【汗と乳首】日本人とドイツ人の“恥ずかしい感覚”の違い

 

きょう6月25日、全国的に気温がドンドンぐんぐん上がって、東京都心では35度を突破し、明治8年に統計を取り始めてから最も早い猛暑日を記録した。
*それまでの”最速”は1963年の6月26日。
まだ6月なのに40度を超えたところもあるし、この勢い7月と8月がホンキになったら節電なんてとてもムリ。
ネット掲示板には全国から暑さ報告が届いてる。

・部屋の中でも死ぬわこれ(´・ω・)
・基本全裸だからこれ以上脱げない(´・ω・
)
・人間の体温超えはヤバイ
・気温は我慢してやるから国で除湿しろ
・暑すぎ、どうなってんだよこれ
みんな店に避難してる、店儲かりまくりだな

 

最近の日本の夏はおかしくて、日本人でさえ悲鳴を上げるレベル。
だから気温も湿度も低い、ヨーロッパ北部からやってきた人にとっては、きっと息を吸うだけで罰ゲームの世界だ。
2年前の8月、ドイツ人(30代・男性)と一緒に、猛暑の京都を旅行をしたときそう思った。
八坂神社から二年坂、三年坂をのぼって京情緒を味わいながら清水寺に行こうとしたら、「汗が止まらないし、もう歩けない。清水寺はあとでユーチューブで見る」と、彼が京都旅行の概念を変えるようなことを言い出して、近くのカフェへ入ってしまった。
なんというヘタレ。
でもこれが、ドイツ人の「命を守る行動」というのなら仕方ないか。

帰国した後、スカイプで話をしていると、そのドイツ人にとって日本の夏は初めて体験する熱と湿気の地獄だたったと言う。
*6月25日、いま彼がいる地域の最高気温は23度で、日本人ならちょっと肌寒さを感じるかもの快適さ。

それで彼がすごく恥ずかして困ったのが、歩いて大学へ行くと、たっぷり汗を吸ったTシャツの色が変わってしまうこと。
ちなみに、ユニクロによくある汗がべとつかないメッシュ素材のドライTシャツは、日本より涼しいドイツでは基本的に必要ないからほとんど売ってないらしい。
彼が日本で着ていたのはドイツから持ってきた服というから、たぶん綿素材のあまり通気性がよくないヤツだ。
これで日本の夏と戦うなんて自殺行為。
Tシャツの半分以上が変色した服を着て大学のキャンパスを歩くことは、彼には耐えられないほど恥ずかしい。ゲルマン魂がそう思わせた。しらんけど。
そんなことで彼は日本の夏を、ドイツでは考えたこともなかった、替えのTシャツを用意して乗り越えたという。
「いま思っても日本で恥ずかしかったコト」として彼はそんな話をするのだけど、聞いてるこっちとしては、Tシャツの変色はそこまでのものか?という違和感がぬぐえない。
まわりの日本人はそれほど気にしていなかったと思う。
でもドイツ人の彼には気になって仕方なかったし、自分にそうさせた日本の夏を呪いたくなった。

 

逆に日本人のボクからすると、不思議に思うことがある。
ヨーロッパ人の特に女性が、Tシャツで乳首が浮き出ていても気にしないのは一体なぜなのか?
*いまネットで見たら、これを「“乳首ポコ”問題」ということを知った。
ドイツ人に話をきいたら、ドイツではブラをつけてなくて、“乳首ポコ”の女性を街や職場でたまに見るけど、本人もまわりも気にしていないという。
「そう言われてみれば、日本ではそんな女性を見なかった」と話す彼。
彼の感覚だとそれは常識の範囲内で、生地が薄くて乳首が透けて見えるのはマナー違反だ。
ドイツ人がなんで“乳首ポコ”でも平気なのかきかれても、ドイツ人の彼には分からない。
いまネットを見てたら、ヨーロッパ女性はパンティーラインが浮き出るのを嫌うから、Tバックをよくはくという日本人の観察を見つけた。でも、派手な色のモノをつけていて、それが外から見えるのは気にならないらしい。

ドイツ人がTシャツの変色を激しく嫌うのも、日本人が“乳首ポコ”を問題視するのも、きっと合理的な理由はない。
そういう「恥ずかしい」の感覚は、生まれ育った文化圏によって違うとしか言えない。

 

 

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1 個のコメント

  • > ドイツ人に話をきいたら、ドイツではブラをつけてなくて、“乳首ポコ”の女性を街や職場でたまに見るけど、本人もまわりも気にしていないという。

    あー、この話ですか。私も以前、気になって現地調査(どうやって?)、じゃなかった現地アンケート調査をしたことがあります(と言ってもサンプル数は男女合わせて数名ですが)。その時に得た結論は「おそらく、伝統的なヨーロッパのキリスト教的価値観と、現代のウーマンリブ思想やナチュラリズム思想が影響している」ということです。

    そもそもローマ帝国でキリスト教が広まったのは、「ユダヤ教では神とアブラハムとの契約の印として割礼を強要する(創世記17章9節~14節)」のに対して、「キリスト教信者は、伝統的ギリシャ・ローマの風習に同様、割礼なんかしなくてもよい(使徒言行録15章)」とされたことが大きな理由の一つです。このことは、ギリシャ・ローマ時代やルネサンス時代の男性裸像彫刻とかを見れば一目瞭然です。
    この考え方は現代にも伝わっており、そのためヨーロッパ諸国の白人男性で包茎手術を受ける人は少数派です。(ただし米国では、ユダヤ人移民の医療従事者が広めた「包茎手術による衛生論」の影響から、ヨーロッパとは逆に包茎手術を幼児の時に受ける人が多数派です。)
    このような考え方は、その後「人間は生まれたままの姿でいるべきだ」というナチュラリズムにつながります。それが男性器の外観だけでなく、女性の乳首も「不自然に形を隠すのは良くない」という考え方にも影響しているようです。(なのでたとえば、欧米白人女性は脇毛を処理する人も日本人に比べて少ないです。)
    また、現在のブラジャーが発明されたのは20世紀初頭の米国なんですが、その後のウーマンリブ運動で「ブラジャーは女性の生き方を縛る象徴だ!」として排撃されたこととか、前述のナチュラリズムの系譜でもある「ヌーディスト運動」の影響もあって、「ブラジャーを装着していることが丸分かりの服(Tシャツ等)に組み合わせるなんて、とんでもない!古臭い!恥ずかしい!」という一部女性の考え方にも繋がっているようです。
    あくまで個人的な推定ですけどね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。