ドイツ人から見た日本 唯一無二の国・ユルい信仰と寛容さ・その弊害

国際化の時代のいま、日本人に求められるのは外国人に日本という国を伝えることだ。しかし、これがなかなか難しい。

「ほかの国と比べて、日本の魅力や特徴にはどんなものがあるのか?」

この質問に答えるには、海外の事情を知っていることが前提になっているから、日本で生まれ育った日本人だと答えづらい。

逆に外国人なら、自然と母国と比較して「いや、それはおかしいだろ」とツッコんだり、「その発想はなかった」と感心したりするから、日本という国の「キャラ」に気づきやすい。

今回は、日本が好きなドイツ人留学生のシュタルク(仮名)の経験を通して、日本への理解を改めて深めていこう。

目次

1. 日本ならではの「唯一無二」の魅力

 

ーーさっそく聞きたいのだけど、シュタルクにとって「日本の魅力」ってなに?

シュ:それは独自性ですよ、「唯一無二」と言っていいほどの。
歴史を見ると、侍のように名誉を何よりも大切にして、「切腹」という独特の行動様式をする人たちがいる。彼らはヨーロッパの騎士と似ているけれど、まったく違う。

ーーあいかわらず、外国人にサムライは人気だな。
「ブシとの違いは何ですか?」と聞かれて、何度死んだフリをしたことか…。

シュ:それに、現代ではポケモンみたいな可愛いキャラクターがいる。私はアニメを通して日本に興味を持ったんです。
ほかにも、忍者という独特のアサシン(暗殺者)もいたりして、日本という国が特別に見えたんですね。

ーーなるほど。
フランスの文化人類学者、レヴィ・ストロースが言った言葉を思い出した。

私がとても素晴らしいと思うのは、日本が最も近代的な面においても、最も遠い過去との絆を持ち続けることができていることです。私たち西洋人も、自分たちの根があることは知っているのですが、それを取り戻すのはとても難しいのです。

 

シュ:私の感想は、そこまでマジメじゃないんですけどね。でも、日本は伝統とポップカルチャーが共存しているとてもユニークな国です。

ーー日本より歴史の長い国はあるけれど、現在まで続く国としては、日本が世界でいちばん古いから、古代からの伝統文化がよく保存されている。
その代表例が正倉院。
古い文化と新しい文化がミックスされているのは、日本の大きな特徴だ。

日本にある奇跡“正倉院” 破壊・略奪されたパルテノン神殿との違い

 

侍とピカチュウの対比に日本の「らしさ」を感じるドイツ人がいれば、東京旅行でこの場面を見て、日本の新旧を感じたインド人もいる。

 

2. 神仏習合|ドイツ人には不思議な日本の信仰

ーーこの前、「世界一大きなたい焼き」を食べたあと、薩埵峠で富士山を見て、最後に清見寺へ行くツアーをしたじゃん?

シュ:しましたね。
あのときは、車を出してくれてありがとうございます。

ーー謙虚でよろしい。
あの3つの中で、シュタルクは何がいちばん良かった?

シュ:どれも楽しかったんですけど、私はお寺を見学したことですね。

ーーおっと、それは意外だな。
シュタルクは日本の伝統文化が好きで、お寺や神社に何度も行ったと話していたから、それまでの経験とかぶって、たい焼きや富士山のほうが印象に残ると思ったのだけど。

シュ:いえいえ、まだ飽きるほどお寺に行っていません。
それに、日本のお寺にはそれぞれ違いがあって面白いと思います。

ーーそんなシュタルクに聞きたい。日本の宗教や日本人の信仰についてどう思う?

シュ:それも、とてもユニークです。
「なんで日本ではお寺と神社があるのかな?」って疑問に感じて、調べてみたことがあるんです。そうしたら、日本で生まれた神道と、インドで生まれた仏教の施設だと分かりました。

ーーそれな。
日本では「神仏習合」といって、両方の宗教を同時に信仰してきたんだよ。

シュ:私から見ると、民族固有の宗教と外来宗教が融合するというのは、とても不思議な感じがします。だから、日本は興味深い国なんです。

3. 宗教戦争が無かった日本的な「寛容さ」

シュ:一神教のキリスト教では、ほかの神を信じてはいけません。
歴史的には、異なる教えや考え方(異端)を徹底的に排除して、ドイツはキリスト教の国になりました。

ーー昔のキリスト教には、「自分以外は敵」みたいな排外的な考え方があったよね〜。
戦国時代の末期、カトリックが日本に伝わって日本人が信者になると、彼らが神社やお寺を破壊したから、豊臣秀吉が激怒してキリスト教をバン(禁止)した。

シュ:キリスト教には、そういう独善的な性質がありました。
それでドイツでは、相手が自分と違う考え方をしていることが許せなくて、三十年戦争という大戦争が起こりました。

【独善と寛容】欧州と違って、日本で宗教戦争がなかった理由

ーーそこが日本と欧州の大きな違いだ。
神道と仏教はすぐに仲良しになったし、浄土宗や禅宗とかたくさんの仏教グループが登場しても、ヨーロッパの宗教戦争みたいな争いは起こらず、平和共存していた。

シュ:それはすごく素晴らしいことです。

 

愛知県にある「豊川稲荷」。
ここは本当は「妙嚴寺」という曹洞宗のお寺なのに、一般的には「豊川稲荷」と呼ばれているから、お寺か神社かよく分からない人もいる。

5. 日本人の大らかな宗教観がもたらす「弊害」

ーーでも、神道と仏教の相性が良くて、融合しすぎると別の問題が生まれる。

シュ:というと?

ーー知人のイギリス人が日本人の友人に、お寺へ連れて行ってもらったとき、こんなことがあった。
そこには鳥居があったから、イギリス人が「ここは神社じゃないですか?」と聞いたら、その友人に「あれ? ここはお寺だと思ったんだけど、神社かもしれない」と言われたんだって。

シュ:そこがどの宗教施設か分からなかったってことですか?

ーーそゆこと。
イギリスで、そこが教会かモスクか、それともシナゴーグか分からない人なんて考えられない!ってイギリス人が呆れてた。

シュ:ドイツでもそんな人はいませんよ。
でも、お寺と神社では礼拝の仕方が違いますよね?仏教なら合掌で、神道では手をたたく。

ーー「二礼二拍手一礼」ね。
神社でパンパンと柏手を打つやり方は、明治時代から生まれて、戦後に完成したものだから(昭和23年の神社祭式行事作法)、伝統としてはわりと新しい。
江戸時代には、神社で手を合わせて礼拝をしても問題なかった。

シュ:テキトーですね。

ーー「大らか」と言いたまえ。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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