このまえSNSで、日本に住んでいる韓国人がこう書いているのを発見。
「삶게탕. 백김치 サmゲタン・白キmチ…」
なにこの「m」?
打ち間違いにしては不自然だな~と思ったら、すぐにワケが分かった。
なるほど。それはとても韓国人らしい発想だ。
キムチはちょうど今の時期、恐ろしく寒い朝鮮半島の冬を過ごすための保存食として、野菜を塩漬けにしたものが始まりだ。
日本では唐辛子を入れた赤いキムチが有名だけど、それを使わないサッパリ味の白いキムチもある。
キムチは韓国人にとっては本当に身近な食べ物で、韓国の食堂に行くと無料で提供されて、しかも食べ放題ということがフツウにあった。
冬に備えてキムチを作る「キムジャン」という風習が世界遺産に登録されたこともあって(キムチ=世界遺産ではない)、韓国の人たちはこの食べ物を韓国生まれ、韓国育ちの固有の文化として愛して誇りに思っている。
だからこんなふうに、外国からキムチの「マスターカントリー」と認められると激しくうれしいから、全国ニュースにもある。
聯合ニュース(2021.08.24)
米カリフォルニア州が「キムチの日」制定 「韓国が宗主国」明記
これは、韓国政府が2020年に法定記念日の「キムチの日」を制定したことを受けて、韓国系のチェ議員が「韓国人・韓国系が最も多く暮らすカリフォルニアでも韓国政府と足並み」をそろえるために発議したもの。
これから毎年この日、韓国人・韓国系がキムチの歴史や優秀性を現地に伝えるという。
つい先日もそんな日が爆誕。
中央日報(2022.02.11)
米バージニア州も「キムチの日」制定
自国の文化を愛して誇る気持ちは日本人にもあるとしても、その「熱」は韓国人に比べるとかなり低い。
和食に代表される日本の伝統的な食文化が世界遺産に登録されたときは、官も民も全国的によろこんだから、その気持ちは韓国人と同じ。
でも、日本政府が「スシの日」や「キモノの日」を制定することはない。
*「全国すし商生活衛生同業組合連合会(全すし連)が定めた11月1日の「すしの日」ならあり。
本国と海外の日本人や日系人が連携して「日本が宗主国」を明記する日をつくって、スシやキモノの歴史や優秀性を現地の人たちに伝える世界は想像できない。
特に文化の「宗主国」という言葉や発想は日本で聞いたことがない。
この点、自国の文化を誇りに思って海外へ紹介しようとする積極性では、韓国人は日本人のはるか上をいっている。
「サmゲタン・白キmチ」もきっとそんな気持ちの延長だ。
韓国語の「김치」を日本語で表すと「キムチ」になって英語だと「Kimchi」。
英語だと「キ+小さいム+チ」の発音になって、韓国語とほぼ同じになる。
日本人の発音だと片仮名の「ム(mu)」が入って韓国式の「Kimchi」と違うから、「そんなのどーでもいいデス」と言う知人のような韓国人もいれば、見過ごせない人もいる。
日本語のキムチを「間違い」として、「正しい発音」を教えようとする韓国人もいるから、「kimchi」から「u」を抜いて、より本場に近い発音を示す場合もある。
にしても「キmチ」を見たのはこれが初めて。
「キンチ」という表記なら見たことあるけど、これだと風景のよい土地の「錦地」か、それとも明治時代のお雇い外国人の「キンチ」か日本人には分からない。(この迷いは激レア)
サムゲタンとキムチを「サmゲタン・白キmチ」を書く背後には、宗主国の人間としてのプライドと”親切”が垣間見える。
日本人なら現地式を日本式の発音にするために、こういう不自然な表記をつくり出すことはないだろう。
個人的には、コメにチョコを塗った物体を「sushi」と言われると「オイっ」となるけど、外国人が「アイ・ライク・スゥシィ」と言ってもまったく気にならない。
どこの国の人か忘れたが、着物を「ケモノ」みたいに発音したのはさすがに気になった。
外国人に英語でインタビューする日本人が「スキヤーキ」とか「キャラオーケ(カラオケ)」みたいに、むしろ相手の発音に合わせているのは見たことある。
でもこういう場合、相手の外国人に「正しい発音」を教えて、そのとおり言わせると「ヨクヤッタ」とほめられる風潮が韓国社会にはあると思う。
「キムチじゃダメなの?」と疑問に思う日本人はよくいる。
「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例
> コメにチョコを塗った物体を「suhsi」と言われると
???
その表記はスペルも間違っているのですか?
3番目の「h」はサイレントのつもりですかね? あるいは「ス~スィ」とでも発音されたとか?
あ、スペルミスでした。
ご指摘ありがとうございます。
この「キムチ」と「キmチ」の話はよく聞くのですが、私が知る限りでは、日本人でも「キmチ」と発音している人が日本人でも結構三割くらいはいるような気がします。特に、関西よりも関東で多いのでは?
同様に発音の話で、日本語の「富士山」も、実は関西と関東とでは微妙に違いがあって、関西では「フジサン」関東では「Fジサン」と発音している人が多いように、私には聞こえます。
あと、ここ10年くらいで、ほとんどのTVアナウンサーが、昔の「チーム」を「ティーム」と言うようになってきたのですが、あれ全国でそうなんですか? だけどなぜか、複数になると「チームズ」(Microsoft社のWeb会議システムの名称Teamsとか)と言うのです。(だけどチームズって何? 戦隊? 煙突群?)
それから、ソフトウェアのExcelなんてのも日本語では3種類の発音があって、サラリーマン社会で一番多いのは「ェクセル(尻上がりに発音)」、コンピューターに詳しい人は「エクセル」や「エクcel」って言ってますよ。