「女性なのに金玉男」 日本人と韓国人の名字の違い

ステキな名前も国や文化が変わると、まったく違うものと結びつくことがある。たとえば、日本人の勝男は、イタリア語で「cazzo(カツオ)」は「男性器」を意味するため、「わたしは磯野カツオです」と名乗ると、イタリア人には「わたしはペニスです」と聞こえることがある。

イタリア人が「カツオ節」に驚く理由・乾杯の音頭はチンチン

そんなことは日間のあいだでもある。

 

日本では、鈴木や山田など漢字二文字の姓が多いが、韓国では李や朴など漢字1字姓が一般的だ。もちろん、漢字2文字の名字をもつ人もいる。
現代の韓国で一字姓が多い理由は、古代、朝鮮半島にいた新羅人が中国式の名字を採用したからだ。

現在、使われている中国式の姓が一般化してきたのは、中国から漢字が導入され、定着してきた七世紀以後と考えられている。

実際に、朝鮮半島で姓が生まれたのは、統一新羅時代になったからである。統一新羅の王族、貴族が中国・唐の文化を取り入れるなかで、中国式に姓をもつようになっていったのだ。

「人名の世界地図 (文春新書) 21世紀研究会」

*中国人もすべてが漢字1字姓ではなく、三国志には「諸葛亮」とか「司馬懿」といった人もいる。

ちなみに、日本の天皇には名字がないからこの原則は当てはまらない。

 

韓国人の名字では、金(キム)・朴(朴)・李(イ)・崔(チェ)・鄭(チョン)のいわゆる「5大姓」が有名だ。この5つで人口の過半数を占める。韓国では基本的に名字の種類が少なく、300ほどしかない。約30万種という日本の名字とは比較にならない。
そのため韓国では人の呼び方も日本と違って、名字ではなく下の名前やフルネームで呼びかけることが一般的だ。
名字の少ない韓国では、どうしても同姓同名が多くなる。知人の韓国人女性から聞いた話では、彼女が中学生のころ、先生は同姓同名の生徒を「AとB」で区別していたという。たとえば、クラスに「李明博(イ・ミョンバク)」が2人いたら、先生は「イ・ミョンバクA」と「イ・ミョンバクB」と呼んでいた。

ちなみに、韓国人の女性は年上の知り合いには「おねえちゃん」、「お兄ちゃん」と呼ぶことが多い。知人の韓国人女性がそんな韓国的な感覚で、仲良くなった年上の日本人に「お兄ちゃん」と呼んだところ、「そういう呼び方はしないでほしい」と拒否られて傷ついた。
日本人に比べて、韓国人は対人関係で距離感が近い。

 

ミャンマー人には名字がない。
ちなみに、ほっぺたの化粧(焼け止め)は「タナカ」という。
日本語ではなくて、ミャンマー語で「タナカ」。
だから名字が田中なら、ミャンマー人にすぐに覚えてもらえる。

 

韓国ではフツウの名前でも、日本人が聞くとヘンな意味になるものがある。
たとえば、日本人が俳優の「イ・ソジン」という名前を聞けば、有名なうがい薬を思い浮かべるだろう。
ほかにも、女優で「コ・アラ」や「パク・シネ」がいるし、「キム・ドキュン」というサッカー選手もいた。
そういえば、ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」の主題歌は「オ・ナラ」 だった。

個人的に、いちばん違和感があったのが「金玉男(キム・オンナム)」という韓国人の女性だ。しかもこの人は政治家だ。
ただし、この名前にはそれなりのワケがある。
韓国の親は「男の子を産んでほしい」という気持ちが強く、女の子にもそんな願いを込めて「男」の字を入れることがあったという。

昔は、男の子を望んでいたのに女の子が生まれた場合、次に男の子の出生を願って、その女の子に希男(男の子を望む)といったように、名前に「男」の字を入れた

「人名の世界地図 文春新書」

日本で「金玉男」という女の子がいたら、きっと思春期に大荒れになる。

 

おまけ

中国メディア「今日頭条」が名字について、韓国やベトナムは中国の文化を継承しているのに、日本人はそうしなかった理由を考察する記事を掲載した。
サーチナ(2016年09月21日(水)1)

どうして韓国やベトナムは中国式の名字なのに、日本だけは日本式の名字なの?

日本では「張」や「李」といった中国式の一字姓ではなくて、二次姓が一般になっている理由は、日本人が中国から文化や制度を取り入れた際、必要なものだけを選び取り、自分たちに合うように変化させていった歴史的背景が関係している可能性があると中国メディアは指摘する。
昔の日本人は中国文化を取捨選択していたから、それは正しい見方かも。

 

 

こちらの記事もいかがですか?

日本 「目次」

韓国 「目次」

アニメでみる日本人と韓国人の感覚の違い:丁寧さとスピード感

日本と韓国の職人の違い。文化を育てる「天下一」の考え方

旅㉑おにぎりをめぐる日本と中国・韓国の食文化のちがい

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

コメント

コメントする

目次