日本と韓国の違い|地味で安全重視 vs 変化が多く映える社会

目次

日韓の社会の違い

AIに日韓の社会の違いについて聞くと、次のキーワードを提示した。

日本:調和・安定・空気
韓国:競争・感情・スピード

この違いには国民性がよく表れている。
韓国人はスピードを重視して、そのメンタルは「パリパリ(急げ急げ)」という言葉で表現される。
韓国社会もそんな価値観に応じて変化が早く、新しいものが次々に登場する。

一方、韓国に比べると、調和と安定を重視する日本人はのんびりしていて、社会の変化も小さい。

そのおかげで、友人の韓国人は京都や大阪を訪れると、

「わたしが初めて日本へ来た10年前とあまり変わっていないので、そのときの新鮮な気持ちをリアルに思い出せます」

とノスタルジーを感じるという。

韓国社会の先進性と「映える」街づくり

SNSを見ていると、韓国を旅行した日本人がユニークなものや斬新なものを見つけて、「なんだコレ!」と驚いたり、「コレいいじゃん!」と感心したりする投稿がよくある。

韓国は世界的にも整形手術が発達した国で、「ビジュアル」が重視されている。
そうした価値観の影響もあってか、街にあるオブジェも「映える」ものが多いから、日本人からすると思わず写真に撮りたくなる。

これから、そんな3つのアイテムを紹介しよう。

1,大きな日よけパラソル

韓国の夏もハンパなく暑くてジメジメしているから、快適さだけでなく、命を守るためにも「避暑」は大切だ。

気温は40度近くにまで上昇することもあるから、夏になると都市部では大きな日よけパラソルが登場し、人びとにつかの間の「癒やし」を与えている。

韓国語で「クヌルマッ(그늘막)」と呼ばれるこの巨大パラソルは、横断歩道の近くに設置され、日陰で風を感じながら信号待ちができるから、とても気持ちが良くて観光客にも好評だ。

 

これを含め、以下の2つの絵もAIが描いたものなので、実際のものとは違うかもしれない。

 

韓国の女性はとくに「美白」には強いこだわりがあるから、その思いもこんな発想を生み出す要因になったと思われる。

韓国でこのパラソルを体験し、良さを実感してSNSで絶賛する日本人は多い。
最近は、「X」で投稿が自動翻訳されるようになったこともあり、それを読んで嬉しく思う韓国人をチラホラ見かける。

「서초구의 작은 아이디어가
전국 표준을 넘어 해외로 수출되다니…
그늘막 아래서 잠시 쉴 때면
왠지 더 뿌듯할 것 같네요.」

(瑞草区の小さなアイデアが
全国の標準を超えて海外へ輸出されるなんて…
日よけの下で少し休む時は、
なんだかさらに誇らしく感じられそうですね。)

※瑞草(ソチョ)区はソウルの地区。

「일본인들이 서울에 오면 가장 부러워 한다는 시설」
(日本人がソウルに来ると、いちばんうらやましがる施設)

2,足元が光る横断歩道

韓国の都市部には「光る横断歩道」がある。

歩行者の足元にLEDパネルが設置されていて、信号が赤になればタイルも赤く、青になればタイルも青(緑)に光るようになっている。
これはおもに「ゾンビ」対策として導入されたという。

 

 

いま世界中で、スマホの画面に目を落として街を歩く人がいる。
うつろな表情でゆっくり歩く様子が、まるでゾンビのように見えるということから、英語圏では「スマートフォンゾンビ」、略して「スモンビー(Smombie)」と呼ばれる。

韓国語でも、歩きスマホをする人を「스몸비(スモンビ)」という。
下を向いている人でも気づきやすいように、いわば地面に信号機を埋め込んだわけだ。
夜間に、鮮やかな赤や青い光の線がある様子に、ちょっとした「近未来感」を感じる日本人もいる。
雨が降るとより「映える」らしい。

ちなみに、日本では2025年に大阪の守口市で設置された。たぶんこれが本邦初だ。

3. 多機能のスマートベンチ

 

韓国の公園やバス停では、太陽光発電を利用した「スマートベンチ」が設置されていることもあり、冬は温かくて夏は涼しいから、これに感動する日本人は多い。

ほかにも、USBポート(またはワイヤレス)があってスマホを充電できたり、無料Wi-Fiが使えたり、タッチパネルで地域の情報を教えてくれることもある。

*このスマートベンチも日本国内にある。

地味だが安全な日本社会

韓国を訪れて、「韓国はなんて先進的で、市民に優しいスマートな街づくりをしているんだ」と感心すると同時に、「それに比べて日本は遅れている」と批判する日本人もいる。

しかし、「華やかさ」では韓国に劣るかもしれないが、安全性なら日本のほうが上だ。
韓国メディアの報道を見ていると、日本では考えられないような重大事故が断続的に発生することに気づく。

