ドラマの中で俳優が特定の商品を使うことで、その商品の好感度が上がって売り上げもアップする。
そんな間接広告は世界のどこでも行われているフツーのこと。
だがしかし、韓国ドラマの中で中国企業が「ビビンバ」でそれをしたことで、韓国人の心中は穏やかでないらしい。
そのシーンを見て韓国の国民食であるビビンバを、海外の視聴者が中国料理と誤解するかもしれない。
韓国ではいまこんな”文化盗用”が問題になっていて、全国紙の中央日報日本語版のコラムにはこう書いてある。(2021.03.18)
韓国ドラマの影響力を通じて多くの国に製品をマーケティングすることを狙ったのだ。(中略)文化界のチャイナ・マネーの影響力がますます拡大する時期。どんな基準でどのレベルまで容認すべきなのか。中国産ビビンバが投げかけたテーマだ。
【噴水台】ビビンバ工程
それなりの影響力がなかったら宣伝効果もないし、中国のスポンサー企業はしっかり広告費を払っているのだから、客観的には問題はない。
でも、キムチを「泡菜」という中国の食文化と位置付ける中国に対して、韓国人が警戒する気持ちはわからなくもない。
個人的にはキムチとビビンバは韓国料理と思っているけど、まぁ好きなだけ議論してくれ。
でも、ビビンバに中国文化の影響があることは間違いない。
韓国は中国と陸続きだから、日本よりも受けた影響は大きいのだ。
画像:abex
韓国語の「ピビン(混ぜ)」と「パプ(ご飯)」でできるビビンバは混ぜご飯を意味する。
野菜(ナムル)や肉、卵などをご飯にのせて、コチュジャンやごま油などの調味料をかけてよくかき混ぜるこの料理、本来の具は5種類とされていて、それぞれ左右上下と中央に分けて盛られていた。
この「5」という数字には特別な意味がある。
これは五行思想(五行説)という古代中国人が生み出した考え方によるもので、それによると、この世のすべては木・火・土・金・水の5種類の元素からできている。
この中の「五味・五色・五法」が料理に関係していて、韓国や日本にも影響を与えた。
静岡で有名な中華料理店「五味八珍」や、五目焼きそばや五目チャーハンなどの「五」はこの中国思想に由来するものだろう。これは別の機会に書くつもり。
食べ物ではないけれど、ビールを飲んだあとに誰もが言う(かも)「プハー!五臓六腑に染みわたるー!」の「五臓」なら間違いなく五行思想だ。
五つの色とは「白・黒・赤・黄・緑」、五つの調理方法とは「生・煮る・焼く・揚げる・蒸す」、そして五つの味とは「甘味・塩味・酸味・辛味・苦味」のこと。
これらをバランスよく取り入れることで、食が進んで健康にも良いとされる。いわゆる薬食同源ってやつ。
中国の(陰陽)五行の考え方ははるか昔に朝鮮半島へ伝わって、韓国情報サイト「コネスト」によると、ビビンバにもこの思想が五味五色で表現されている。
陰陽五行説に基づく5色の鮮やかな食材がキレイに盛られた「全州ビビンバ」を、全州観光の際に食べるのが観光プランとして有名です。
おいしくて健康にいい、この「五味五色」を一度に味わえるのが韓国料理のビビンバ。
具体的にいうと、黒には海苔や黒ごま、白にはもやし、大根、赤にはにんじんや牛肉、青にはほうれん草やきゅうり、そして黄にはかぼちゃなどがある。
こんな五味五色はほかの韓国料理でもみられるはずだ。
だからビビンバは中国文化の影響を受けつつ、韓国が考案した独自の混ぜご飯という認識が正解だ。
もちろん「韓流ドラマに中国企業のビビンバを出すな!」、「韓国がまた言いがかりをつけている」とネットで殴り合うのも自由。
中韓が「文化盗用」をめぐって争って疲れてくると、傍観している日本が案外、漁夫の利を得るかもしれない。
「どんな基準でどのレベルまで容認すべきなのか。中国産ビビンバが投げかけたテーマだ。」
韓国の人たちはそんな問いかけをする前に、国内に目を向けたほうがいい。
いまこのソウルフードがピンチなのだから。
3代にわたって続いてきたビビンバの老舗で、ソウルの明洞のにあった「全州中央会館」がコロナ禍の客足激減からきょねん閉店した。
ソウル市が「ソウル未来遺産」に登録するほどの伝統や価値があった店で、ボクもここのビビンバが好きだっただけにこの消失は衝撃的。
韓国ではコロナのせいで、メディアに取り上げられていた人気店にも「廃業案内文」が張り出されているという。
中央日報日本語版の記事(2020.12.29)
主要オンライン中古市場には各種業者用機器を売る涙の「安売りセール」掲示文が次々と出ている。ソウル未来遺産に指定されて、名前が知られていた場所でさえ、これを避けることができないほどだ。
外国人観光客の足が途切れて…閉店に追い込まれた「未来遺産」元祖ビビンバ店=韓国
世界に通じる韓流人気を利用して、こういう涙を救うことを考えたほうがいい。
中国人を怒らせたら、もっと多くの韓国人が泣くことになるのでは。
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韓国人として読むにはとても不便なコラムですね。
韓中日3国はお互いに影響を与えてきました。仏教伝来や儒教伝来などが、そのような文化的影響を相互に交わしたものです。仏教は中国が先に受け入れ、三国時代の韓半島を経て日本に入ることになりました。
また、陶磁器技術は日本が朝鮮と明国から取り入れたものです。しかし陶磁器を高度に発展させて収入を生み出した国は日本でした。その点で、文化や技術は歴史的にお互いに影響を与え合うものでした。
今、韓国で中国の文化工程を懸念しているのは北朝鮮を超えて韓国まで中国の影響圏内に入れようとしているという憂慮のためです。たとえ、朝鮮の519年は中国の影響圏内にあったが、高麗時代まで韓半島に存在した国家は、中国とは異なる自主国でした。民族のDNAも違います.
むしろ、民族的DNAは日本とほぼ一致していることが証明されているのです。
この件に関して日本は中立の立場でしょうね。