「日本の男は恥じるべき」? 海外基準では日本は安全コストを道徳心で補う国

日本について、「性欲に甘い恥ずべき国」という非難もあれば、「聖人のような自制心を持つ国」という指摘もある。
これから、海外の視点を通して日本の治安の高さや、その理由について書いていこう。

目次

衝撃的な事件と日本への厳しい批判

「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われていることを、日本人ははっきり自覚し、恥じるべきだ」

きょねん12月、タイの12歳の少女が母親に置き去りにされ、東京のマッサージ店で性的サービスをさせられていたことが分かり、社会に大きな衝撃をあたえた。
それを踏まえて、元アナウンサーの女性は上のように強く強調し、以下のように厳しく指摘した。
それを踏まえて、元アナウンサーの女性が上のように強調し、以下のように指摘した。

「『日本は治安がいい』なんて、殊、性犯罪や男女平等の面においては、全く言えない。」
「痴漢ですらろくに逮捕されないのが日本」

確かに、弱い立場にある人たちが犠牲になることは許されない。が、少女の事件は前代未聞レベルの出来事だ。こうした極端な事件を取り上げて、「日本人は」と主語を大きくするのは適切ではない。
痴漢が最大級の非難を受けるのは当然だとしても、母数を全日本人男性にすれば、そんな卑劣な行為をするヤツは例外的に少ないはずだ。

イタリアから届いた「反論」

「日本人は恥じるべきだ」というこの主張は主観的で一方的だ。
そんなことから、真っ向から異を唱えた人物がいる。イタリアのフィレンツェに住み、オペラ歌手として活動している日本人女性だ。彼女はSNSの「X」で、「深い溜め息をついてしまう」と前置きし、次のように反論した。

「海外在住の視点から残酷な真実を言おう。『痴漢』という言葉がこれほど定着しているのは、日本が『世界でも異常なほど安全な国』だからだ」

彼女の感覚からすると、海外の主要都市で女性が電車に乗るには、常に「『戦場』にいる覚悟」が必要だという。
イタリアの地下鉄で、日本の通勤電車のように無防備に居眠りなどしようものなら、財布を盗まれるのは序の口。最悪の場合、痴漢が生ぬるく思えるほどの、命に関わる深刻な暴行(Sexual Assault)を受けるリスクが潜んでいる。

海外では「自分の身は自分で守る」のが鉄則だ。そんな厳しい現実を知る人からすれば、日本の環境は天国のように見えるらしい。

日本人男性が「聖人」に見える理由

一方、日本の男性たちも「けなげ」だ。
満員電車で痴漢冤罪に巻き込まれないよう、両手を上げて「私は何もしていません」とアピールする姿は日本ではよく見かける光景だ。しかし、海外に住む女性の目には、日本人男性は「潔癖なまでに理性的」で、驚くほど自制心が強い。イタリア人からすれば、彼らの自己規制の強さは「聖人」に見えるレベルだという。

日本はとても安全で、思わず油断できるほど法律やマナーで守られている。だからこそ、海外ではもっと深刻な暴力に発展するような悪意が、日本では「痴漢」という比較的ローリスクな犯罪の形に留まっているのだと彼女は指摘した。

日本の「異常なほどの民度の高さ」に対して、日本人はもっと誇りを持っていいーー。

彼女のこの意見には、SNS上で賛同する人が続出し、13万以上の「いいね」がついた。

アメリカの日常にみる「安全のコスト」

この話を聞いて、ジョージア州の郊外に住んでいる知人のアメリカ人女性のことを思い出す。
数年前、彼女は仕事の関係でアトランタ市内の中心部に3ヶ月ほど生活することになった。その際、彼女が何よりも最優先したのは「安全の確保」だった。

彼女の仕事は24時間体制で、たまに早朝や深夜の出退勤がある。
夫と相談した結果、「その時間帯に女性が1人で地下鉄や電車に乗るのは、自殺行為に近いほど危険」という結論に達した。そのため、公共交通機関は使わないで、マイカーで通うことにした。

さらに、女性が1人で生活すること自体がリスクの高い行為だったため、夫も一緒に住むことになった。
アパート選びの基準も「安心感」を絶対条件に設定した。その結果、2人とも職場からは不便になり、家賃などの出費も増えたが、彼らはその「安全コスト」を当然の経費として受け入れた。