ここ30年に日韓で起きた、100人以上が死亡する事故の発生件数を見るとそれがよくわかる。

日本でそんな大事故は2005年に尼崎市で起きて、107人が亡くなった「JR福知山線脱線事故」しかない。
それに対し、韓国ではこれほどたくさんある。

1995年:大邱(テグ)上仁洞ガス爆発事故(死者数101人)
1995年:三豊(サンプン)百貨店崩壊事故(同502人)
2003年:大邱地下鉄放火事件(同192人)
2014年:セウォル号沈没事故(同304人)

近年では、以下の2つの衝撃的な事故が起きたのも記憶に新しい。

2022年:梨泰院群衆事故(同159人)
2024年:チェジュ航空2216便事故(同179人)

日本の安全対策を参考にする韓国

韓国では国内で重大事故が発生すると、日本の事例について調べ、参考になるところは積極的に取り入れる。

たとえば、梨泰院群衆事故で朝鮮日報は「日本の警察はテロ対策に準じる警備を渋谷で行う」と安全意識の違いを指摘した。
また、二度とこんな事故が起きないように、渋谷のハロウィーンなどで活躍する「DJポリス」を韓国警察も取り入れ、群衆の流れをうまく誘導するようにした。

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チェジュ航空の事故が起きたときには、韓国では2015年に広島で発生した「アシアナ航空162便着陸失敗事故」に注目が集まった。

この2つの事故には、「旅客機がローカライザー(方位角表示施設)にぶつかった」という共通点があった。
しかし、日本の場合は、それを想定して安全対策がしっかりとられていたため、死者はゼロ。

「0:179」という対象的な結果が生まれた背景について、朝鮮日報は記事でくわしく分析した。(2024/12/31)

広島空港のローカライザーと衝突するも死者ゼロ、韓国・務安空港事故で再び注目を集める2015年アシアナ機着陸失敗事故

日本では考えられない事故

先日も、首都にある交通量の多い高架線道路で、一部が崩落して3人が死亡した。
韓国の各メディアは安全意識の低さや不備を厳しく指摘している。

中央日報(2026.05.27)

【社説】ソウル西小門高架道路崩落死亡事故、また露呈した安全管理のずさんさ

東京でこんな事故は聞いたことがない。
「また」というのは、2021年に光州広域市で、撤去中だった5階建てのビルが崩れてバスに直撃し、9人が亡くなった事故を指す。

韓国では、メディアがため息をつくほど、この手の事故が発生している。
しかも今回の場合は、タイミングが違ったらとんでもない大惨事になっていた。

ハンギョレ新聞(2026-05-29)

【独自】ソウルの崩壊直前の高架下を、乗客を乗せた列車59本が通過…12時間無防備

事故が発生する前、現場にいた人たちは29ミリの「たわみ」を確認し、危険性を認識していたのにもかかわらず、約12時間も何の規制もしなかった。
KTX(韓国の新幹線)を含め、乗客を乗せた約60本の列車がその下を通過していたのだ。

巨大なコンクリートの塊が走行中の列車に激突するというのは、日本の感覚だと現実感がなさすぎて、映画のシーンのように思えてしまう。

今回そうならなかったのは、ちょうど列車がなかったときに崩落したという「運」でしかない。
事故が発生する1分30秒前にも列車が通過していたというから、「巨大パラソル」とは違う種類の寒さを感じてしまう。

あきれたことに、事故発生後、現場点検をしていた作業員はルールを無視して、墜落を防止するための「安全帯」を着用していなかったことが分かり、それもメディアに叩かれた。

地味だが「見えない安全」に投資する日本

誤解しないでほしいが、韓国は世界的な安全基準を満たしているだろうし、決して「危険な国」ではない。
治安は良いし、「世界の安全な国ランキング」をしたら、韓国はきっと上位に入る。

世界の中では、日本の安全レベルが違うステージにあるから、その点と比較すると、韓国社会の脆弱さが目立つのだと思う。

日本の街中には最新のスマートベンチや、足元で光る横断歩道はないし、夏になると巨大なパラソルが現れることもない。
新しいものが次々と設置されるような派手さはなく、日本は保守的で「地味」な社会だ。

