韓国人女性の話 日本人の「情」・韓国の正月と日本旅行・親孝行

知人の韓国人女性ソヨンは日本に興味があって、10年ほど前、ワーキングホリデーで来日して東京に1年ほど住んでいた。今は韓国に戻って会社員として働いている。
最近、彼女と話をしたので、これからその内容をご紹介しよう。

目次

日本での忘れられない経験と「情」

ーー1年の東京生活で、いちばん印象的だったことって何?

ソヨン:それは大地震です。2011年3月11日、池袋のデパ地下で、いつものように惣菜屋でアルバイトをしているときに東日本大震災を経験したんです。
地震に慣れている日本人でも「この揺れはおかしい!」ってあわてていたから、私はその10倍パニックになって泣きそうになりましたよ。

ーーあのとき、多くの外国人が帰国したけど、ソヨンは韓国へ帰らなかった。あれはなんで? ボクがいたから?

ソヨン:それは眼中にありませんでした。いちばんの理由は、日本人の知り合いがやさしかったからです。私を心配して、非常食を持ってきてくれた人もいました。韓国人って「情」をすごく大切にするんですよ。だから、「もっと日本にいたいな」と思ったんですね。

 

韓国の正月料理「トック」に込められた願い

ーーあと3週間ほどで正月だけど、もう準備を始めている?

ソヨン:まだ。わが家では2週間前から、ナムルやチヂミなど7種類の正月料理を作り始めます。

ーー たしか雑煮のような料理があったよね。

ソヨン:「トック」のことですね。細長いお餅を入れて煮たスープで、日本のお雑煮のような食べ物です。韓国の正月には欠かせません。餅には長寿や金運の意味があって、お正月の朝に家族の健康と財運アップを願って食べます。

ーー韓国の中で、トックを盛んに食べる「トック特区」みたいな地域はあるの?

ねーよ。

 

一族の絆を深める「茶礼(チャレ)」の儀式

ーー日本の正月は神道の考え方にもとづいて、新しい年の幸せを運んでくれる「年神様」を家に迎えることが目的なわけだ。韓国の正月の目的って何?

ソヨン:家族や親戚の絆を深めることだと思います。正月に、先祖をまつる祭壇に正月料理を供えて「茶礼(チャレ)」という儀式をします。そのあと、家族でその食事をとることで「先祖と同じものを食べる」という意味があるんです。

ーー宗教は関係ない?

とくにないですね。

ーーでも、茶礼の儀式は儒教の考え方だよね?

いえいえ、儒教は宗教じゃありませんよ。

日本旅行が好きな韓国人

ーー 茶礼のほかに、韓国人は正月に何をするの?

ソヨン:日本へ旅行に行きますww

ーーは? 

ソヨン:本当にそうなんです! 韓国で日本旅行は大人気で、最近も「海外旅行に行く人の2人に1人が日本を選ぶ」というニュースがありましたけど、「だよねー」って感じです。正月休みを利用して日本を旅する人は本当にたくさんいます。

ーー韓国の人たちは日本が嫌いだけど大好きだよね。

ソヨン:その2つが同時にあります。「国」として考えると歴史問題があって嫌な気持ちになりますけど、「文化」として見れば、建物や食べ物、自然はとても魅力的です。

ーー それに今は円も安い。

ソヨン:それも重要なポイントです。10年前と比べると、日本の物価は本当に安くなったと感じます。

太宰府天満宮へ行く理由

ーー 今年の正月、ソヨンは何をする予定なの?

ソヨン:家族と九州を旅行します。ソウルから1時間半で行けちゃいますから、もう国内旅行に近い感覚ですね。親が「温泉に連れてけ」って言うので別府の温泉旅館に泊まって、福岡の太宰府天満宮でお参りをして、博多でおいしいものを食べるつもりです。

ーー太宰府天満宮は学問の神様がいるけど、それが目的?

ソヨン:はい、ことし弟が税理士試験を受けるので、家族みんなで合格をお願いします。

ーー日本の神様だけど、それは気にしない?

ソヨン:はい、まったく! 弟を合格させてくれる神様が良い神様ですからw

ーー鄧小平みたいなことを言うな。

豆知識

1960年代、中国の指導者だった鄧小平は「資本主義や社会主義の形式にとらわれず、中国が発展することを優先して、その方法は柔軟に考えればいい」といったことを、「黒い猫でも白い猫でもネズミを捕るのが良い猫だ」と言ったという。

孝:韓国で大切な価値観

ーーソヨンは日本語ができるから、頼りにされているでしょ。

ソヨン:はい、使いやすいから、丸投げされてます。家族が好き勝手なことを言って、私が調整して計画を作っているんです。面倒ですけど、親孝行と思ってがんばってます。

ーーどこの国でも親を大切にする文化はある。でも、韓国は儒教の影響が強いから、その価値観がとくに強いと思う。韓国人は家族に「愛している」ってよく言うけど、日本で親が子供に言ったら「もうすぐ死ぬの?」って心配されそう。

ソヨン:日本人は家族でも距離がありそうですね。今でも、5月8日の「父母の日」は韓国人にとってとても大切な日です。その時期になると、親にプレゼントする赤いカーネーションの花束をよく見かけます。

ーー 素晴らしい文化だよ。

ソヨン:まあ、今回の旅行は親がお金を出すから、わたしが調べたり予約をしたりしているんですけどね。

ーーそこでソヨンが出さなかったら、親孝行じゃなくてギブ&テイクじゃん。せっかくのあったかい雰囲気が台無しになったわ。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【アメリカ人の眼】行動的な韓国人とおとなしい日本人

【ゲテモノは食文化】世界・韓国・日本の気持ち悪い食べ物

【キmチ】日本人と韓国人の“文化観”の違い 愛と誇りと正確さ

日本と韓国の違いは“脱・中国” かなと和歌で日本文化が始まる

【見栄と平等】日本人を知る韓国人が感じた価値観の違い

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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