浜松市内の学校で英語を教えていて、いまは東京でビジネスマン、おっとビジネスパーソンをしているアメリカ人が知人にいる。
久しぶりに彼と会ったとき、東京での新生活について不満をきいたら「電車通勤だね。あれは地獄だ」とのこと。
浜松にいたころは自転車で学校へ行くことが楽しみのひとつだったから、東京の朝の満員電車は、その光景を見ただけで窒息しそうな気がしたらしい。そしていまだに、これだけには慣れることができない。
「通痛電車」のほかに職場の同僚から、「おまえ、これには気を付けろよ」とアドバイスされたのが痴漢の冤罪(えんざい)。
満員電車と痴漢については聞いたことがあったけど、この問題は初耳で驚いた。
何もしてもいないのに、「この人です!」と女性に言われて男性が犯人にされてしまう事件はたまにニュースで見る。
これはきのうの読売新聞の記事(2021年4月13日)
痴漢で起訴された男性に無罪判決 「別人の可能性を払拭できない」
女性の胸を触ったとして40歳代の男性が東京都迷惑防止条例違反に問われたものの、「被害女性が別人と取り違えた可能性を払拭できない」と東京地裁は無罪を言い渡す。
有罪だった場合に払う、罰金30万円はまぁ大したことはない。
それよりも、2019年からずっと無実を主張してきた男性の精神的苦痛のほうがはるかにデカいはず。しかもきょねん在宅起訴されている。
ちなみに被害を訴えた女性は「犯人から目を離していない」と話し、池袋駅で降りるときに男性のカバンをつかんだと説明したという。
この事件に世の男の感想は?
・痴漢冤罪でも千回に一回は無罪を勝ち取れるんだな、裁判で失った時間は戻ってこないが
・どうせ高裁で覆る
・で、冤罪の男性が逆襲の民事訴訟をやると、これまた負ける
・触ってきた手に画鋲か安全ピン差しこんでおけば
・カバンつかむより、手を引っ掻けばよかったね。
皮膚のDNA検査でハッキリしたのに。
痴漢に対して女は非力で、冤罪に対して男は無力だ。
2017年には総武線平井駅で痴漢被害を主張する女性がある男性を犯人扱いし、殴る蹴るの暴行を加えたうえ、非常停止ボタンを押してさらに警察へ通報した。
このとき車内の目撃者は、男性は片手でスマートフォンを操作してもう一方の手で吊革をつかんでいたから、「痴漢冤罪だ」「男性は無実」と証言したけれど、駆け付けた警察官は男性を電車から下ろして警察署(交番?)へ連行。しかし結果は無罪。
これで当時のネットでは「女性に叫ばれたら、男が何を言っても無駄」という無力感がただよう。
平井駅の痴漢の案件で分かったこと
車内に100人のって超満員と仮定する
疑われた人を含め99人が無罪を主張
1人が痴漢を主張
痴漢を主張した人が疑われた人を殴る蹴るする
↓
最終結果警察はどんなに無罪主張多数でも痴漢したと主張したひとを最優先し疑われた人を逮捕する
— ト口リン (@toro_6437) June 3, 2017
平井駅の冤罪まとめ見たけど、周りの乗客が冤罪だと言ってるし証人もいるのに警察に強制執行されて連行されるのであれば、線路下りてでも逃げるしかないって結論になるよな。こういう所から改善しろやと。加計とかよりこっちを国会で議論すべきでしょ
— じょえ (@joe_turboR) June 2, 2017
痴漢の被害は女性と男性の両方だ。
もう電車のあちこちに、防犯カメラを付けてもらうしかないだろう。
さて話を東京のアメリカ人に戻そう。
彼は同僚の男性だけでなく、知り合った女性からも同じことを言われた。
一度痴漢の疑いをかけられたら、かなり面倒なことになるし、日本語がうまく話せないと大きなトラブルになりかねない。
だから電車の中にいるときは両腕を挙げて「やってませんアピール」をしたほうがいい、というアドバイスをゲット。
「バカげてる!常に両手を挙げてる状態なんて、まるでいつも銃を突きつけられているようなもんじゃないか」と不満を言う彼には、自転車通勤していた浜松での日々がたまらなくなつかしい。
彼が米国に住んでいたときには、痴漢と冤罪なんて話を聞いたことがない。
*アメリカでその行為が一切ないというワケでもない。
だから母国の家族や友人に話しても、東京ライフのこの恐ろしさがいまいち伝わらない。
こちらの記事もいかがですか?
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
東京の通勤ラッシュの電車では無理かもしれませんが、そこまで混まない電車であれば、最近は、スマホやタブレットを両手で操作していることによって、痴漢冤罪被害を避けるようになってきているみたいですよ。そういう考え方もありでしょうね。