親日ドイツ人の話 日本の印象・スシと偏見・アニメの感想

今、世界で活躍している日本人の1人に、ドイツのフライブルクに所属するサッカー日本代表の堂安律選手がいる。
ちなみに、ベトナムに「DOANさん」はよくいるから、名前を見て「彼はベトナム人なのか?」と思うベトナムのサッカーファンは多いらしい。

日本人の名前のような外国人・ベトナム人のような日本人

その堂安選手がフランクフルトへ移籍することになって、韓国メディアの『スポーツ朝鮮』が大きく報じた。その記事がいかにも韓国らしい。
かつて、韓国人のサッカー選手がフランクフルトと契約したことで、ドイツリーグでアジア人選手の歴史が始まった。しかし、その後、韓国人選手は減り、存在感がなくなる一方で、日本人が注目されるようになった。現在、ドイツのブンデスリーガには、日本人選手が11人いるが、韓国人選手は3人しかいない。
韓国の観点では、自分たちが切り開いた場所を日本人が独占している状態は、見ていて気分が良くないらしい。

さて、今回は堂安さんの新天地、フランクフルトで生まれ育ったドイツ人男性のノアから聞いた話を書いていこう。「ノアだけはガチ」と言われるだけに、彼の話は精度が高くて信用できる。しらんけど。

 

ーーノアは初めて日本へ来て、どんな印象を持った?

「ワオ! 本当に別世界だな!」って思ったよ。2018年に初めて日本へ来たときはね。そのとき旅行して気に入って、いつか日本に滞在したいと思ったから、今回また来たんだ。
それまで俺はヨーロッパの国しか行ったことがなかったから、日本では街を歩く人も一般的な家も、木造の寺や神社も全部目新しかった。日本の普通がすごく新鮮だったんだ。

ーー日本人もドイツに行ったら、「おおっ!」って感じるんだろうな。日本人にとって、ヨーロッパの街は完全に別世界だから。
日本のラノベやアニメの異世界ファンタジーの舞台は、中世ヨーロッパをモデルにしていることが多い。それをベースに、日本人が想像して色々なものを加えて作るRPG的な世界は「ナーロッパ」って呼ばれてる。

※なろう系+ヨーロッパ=ナーロッパ。

 

ドイツの街

 

ーー日本に関するもので、ドイツで有名なものって何かある?

それは「SUSHI」だね。スシには健康的なイメージがあって人気があるから、ドイツのスーパーで簡単に買うことができるし、メニューにスシのあるレストランも多い。

ーーでも、中国人が寿司店のオーナーをしていることが多いって話を聞いたことがある。

外国出身の人がたくさんいるから、そういうことは「ドイツあるある」だ。でも、日本人が作るスシのほうがおいしい。
「料理に国籍は関係ない」というのは、一定以上のレベルに達したシェフに当てはまる。やっぱり、イタリア人が作るイタリア料理はおいしいし、国籍と料理の味は関係あるんだよ。日本で食べたスシは安いし、本当においしいと感じた。もっと日本人がドイツに来て、寿司店を開けばいいのに。

ーー個人的には「郷に入っては郷に従え」のルールに賛成しているから、ドイツで中国人やベトナム人が寿司店を経営していても気にしない。ただ、ドイツでスシの人気が爆発していることには、悩ましい面もある。
日本人のサッカー選手がドイツで活躍すると、メディアで「スシボンバー」って呼ばれるから、あれにはちょっと引っかかる。

それは悪いことをしたね。でも、侮辱や差別的なニュアンスはないはずだよ。ドイツ人は外国人に「ジャガイモ」って呼ばれることがあって、悪意がなかったら、たいていの人は気にしないから、同じ感覚でそんな言葉を使ったんだと思う。
ドイツでは、「日本人は毎日スシを食べている」みたいなイメージがあって、「日本=スシの国」と考える人が多い。
だから、親しみを込めてそんなニックネームを付けたんだろうけど、たしかに良いことではないね。「スシボンバー」は差別とまではいかなくても、それにつながる偏見ではある。

ーーまぁ、大したことじゃないのだけど。
そう言えば数年前、フランスで「スシ発言」が問題になった。フランスでおこなわれたサッカーの試合で韓国人選手に、相手チームのベンチから「彼はスシを作るはず」という声が上がって、それをマイクが拾ってしまった。それで人種差別的な発言だと指摘され、ちょっと騒動になったことがある。

「スシ」も人種差別:日本人の無神経な言葉に怒る外国人

残念ながら、ドイツにはアジア人を蔑視する人が一定数いるけど、フランスにはそういう人たちがもっと多いと思う。

 

ーースシ以外に有名な日本文化はある? ドイツで、日本のアニメやゲームとかの日本文化の人気はとても高いと、ネットニュースで何度か見たことがある。

それは半分正解。日本のポップカルチャーに関心があるのはおもに30歳以下の人たちで、その世代の中でもファンは限られている。
スシなら、年齢や性別を超えて有名で人気も高いから、俺のじいちゃんとアニメの話をすることはできないけど、「スシを食べに行こう」と言えば出かける準備をする。

ーーアニメとゲームを合わせてもスシには勝てないか。日本のアイコンでスシは最強だな。
で、ノアの推しはどのアニメ?

画的に迫力があって、ストーリーがとても深いから、「進撃の巨人」が好きだね。イェーガー、アルミン、アニ、サシャとか、ドイツ人の名前が使われているから、親しみポイントも加点される。でも、サシャってドイツでは男性の名前なのに、アニメでは女性の名前になっていて面白い。

ーーあそこはナーロッパだから。
『進撃の巨人』に出てくる街は、ドイツのノルトリンゲンがモデルになっていると言われている。作者がドイツから、素材を拾ってきたことは間違いないだろうね。

あれはヨーロッパのどこかの街だとは思ったけど、ドイツだったんだ。さらに好きになった。

ーー前にSNSでこんな話を知った。
『葬送のフリーレン』で「リューグナー」という名前のキャラクターが出てきた。リューグナーはドイツ語で「嘘つき」という意味だから、それを見たドイツ人には、その後の展開がなんとなく見えてしまった。
そういうのを日本語で「ネタバレ」って言うんだけどね。

たしかに名前がリューグナーなら、「ああ、彼が言ってることは嘘なんだ」と思ってしまいそうだ。ネタバレは物語を台無しにする爆弾だけど、この場合は仕方ない。

ーーフリーレンの作者もそこまで想像できたかどうか…。
もし、日本風の世界を舞台にした海外アニメで、「マヤカシ」なんてキャラが出てきたら、「相手を信じさせた後、重要なところで設定をひっくり返すかも」って思うかもしれない。
アニメがワールドワイドになったおかげで、その国の事情も見えるようになった。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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