25年前から続く「孔子は韓国人」という衝撃の噂
25年ほど前、中国を旅行していたとき、日本語ガイドと話をしていると、韓国人の話題になった。そのガイドにとって、韓国人は裏表がないから付き合いやすい。しかし、こんな点が気に入らなかったという。
「彼らが中国の文化を“盗む”ことですよ。漢字を作ったのは韓国人で、孔子も韓国人だって言っているんですよ、信じられますか?」
儒教の開祖である孔子(こうし)は、紀元前500年ごろの中国(春秋時代)の思想家だ。彼は漢民族(中国人)以外の何者でもない。
個人的に、「孔子は韓国人だった」説を聞いたのはこの時が初めてだったから、わりと衝撃的だった。それ後、何度かこのウワサを耳にした。
「孫文(中国近代革命の父)も韓国人だった」という話もネットで見たことがある。

中国の思想家・孔子はシャカ、キリスト、ソクラテスとならぶ四聖人の一人。
現代も続く「孔子=韓国人」というフェイクニュースの衝撃
この話は今でもあって、韓国と中国に無視できない影響を与えている。
朝鮮日報に掲載された寄稿文(2024/02/26)によると、ある韓国人が、中国で暮らしている弟からそんな話を聞いてショックを受けたという。
「韓国人が孔子を韓国人だと主張しているって?」【寄稿】
弟が中国のネット上で、「韓国人が孔子を韓国人だと言い張っている」という書き込みを見た。それを知った兄は「本当か?」とビックリする。
弟が中国人の友人に「本当にそんな噂があるのか」と尋ねたところ、相手から真顔で「お前も孔子が韓国人だと思っているのか?」と聞き返された。
孔子は中国が誇る歴史的偉人だ。もし「韓国に奪われた」と誤解されれば、中国の人々が激怒するのは避けられない。
一般の韓国人にとっても、こうしたフェイクニュースは「嫌韓」をあおるため、迷惑な存在になる。
寄稿文の筆者は「こんなデマが中国や台湾にかなり広がっている」と現状を不安視している。
台湾でも発生?海外で被害を受ける韓国人留学生たち
この問題は、中国本土以外でも起きている。2011年、台湾の総統が大学を訪問した際、韓国人の留学生が、
「台湾で『韓国が孔子や豆乳を盗もうとしている』という誤解が広まっている。解いてほしい」
と直接訴えたこともあった。
また、中国のテレビ番組で韓国人出演者が「孔子は中国人だ」と発言しただけで、会場から大きな拍手がわき起こったという話もある。それだけ「孔子の国籍」に関するデマが、広く浸透してしまっているというわけだ。
SNSビジネスがデマを拡散させる背景
なぜこれほどデマが広がるのか。その背景には、現代のSNS事情がある。
中国のSNSでは、アクセス数を稼いで金儲けをするために、わざと「韓国人が孔子を韓国人だと主張している」といった刺激的な情報を発信する人が増えているのだという。
「嫌韓感情」をあおる投稿は注目されやすく、一つの収益コンテンツとして成立してしまっている。一方で、こうしたデマを訂正しようとする良心的な中国人もいるけれど、一度広まった怒りの火を消すのは簡単ではない。
「火のないところに煙は立たない」韓国起源説の真実
先ほどの寄稿文によると、韓国では「孔子=韓国人」説を真実と信じている人もいる。
韓国には、孔子は「東夷(東方に住む未開の異民族)」の人間だったという話があり、それがこの説の根拠となっている。
しかし、それは都市伝説レベルの話で、はっきり言えば「デマ」だ。と、一蹴したいところだけれど、実は「火のないところに煙は立たない」という側面もある。
韓国メディア「skyedaily」には、「中国の捏造された歴史、儒教の創始者孔子は韓民族だった」というタイトルの記事がある。
韓国のある大学教授が、孔子は中国人(漢民族)ではなく、自分たちと同じ韓民族であると断言し、中国文化の儒教を始めた孔子が韓民族であることは、隠しようのない事実だと主張している。
この教授はぶっ飛んだ人物らしい。
古代中国の伝説的な皇帝で、「聖人」と尊敬される人物の「舜(しゅん)」についても、教授は韓民族だと指摘した。
話をまとめると、中国文化を築いた舜と孔子は韓国人だったことになる。
この説も注目を集め、金儲けにつなげるためのものだろう。
こうした一部のいい加減な話が、中国側の怒りに油を注いでいる面は否定できない。
韓国は国内にある根拠のあいまいな「韓国起源説」を無くす努力をしたほうがいい。

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