【ドイツ人の話】死者の日曜日・お菓子のグミ・ナチスの反省

 

日本に住んでいて、泣く泣く母国へ戻った後、いまは「音楽隊」で有名なブレーメンに住んでいるドイツ人と話をしたから、今回はその内容を紹介しようと思う。

 

ーー日本には夏に「お盆」があります。
亡くなったご先祖さまの霊がこの世に戻ってきて、一緒に過ごした後、またあの世へ戻っていきます。
ドイツにもそんな行事はありますか?

それにいちばん近いのは「Totensonntag」(トーテンゾンターク)だね。
*トーテンゾンタークとは「死者のための日曜日」という意味らしい。
この日は家族でお墓参りに行って、亡くなった人のことを偲(しの)ぶから、日本のお盆のような日だと思うよ。
これは秋にあって、日は年によって違う。
しんみりとしたトーテンゾンタークが終わると、ドイツ人の大好きなクリスマスシーズンが始まるのデス!

 

ーー日本語には「アルバイト」みたいに、ドイツ語に由来する言葉がいくつもあります。
でも、日本語のアルバイトとは「パートタイムジョブ」のことで、ドイツ語とは意味が違います。

それで最近、日本でよくあるお菓子の「グミ」もドイツ語と聞いたんですけど、ドイツでも同じ意味で使いますか?

う~ん、ドイツ語のグミ(Gummi)は「ゴム」って意味なんだ。
だからその言葉を聞くと、ゴム製品の長靴やタイヤなんかが思い浮かんで、お菓子は出てこない。
日本で売ってる果汁グミなら、ドイツでは「フルーツグミ」(ドイツ語:Fruchtgummi)っていう。

(アルバイトと同じく、グミも本家と意味が違うらしい。)

 

ーー第二次世界大戦のとき、ナチスに協力して、隠れていたユダヤ人を密告し“売り飛ばした”フランス人やオランダ人もいました。
でもいまでは、ヒトラーやナチスについて、ドイツを一方的に批判するヨーロッパ人がいるそうです。
自分たちがナチスに協力した事実はスルーして、すべての責任をドイツに押し付ける人に、怒るドイツ人がいると聞きましたが、あなたはどう思いますか?

腹は立つけど、何も言えない。
そういうことがあったとしても、ホロコースト(ユダヤ人虐待)についてはドイツが責任を負わないといけないと思っているから、「おまえたちだって~」なんて反論することはできないよ。
でも、ヒトラーやナチスについて非難されるのならまだいい。
アメリカ、フランス、オランダなどにも宗教や人種での差別があるのに、それを棚に上げてドイツの差別を批判するヤツにはムカつく。
「お前がいうな」と。

それに歴史をみれば、どこの国も悪いことをしたはずだよ。
でもそれを認める国と、否定する国がある。
アメリカは日本に原爆爆弾を2発も落として数十万人を殺害したのに、その責任は認めないし謝罪もしないだろ?
それはおかしい。

 

ーーそういやドイツの首相は第二次世界大戦のことで、よくポーランドに謝罪しますよね?
ドイツには大統領もいますけど、この違いってなんですか?

(日本で司法・立法・行政はそれぞれ裁判所・国会・内閣が担当していて、首相が行政のトップにいる。
首相のいないアメリカでは大統領が行政のトップにいる。
これとは違ってドイツ、フランス、韓国など、首相と大統領がいる国も珍しくない。)

ドイツの大統領は、日本の天皇みたいな象徴的な存在だよ。
選挙に受かれば誰でも大統領になることができる。
*40歳以上のドイツ国民といった条件があるから、くわしいことは「連邦大統領」で。

政治は首相が担当して、国家元首である大統領はドイツを代表して海外へ行ったり、外国のゲストをもてなしたりして友好親善を図る。
日本の天皇もそうだろ?
ドイツでは戦前の反省からこうになったんだ。
かつてのドイツ(ヴァイマル共和政)では、大統領に強大な権限が与えられていたことがナチスの権力掌握につながった。
その反省から、いまの大統領の政治的権力はすごく小さくなっている。

 

ーーなるほど。
ありがとうございました。

いえいえ。こちらこそ Bitte sehr(ビッテ ゼアー)です。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。