イタリアに住んでいる日本人女性も、同じ目的で出費をしているだろう。

世界の標準と日本の「非常識」

こうして彼女は数カ月間、アトランタの中心部で不自由な生活を強いられた。
アメリカでの生活は自衛・自己責任が基本だから、これは決して「過剰反応」ではないという。むしろ世界的にはこれが標準的な感覚だ。

対して、日本の「普通」は、海外から見ればマンガのような「非常識」な平和さだ。薄暗い時間に女性が一人で公共交通機関を利用したり、社会人が電車でだらしなく居眠りをしていたりする。この日本の日常風景が、外国人には「奇跡」のように見えることもある。

日本にいる外国人の SNS投稿を見ると、日本の「平和ボケ」を笑ったり、その安全さに感心したり、母国の治安を振り返ってうらやましく感じたりするものが多い。
日本では当たり前の深夜の帰宅や早朝の通勤が、世界の多くの地域では「命がけの行為」になりかねない。

日本は「性犯罪大国」という誤解

日本では、痴漢を疑われるだけで人生が台無しになることもある。だから、男たちは電車の中で、両手を上げて「無罪」をアピールする。その姿はイタリア基準では「聖人」に見えるという。日本に住んでいたあるイギリス人男性は「無条件降伏」と表現した。

東京に住むことになったアメリカ人男性は、日本人からそうするようアドバイスをされて、「バカげている! いつも銃を突きつけられているようなものじゃないか」と腹立たしく思った。

【痴漢冤罪】浜松から東京へ引っ越した米国人が驚いたこと

世界基準からしたら、日本の男性たちは不自然に見えるほど他人に配慮しているのだ。もちろん、「自衛」の意味もあるけれど。

無人販売所でわかる日本人の精神

痴漢という、女性の権利を侵害する行為は卑劣一色で、情状酌量の余地は1ミクロンもない。が、海外で起きている「次元の違う暴力」と比較すると、日本の男性が「潔癖で理性的」であるという指摘には説得力がある。

最近、カナダ、バングラデシュ、ベトナム、スリランカの人たちとハイキングに行った際、彼らは道端にある「野菜の無人販売所」を見て、「さすが日本人!」と感心していた。

無人販売所と日系人:時代を越えて共鳴する「日本人の価値観」

個人的に、さまざまな外国人と付き合った経験から、年齢性別を問わず、日本人の道徳心はとても高いと確信している。
誰も見ていない、防犯カメラもない場所で、置いてある野菜と代金をきちんと交換する。この光景は、日本人の「誠実さ」と「自制心」の象徴だ。
その精神にふれて、「ここはユートピアだね」と呆れ笑いをする外国人もいた。

誇るべき道徳心とこれからの課題

一部を一般化して、「日本の男 ≒ 痴漢集団」と語って自国をおとしめるのは間違いだ。それは、理性や自制心を保って生きている大多数の男性を侮辱している。
もちろん、痴漢行為は深刻な問題で、根絶に向けた努力は必要だ。しかし同時に、女性が1人でも、安心して公共交通機関を利用できる治安の良さを、日本人は再認識し、守っていくことを考えることも大切だ。

こうした安全は自然に成立するものではなく、人びとの「道徳心」によって支えられている。日本の生活で安全のために必要なコストは、世界的には「最安値」のゾーンに入るはずだ。

これからの日本でも、そんな安全がこれからも続く保証はない。いつか日本が「世界基準」の国になって、「痴漢で大騒ぎしていた時代がなつかしい…」となったときには手遅れだ。
大人たちには、今の道徳基準を保った日本を次の世代に引き渡す義務がある。
そのためには自国を恥じるのではなく、まずは自分たちの「普通」に誇りを感じたほうがいい。

 

【おまけ】

先日、エプスタイン文書が公開され、世界中に衝撃が走った。
エプスタインはアメリカの大富豪だった人物で、児童への組織的な性的暴行などの容疑で逮捕され、後に拘置所内で自殺した。
彼が欧米の政財界の大物や王族、エリートたちに売春を組織的に斡旋していたという疑惑は、現在進行形で国際的なスキャンダルとなっている。

日本でこんなことが発覚したら、「世界から『性欲に甘い』と言われていることを、はっきり自覚し、恥じるべき」と指摘されても仕方ない。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【日本の恥】英国・カナダのHPで「chikan(痴漢)に注意」

「韓国は先進国、日本は遅れている」と言うが、安全性なら日本が上

アメリカ人が”英語”で感じた、日本人と韓国人の性格の違い

外国人が思う日本 弥生時代も2023年も“安全大国”だった

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメントする

目次