4分の1は韓国人
日韓は政治的には対立していても、国民レベルでは交流が進んでいる。
2025年に日本を訪れた外国人客は初めて4000万人を超え、日本が世界的な観光大国であることを証明した。
もちろん観光公害の対策は必要だが、日本経済にとって、彼らの消費額が過去最高の約9兆5000億円を記録したという事実は見過ごせない。
日本の輸出産業では自動車が不動の1位で、インバウンド消費はそれに次ぐ2位に位置しているのだ。(外国人客の消費は「輸出」とされている。)
国別に見ると、日本をもっとも多く訪れたのは韓国人でその数は約950万人。つまり、4分の1を隣国が占めていることになる。日韓は「近くて遠い国」と言われているが、今は「遠くて近い国」でもある。
韓国メディアで知る日本
実際、韓国で起こる動きを見ていると、「世界で韓国人ほど日本に熱心な人たちはいないのでは?」と思ってしまうほどだ。
国民の日本への関心は高い。メディアもその需要に応え、日本についてよく取り上げるから、結果的に、それを通じて日本について初めて知ることも多い。
個人的に、サッカー日本代表の世界ランキングは、いつも韓国メディアの報道で知ることになる。
先日も、韓国の全国紙・中央日報にこんな記事があった(2026.02.01)。
韓国にまで広がった日本の「MZ世代の会」
日本の影響を受けて、いま韓国の若い世代では、知らない人が集まってフライドポテトを一緒に食べる「ポテト同好会」が流行しているという。これは自由な格好でファストフード店などに集まり、ポテトを食べながら気軽に人と交流するイベントだ。
報道を見るまで、今の日本でそんな動きがあることに1ミリも気がつかなかった。
一変した下呂温泉の日常
ことし1月、韓国好きの日本人が平日の下呂温泉を訪れると、旅館の中で何度も韓国語を聞いてビックリした。従業員に聞くと、宿泊客の約半数が韓国人だった。
下呂温泉は日本三名泉の一つとして名高いが、山間部にあってアクセスが良いとは言えない。一番近い国際空港のセントレア(中部国際空港)からは、特急を乗り継いでも約3時間はかかる場所だ。
その日本人は少し韓国語ができるから、「こんなに遠いところまで、なんでわざわざ来たんですか?」と尋ねた。すると彼らは笑顔で、「韓国のSNSで下呂温泉がバズっているんです」と答えた。
旅館側にとって、「救世主」のような存在だ。年末年始の忙しい時期が過ぎて、客足が遠のく1月の平日にやって来てくれるから、彼らは大歓迎されているという。
下呂温泉に泊まった日本人が SNSでそんな報告をすると、ある韓国人から「それは残念です」というコメントが返ってきた(原文は韓国語)。
その人は、昔たまたま下呂温泉に訪れたとき、泉質が良くて本当に気に入ったと書き、こんな感想を述べていた。
「私が行ったときは、日本人ばかりでとても静かでした。でも、今では韓国人がそんなにたくさんいるんですね。秘密にしておきたかったので残念です。」
日本の「ヒドゥン・ジェム」を探す熱意
今は、韓国民の5.45人に1人が日本へやって来る時代だ。そうなると、もう日本で「秘密の場所」を探すのは非常に難しい。それでも、多くの韓国人が日本の「ヒドゥン・ジェム」を求めている。
※「hidden gem」(隠れた宝石)とは「まだ知られていない名所・穴場」といった意味。
これは人気のコンテンツだから、韓国メディアもこぞって掲載するが、当然ながらネタが無くなってくる。
中央日報は、日本人の9割が知らないと思われる「秘境」を紹介した。(2026.01.29)
韓国人なら一度は行くべき、日本の山奥で1300年続く祭りの秘密
記事によると、今の日本には「どこへ行っても韓国人がいる」という状態。そのため、これから紹介する場所も、すでに足を踏み入れた韓国人がいるのではないかと、記者がプレッシャーを感じている。
宮崎県の山奥と韓国の意外な関係
記者が訪れたのは、宮崎県の山あいにある美郷町南郷だ。ここでおこなわれる「師走祭り」は韓国と深い関係があるという。
1300年以上も前、日本へ亡命した百済(くだら)の王族がこの地へたどり着いた。その中の禎嘉王(ていかおう)が定住し、村人たちと暮らしていたが、追手によって命を奪われてしまう。
その後、住民たちは彼を神社にまつり、記念の祭りをするようになった。
もちろん、これは「言い伝え」で史実と確認されたわけではない。しかし、ここには「百済の館」があり、百済時代の重要文化財のレプリカを見ることができる。また、美郷町にある「美人の湯」は、百済の王族からの贈り物と考えられてきた。
記者は祭りのほかにも、「マイ箸」作り体験や、樹齢1000年を超える大杉が並ぶ神社、山の斜面に広がる棚田の見学などを推奨している。
グルメについては、なば(椎茸)丼、ヤマメの塩焼き、猪肉を使った煮込みといった郷土料理を楽しめるという。
「ナンチャッテ」から「唯一無二」へ進化したニジモリスタジオ
ソウルから車で1時間半ほどの場所に、江戸時代の日本をイメージして2021年につくられた「ニジモリスタジオ」がある。日本の伝統的な建物が並んでいて、京都を思わせるテーマパークだ。
ここは、個人的には良い意味で予測が裏切られた場所だ。
数年前、日本に住んでいた韓国人に聞くと、
「あれはしょせん日本のニセモノだから、すぐに潰れますよ。今はコロナ禍で日本へ行けないから人が集まるだけで、旅行が再開されたらみんな日本へ行きます。狭いわりには入場料が高いですし」
と彼はボロクソ言っていた。
しかし、2025年にソウルに住む韓国人に聞くと、、一過性のブームではないことが判明した。
「ニジモリスタジオですか? まだ潰れてないと思いますよ。ちょっと待ってください、いま調べてみます。やっぱり、まだありました。むしろ客は増えているみたいですね」
日本式の「夏祭り」などのイベントを継続的に開催して飽きさせない工夫をしたり、日本の雰囲気を楽しめる旅館が人気を集めたりして、リピーターの確保に成功しているという。
日本を旅行して楽しい思い出を作った人が、帰国後にこの場所へ行って「追体験」をするケースもある。逆風ではなく、追い風になっている。
日本にはない韓国の「日本への熱量」
日本にこの「熱量」はない。
韓国旅行は日本でも人気だが、「どこへ行っても日本人がいる」という状態ではないし、日本の全国メディアがアクセスの悪い韓国の山間部の村を詳しく紹介するのも見たことない。
日本では、朝鮮王朝時代をイメージしたテーマパークがオープンされる気配はまったくない。もししても、これは自殺行為で本当にすぐに潰れそうだ。
韓国人ほど日本に対して熱心な人たちは、世界中を探しても他にいないのでは?
変わらぬ「国民情緒」と政治の壁
しかし、「限度」はある。政治や歴史の問題になると、話は別だ。
ニジモリスタジオでは、2025年に夏祭りを開催したさい、その期間に8月15日が含まれていたことが物議をかもした。
1945年のこの日、日本は降伏し、韓国は日本統治から解放された。それを祝う「光復節(こうふくせつ)」の日に、日本文化を楽しむことは国民情緒に合わないとネットで炎上したのだ。
韓国民の日本への熱意がどれだけ高まっても、愛国心を上回ることはない。

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