。
でも、「店と利害関係がないように見せかけたステマ」なんてものはいくらでもある。
結局安心できるのは、自分で経験したことか知り合いからの情報だろう。
ネット社会が進むとウソや不正確な情報が広がるから、ますますアナログ化する面もある。
韓国のミステリーショッパー(覆面調査員)の取り組みはうまくいっている。
韓国にとって一番マズいのはコレだろう。
ネットで「おいしいと評判の店」の正体は、「外国人の友達がこの店に行こうとしたら止める」という店だった。
この状態を放置したまま、オリンピックを迎えるわけにはいかない。
ミステリーショッパーの活動で、評判の店の“真実”が明らかになったのはいいことだ。
日本にもこんなミステリーショッパーがいてもいい。
評判と実態との落差が「那智の滝」ほどあるような飲食店は、日本にもたくさんある。
じつは、日本にも同じような覆面調査員はいた。
でも調査の対象は国内ではなくて海外のレストラン。
海外に出回るインチキ日本料理をなくして、本物の日本料理を広めたい。
そんな目的をもって、ミステリーショッパーのように店を抜き打ちチェックしようとした。
でもこれは大失敗に終わる。
海外から「スシポリスかよ!」と怒られてしまった。
このことは次回書きます。
「韓国で一番おいしいビールはアサヒのスーパードライです」
と、友人の韓国人が言っていたのはホント。
「アオリの神隠し」というラーメン店の名前は日本人からしたら何か違和感。
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