【冬の罠】日本に住むスリランカ人を悩ませる、静電気という伏兵

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スリランカ人と静電気

1970年代に活躍したバンド『アリス』には、「冬の稲妻」という名曲がある。ある日、突然別れ話を切り出され、稲妻に打たれたようなショックを受けて、心を引き裂かれるほどの傷を負ったという悲しい歌だ。

日本に住んでいるあるスリランカ人の場合、そこまで大きな衝撃ではないけれど、「突然すぎた」という歌詞にピッタリ当てはまるの“もの”がある。その正体は静電気。
冬の日本では、ドアノブに触れた瞬間に「パチッ」と指先に痛みが走ることがある。多くの日本人にとっては冬の当たり前の現象だが、世界にはこの体験をほとんど知らずに育つ人もいる。
最近、そんなことを知ったので、これから説明していこう。

日本の冬に潜む敵

日本に冬将軍がやってくると、目覚めるモノがある。

ドアを開けたり上着を脱いだりといった、何気ない日常動作の中に「静電気」という敵が潜んでいて、突然指先に衝撃が走ることがある。
これは自然現象だから、特定のターゲットを選んでいるわけではない。
一定の条件がそろうと、どんな国籍や宗教の人にも平等に発動し、「パチッ」という乾いた音を発して鋭い痛みをあたえる。

1月の中旬、日本に住んでいるスリランカ人とレストランで夕食を食べたあと、彼が車のドアを開けようとした瞬間、火花が散った。
彼は車に乗り込むと、「日本の冬」に文句を言い始めた。
基本的に年中夏のスリランカに比べて、日本は12月から2月までとんでもなく寒くなるから、暖房による電気代がかさんで困るという。

しかし、それとは別件で彼がウンザリしていたのが静電気だ。ドアノブ、買い物カート、車、エレベーターのボタンなど、身近なあらゆる場所にこの見えない悪魔が潜んでいる。それが前触れもなく突然現れるから、「イタッ!」と思わず指を押さえることになる。

1日に何回も経験すれば記憶に残り、法則性も分かりやすい。でも、静電気は普通の行動の中でたまに、そしていきなり発生するから、忘れっぽい彼には発生のタイミングが予測できず、対策も立てられないでいる。
科学者の寺田寅彦は「天災は忘れた頃にやってくる」と言ったが、このスリランカ人にとって静電気がまさにそれ。

「不幸は友人を連れてやって来る」なんて言葉があるけれど、彼は体質的に静電気がたまりやすいらしく、周りの日本人よりもその攻撃を受ける頻度が高いらしい。そして、「バチッ」ときた瞬間にそれを思い出す。

 

スリランカでは、自宅の庭にバナナが自然と育つらしい。

スリランカで静電気がほぼ起きないわけ

静電気は冬に発生しやすく、夏は起こりにくいということは、日本で暮らしていれば誰でも経験的に知っているはずだ。具体的には気温25度以下、湿度20%以下になると発生しやすくなる。

南国のスリランカは熱帯気候の国で、一年を通して気温も湿度も高い。空気中に含まれる水分には、電気を逃がす「通り道」の役割がある。湿度が高い環境なら、体にたまった電気は水分を通じて自然に空気中へ逃げていくから、物と触れた瞬間に火花が飛ぶほどたまることがない。

そんなわけで、彼はスリランカで暮らしていたとき、静電気を経験したことはほとんどないという。自然条件だけを見れば、スリランカの屋外で静電気が発生することはまずない。おそらく、エアコンを使うなどして空気が乾燥している室内で、本当に運悪く「バチッ」となったと思われる。

寒さ対策が静電気を呼び寄せる皮肉

日本では、冬になると何度も「静電気アタック」を食らうから、彼はそのたびにストレスがたまり、精神的にも疲れるらしい。いつ衝撃が来るかわからないから、彼にとって日本の生活には、地雷原を歩いているような不安があるかもしれない。

さらに皮肉なことに、南国出身の彼は寒さへの耐性が低いから、日本人以上に防寒対策を徹底している。安さと暖かさを優先して、フリースやセーターなど静電気をためやすいものを買うから、異なる性質の化学繊維がこすれ合って静電気が発生し、体内に蓄積されやすくなる。
暖房をフル稼働させている部屋の中でそれを脱ぐと、パチパチという音と共に鋭い一撃をお見舞いされる。

寒さを防ごうとすればするほど、静電気という敵を自分から招き入れてしまう。彼にとって、静電気は日本の冬に潜む厄介な「伏兵」にほかならない。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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