しかし、目に見えない部分に時間や予算を使い、厳格な安全管理がおこなわれているから、小さな事故は発生しても、一度に100人以上が死亡する事故はもう起こらない。

橋やトンネル、線路などのインフラに対しては、しっかりと定期点検がおこなわれ、もし高架橋が崩落する危険性があったら、すぐに列車の運行はストップされるはずだ。そう話す専門家もいた。

 

日本の社会は表立った「映え」や便利さよりも、「何も起こらない日常」を維持するための地道な安全対策を重視している。
韓国人は競争やスピード、日本人は調和や安定を尊重する。
そんな日本人の国民性から考えても、 新しい変化より、無事に過ごせることを求める人が多いだろう。

たしかに韓国社会は先進的でスピード感があるが、「日本は遅れている」ということにはならない。
日韓では価値観が違って、それぞれの社会に違った良さがあるだけだ。
お互いに「キャラ」が違うから、参考にできる点は多い。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメント一覧 (4件)

  • たしかに韓国社会は先進的でスピード感がある===== もともとこのような考えは、韓国人が日本について抱いていたものです。昔、韓国人が考えていた日本は、最先端の電子製品が日々新たに生まれる国、流行をリードするファッションの国、世界最高の自動車を作る国……それが日本でした。
    しかし、今は確実に変わりました。
    *日本はアナログの国だ。
    *行政書類の発行が遅くてイライラする。
    *今でもファクシミリを使っている。
    *今でも現金に依存している。
    *賃金水準が1990年代初頭にとどまっているため、国民は飢えている。
    こうした考えを持っているため、日本人を可哀想だと思う韓国人が多いです。 この件について、ブログの管理者の考えを知りたいです。

  • 韓国が日本をアナログの国と見て、その象徴がファクシミリの使用と考えています。
    しかし、アメリカのほうが日本よりファクシミリを使っていることは、韓国ではほどんど知られていないと思います。

    https://www.transact.ne.jp/blog/second24_20211210/

    >行政書類の発行が遅くてイライラする。
    友人のアメリカ人はソウルに住んでいました。
    役所のHPの記載が間違っていたため、彼女が書類をそろえて持っていっても、役所は受け付けませんでした。職員は謝罪もしません。
    そのアメリカ人は日本に住んでいたことがありますが、そんな役所のミスは一度も経験しませんでした。

    >賃金水準が1990年代初頭にとどまっているため、国民は飢えている。

    これについてはAIの答えを紹介します。

    「ニュースなどで「韓国の賃金が日本を抜いた」と報じられることが増えましたが、これはあくまで「単年度の平均年収」や「大企業の初任給」を切り取ったものです。生涯賃金を考える上では、日韓の雇用慣行と実際の退職年齢の違いが決定的な差を生んでいます。」

    単年度の平均年収、大企業の初任給、生涯賃金などさまざまな指標がある中で、韓国メディアは、韓国に有利なものを選んでいると思います。
    「国民は飢えている」というのは、何のことかわかりません。

  • 「国民は飢えている」=== これは韓国人の考えを強調した表現ですので、ご理解ください。
    おそらく、全体のサラリーマンの平均年収を比較すると、日本の方が高いかもしれません。 しかし、大企業の賃金水準は韓国が確実に高いです。 例えば、トヨタの自動車社員の平均年収よりも韓国の現代自動車のそれが高く、電子製品大手の三星、SK、LGなどの社員の給与は日本の電子大手よりも高いです。
    ここで過去の事例を一つ紹介しますと、私が大学を卒業した時(1988年)、私の同期の一人がLGの公募試験に合格して落ちた後、韓国にあったFujitsu支社に入社したことがあります。私の同期は当時LGに入社した友人たちよりもほぼ2倍近い年収を得ていました。しかし、現在では両社の年俸は逆転しています。
    韓国ではこれをいわゆる「日本の失われた30年」の結果と呼んでいます。 しかし、私の考えは少し異なります。 日本の大企業の平均年収が低いのは事実だと思いますが、韓国の大企業の年収は過度に高いです。今のこの豊かさがいつか災害としてやってくるのではないかと恐れています。

  • どこを切り取るかによって、日本が韓国を上回ったり、韓国が日本を上回ります。
    知り合いで現代自動車で働いている韓国人は、日本の大企業のように65歳まで働き続けることは難しいと言います。
    韓国の場合、50歳前後で仕事をやめる人が多く、それも大企業の賃金高の要因になっていると思います。

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